「私は愛したいのに、相手がいないの」
不幸な結婚をして愛に飢える元女優ジニー(ケイト・ウィンスレット)は海水浴客で賑わうビーチの監視員ミッキー(ジャスティン・ティンバーレイク)に言い寄られると、あっさり体を開く。
夫の目を盗み逢瀬を重ねるものの、すでに腰のまわりには肉がつき、中年の肥満体型になっている彼女は、やがてミッキーにも飽きられる。それは誰の目にもわかっていることだが、悲しいことに本人だけが気づけない。哀れなことだ。ウッディ・アレン監督のシニカルなまなざしが見えるようだ。
ラストシーン。けわしい顔つきで遠くを凝視したままのジニーをじっととらえ続けるカメラの残酷さ。彼女は昔女優であったことも、愛を捧げる相手も、もはや自分には失われてしまったことを悟ったかのようだ。そして、このまま、コニーアイランドで観光客を相手にレストランのウェイトレスとして働き、老いていく自分の姿を見つめている。
登場人物の中で、もっとも落ち着いていて確信的な行動を重ねているのは、ジニーの息子、小学生のリッキーだ。学校へ行かず、映画館に入り浸るか、所かまわず焚火をしている。時に、危険な放火騒ぎも起こす。
おとなたちの困惑気な日常からひとり離れ、くさくさする気持ちを燃やしている。
いつか、母親を誘って焚火をし、燃え盛る炎を一緒にじっと眺めるときが来ればいいのにと思った。