めまい(1958)

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めまい(1958)

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レビューの数

141

平均評点

76.6(863人)

観たひと

1279

観たいひと

89

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル サスペンス・ミステリー
製作国 アメリカ
製作年 1958
公開年月日 1958/10/26
上映時間 128分
製作会社 パラマウント映画
配給 パラマウント
レイティング 一般映画
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

「間違えられた男」につづくアルフレッド・ヒッチコック監督のスリラー。クルウゾーの「悪魔のような女」の原作を書いたピエール・ボアローと、トーマス・ナルスジャックの共作小説から、アレック・コッペルと「モンテカルロ物語」サム・テイラーが共同脚色した、伝奇的なロマンとニューロティックなスリラー手法をないまぜた一編。撮影監督は「間違えられた男」「ハリーの災難」のロバート・バークス。サンフランシスコ周辺の風光がロケによって生かされている。音楽はバーナード・ハーマン。出演者は「知りすぎていた男」「翼よ!あれが巴里の灯だ」のジェームズ・スチュアートに「愛情物語」「夜の豹」のキム・ノヴァクが顔を合わせる他、「暗黒の恐怖」のバーバラ・ベル・ゲデス、「バラの肌着」のトム・ヘルモア等。キム・ノヴァクは2つの役柄を演じわけてみせる。製作はヒッチコック自身。「悲しみよこんにちは」のソール・バスがタイトル・デザインを担当している。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

元刑事のジョン・ファーガスン(ジェームズ・スチュアート)は、屋上で犯人追跡中に同僚を墜死させたことから、高所恐怖症にかかって今は退職していた。商業画家の女友達、ミッジ(バーバラ・ベル・ゲデス)の所だけが、彼の気の安まる場所だった。そんなある日、昔の学校友達ゲビン・エルスターから電話があって、彼はその妻の尾行を依頼された。美しい妻のマドレイヌ(キム・ノヴァク)が、時々、昔狂って自殺した曽祖母のことを口走っては、夢遊病者のように不可解な行動に出るというのだ。しかも、彼女は、まだ自分にそんな曽祖母のあったことは、知らぬ筈だという。翌日から、ジョンの尾行がはじまった。マドレイヌの行動範囲はサンフランシスコ一帯に及んだ。ある時は曽祖母の埋められている墓地に、ある時は曽祖母が昔住んでいたというホテルに、ある時は若かりし頃の曽祖母の画像の飾られている画廊に。しかも、ぼんやりと絵に見いる彼女の、手にもつ花束の型や髪型は画像の曽祖母と同じものなのだ。そしてある日、彼女は海に身を投げた。ジョンは彼女を救って、自宅につれかえり、介抱した。そして、今はもう彼女を愛している自分を知った。彼女は、自分の行動もよく覚えてはいなかった。何事かを恐れるマドレイヌの心理を解きほぐすために、ジョンは彼女を、よく夢に見るというサンフランシスコ南部のスペイン領時代の古い教会にともなった。しかし、突然彼に愛をうちあけながら彼女は、教会の高塔にかけ上り、めまいを起したジョンが階段にたちつくすうちに、身を投げて死んだ。そのショックから、ジョンはサナトリウムに療養する身となった。まだ自分をとりもどすことの出来ぬ彼は、街をさまよっているうちに、ふとジュデイ(キム・ノヴァク)というショップ・ガールに会った。身なり化粧こそげびて俗だったとはいえ彼女の面ざしはマドレイヌに似ていた。ジョンは、いつか彼女の面倒をみてやる身となった。彼は彼女にマドレイヌに似た化粧や身なりを教えた。しかし彼女はそれをいやがった。何故なら彼女こそは、妻を殺すためにジョンの高所恐怖症を利用したゲビンに使われ、ジョンをあざむいて顔かたちの似たマドレイヌになりすましていた女だったのだから。あの時、高塔の上には殺した妻を抱いたゲビンがいた。そして、めまいを起こして高所に上れぬジョンを証人につかって、かけ上ってきたジュデイとタイミングを合わせて妻の死体を塔から投げ下ろし、自殺に見せるというトリックを使ったのだ。サンフランシスコ一帯にジョンを引きまわし、彼と恋におちたマドレイヌとは、実はジュデイその人だったのだ。ある夜、死んだはずのマドレイヌのものだった首飾りをジュデイの胸にみつけたジョンは、彼女をあの教会の白亜の高塔につれていって詰問した。総ては今やはっきりした。しかし、今はジョンを愛するジュデイは、彼への愛を口走りながら、恐怖のために塔から足をふみ外して墜死した。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2014年2月上旬号

UPCOMING 新作紹介:スクリーン・ビューティーズ Vol.3 ヒッチコックとブロンド・ビューティー「めまい デジタル・リマスター版」

1984年5月下旬号

巻頭特別企画 エッセンシャル・ヒッチコック:「めまい」

1958年12月上旬号

外国映画批評:めまい

1958年10月上旬40年記念号

新作グラビア:めまい

新映画評:めまい

外国映画紹介:めまい

2024/10/13

90点

選択しない 


言わずと知れたヒッチコックの代表作☆

ヒッチコック作品の中でも3本の指に入る名作だと思ってます。
プロットは凄くシンプルですが、その謎解きを固唾を飲んで見守るみたいなそんな作風でした。夜中に観れば、明くる日は寝不足必至。良い映画を観たなと思わせてくれました。
レビューサイトをチェックすれば、案外否定派も多いので受け止め方は個人差あると思いますけど…。これは、昨今の練られ過ぎたサスペンス映画の影響もあり、複雑なプロットの作品に映画ファンが馴れてるからということもあるはずです。
でもヒッチコックの目指したところは、娯楽作品としての映画作りと私は考えてます。観賞後に疲れさせない作品群がやはり魅力的。

プロットはすり替え殺人と、サスペンスとなってます。しかしながら単純な謎解きのストーリーではない。冒頭の主人公スコティ(ジェームズ・スチュアート)が高所恐怖症でめまいを起こすシーンなんかは伏線回収されてるし、話のオチが良かったです。
ヒロインを演じたキム・ノヴァクも素晴らしかった。スコティと彼女がコンタクトする度に起こる波乱にぐいぐいと引き込まれました。
幻のような女性像で、これを描出するカメラワークも良かったです。

本作が公開された後の時代に様々な映画監督がこの名作にオマージュを捧げてます。ブライアン・デ・パルマ監督なんてその最たるものでしょう。それなりに本数を観ている映画ファンなら気付きが多いはずです。
シンプルにまとめられて、芯のある脚本も良い。
久々に観れて、良かったです。

2024/09/16

2024/09/16

76点

VOD/U-NEXT 

・ホラーという先入観のあるヒッチコック、本作も「裏窓」に続いてミステリーで、さらに上質な脚本で楽しめました
・前半に警察時代の高所恐怖症になったトラウマを描き、のちの伏線としてしっかり意識づけ 中盤は友人の妻の尾行を通して彼女の謎の行動と絵画に描いてある先祖のつながりをつなぐサスペンス展開 後半は亡くなった婦人そっくりの女性にのめりこんでいく主人公のスリラー的展開 すべての展開にきちっとしたロジックがあることで見ごたえのあるミステリー作品に
・謎に満ちた女性の行動と過去の先祖の話、しっかりと背景を描くことで夫人が、てっきり過去の絵画の女性に取り込まれていたと思わせる巧みなミスリード 後半に明かされる友人の仕組んだ妻殺しのロジックで驚きました
・後半の夫人に似ている女性とのパート 実際の犯罪に加担していたことが彼女の行動を制限し、さらに主人公が亡くなったと思った夫人への情念から取り付かれるように女性を夫人に変えていく過程は本作一の恐怖を感じられる 主人公がブローチで気付く流れも納得で、教会のシスターの姿に驚き落ちる展開は後味が悪くて良かった
・一般に言われる高所恐怖症や心が病む映像的演出 当時の技術では十分にすごいと思うが、本作はそのようなギミックが無くても十分に面白かった
 

2024/04/27

2024/04/27

90点

選択しない 


改めて観て感嘆

以前、感想を書いた時は記憶で書いたのだが、大分忘れていていた様で的ハズレだった。削除します。
 今回、40年ぶりに観て感嘆。死者に取り憑かれたかの様なキム・ノバク扮するマデリーンの行動のサスペンスがゾクゾクするほど面白く、プロットが二転三転、目の前で死んだマデリーンの幻影を追うジェームズ・スチュアートの異常性に見応えがある。バッドエンドのラストも溜息が出ます。傑作。

2024/02/21

2024/02/21

63点

テレビ/無料放送 
字幕


長過ぎた感じでした。

ネタバレ

アイディアはいいと思うのですが、如何せん前半のマデリンが自殺するまでが長いです。また、ミッジの存在意義は??
マデリンとジョディが、お化粧の仕方でずいぶん違って見えるのは興味深いです。
今から66年前の映画。筋がいろいろ気になるのは無理もないのかもしれません。
クラシックカーがたくさん登場しておもしろかったです。

2024/01/07

2024/01/07

70点

選択しない 
字幕


トリッキーな身代わり殺人(^^;;

途中まで、どうしてマデリンは既婚なのにジョンに恋したのか不思議だったんだけど、別人だったからか。旦那が文句言わないのも納得。絵の花を強調しておいてペンダントで気づく伏線回収もうまい。

シスター登場で悪人世に憚らずのラストもいい。

2023/04/15

2023/04/15

70点

選択しない 


懐かしい映画

 この映画の怖さは、犯人側の凶悪で執拗な加害的な怖さではなく、犯罪に利用された者が精神的なバランスを失って病的な執拗さで結果的に犯人側を追い詰めていくことになる怖さだ。主人公ジェームズ・スチュアートは高所恐怖症という症状を利用されたうえに、図らずも恋愛感情を募らせた挙句に病的になってしまうという合理的な理由づけがなされている。

 高所恐怖症の怖さを様々な手法で視覚的に見せてくれる。確かに怖さが伝わってくる。さらに、二役を演じるキム・ノバックも、人妻に扮していた時のほうが魅力的で、主人公が恋していたその姿を蘇らせ追慕しようとする気迫にも一応の理由はあるような気がする。

 ただ、何度見ても残念な気持ちが残るのは、事件の真相がキム・ノバックの回想によって早々とわかってしまうことだ。真相を明かすのはもう少し先延ばしすることができたはずで、そのあっさりとした種明かしに意外性を感じたほどだ。

 もうひとつ、キム・ノバックには悲劇的な結末が待っている。主犯の友人への追及は当然なされるのだろうが、キム・ノバックも雇われて利用された口だから、主犯へ迫る場面が見たいところだった。