本作はロマンチックコメデイとして十分楽しめる佳作だ。
ウディアレン本人は主演していないが、ニューヨークのユダヤ人出身であることなど多分に彼のキャラを反映していることはよくわかる。
1930年代華やかなハリウッドの世界を舞台に、やり手のエージェントである主人公の叔父を頼って、NYから主人公がやって来る。
アポイントを取っても叔父フィルと2週間余りも会えない。ここらのやりとりで叔父の忙しいとはいえ自己中心的なキャラが読み取れる。
一方主人公はあまりに暇なのでヤクザな兄の勧めで娼婦を買おうとするが、娼婦が遅れに遅れてやってきてユダヤ人だと知ると、散々逡巡して金だけ返すやり取りは、ユダヤ人の異性に対して発情しないのかしら?と勘ぐってしまう。
ただこのやりとりは印象に残るものの何か中途半端だ。
主人公は叔父と会え、秘書のヴォニーに市中を案内してもらう。美しく、業界にいるのに飾り気のないヴォニーにたちまち恋してしまう。ただ彼女にはジャーナリストの恋人がいて付き合えないと一旦断られる。それでも恋人が忙しいため、休日にも主人公に食事などで付き合ってくれる。彼はますます恋心を募らせる。
実はヴォニーの相手とはフィルだった。フィルには妻がいて、彼女との仲を優柔不断にしていた。しかし結局、妻と離婚できなくて彼女に別れを切り出す。失意の彼女は主人公に慰めてもらい恋仲となっていく。
一方ハリウッドの水に馴染めない主人公はNYに戻り、ヴォニーと一緒に暮らすよう求婚する。
しかし彼女の心にはフィルを完全にはあきらめきれず、彼らの関係を知らない主人公からフィルが恋人(ヴォニー)を忘れられず失意の日々を送っていること、離婚を決意していることを聞き、
フィルの再度の猛アタックを受けて、彼女はフィルのもとに行ってしまう。
彼女の立場からすれば、やむを得ない選択なのかもしれないが、主人公からすれば何たる裏切りとどんでん返し。
とんだ食わせものと思うところなのだが、主人公にとっては恋心が勝っていたようだ。
NYに戻り、兄の店を拡大してNYでも有名な店にしていくと、いっぱしの支配人になっていく。
ハリウッドで知り合ったモデルエージェンシーのラッドに紹介されたヴェロニカと恋に落ち、子供も授かり結婚する。
幸せな結婚生活、順調な商売と順風満帆な中でNYに夫婦できたヴォニーと再会する。
主人公と付き合っていたころはハリウッドのスノッブなライフスタイルを軽蔑していて共感しあっていたのがすっかりスノッブなキャラに変わっていた彼女を見て、主人公はショックを受ける。
それでも彼女のアプローチがあると、また恋心が再燃するのだ。
ここらは彼の純粋な時代の恋心を理解はできるが、個人的には好きではない。
一方主人公の兄は過去の悪行がばれて死刑となる。その間際でユダヤ教からキリスト教に改宗する。ユダヤ教は再生することがないからだという、ブラックなユーモアなのか本音なのか?
そして最後のクリスマスのエピソードで2人がそれぞれの生活の中で別の選択があったのだろうかと思うような感傷に浸る。
兄の改宗はその暗示なのかなと深読みしてしまった。