緑色の髪の少年

みどりいろのかみのしょうねん|The Boy With Green Hair|----

緑色の髪の少年

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レビューの数

11

平均評点

70.1(43人)

観たひと

70

観たいひと

9

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 アメリカ
製作年 1949
公開年月日 1950/3/7
上映時間 82分
製作会社 RKOラジオ映画配給
配給 セントラル
レイティング
カラー
アスペクト比
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

「窓」「暴力行為」のドリー・シャリイがRKOに置土産として残した映画で、原作は著名な新聞論説者の娘ベッツイ・ビートンで、これを新進ベン・バーズマンとアルフレッド・ルイス・レヴィットが共同脚色、新進監督ジョセフ・ロージーが監督したもの。撮影は「レベッカ」「美人サム」の名手ジョージ・バーンズ、音楽監督は「ママの思い出」のC・バカライニコフ、タイトル音楽としてエデン・アーベスのヒット曲「自然児」が用いられている。主演は「海の男」「海の呼ぶ声」の名子役ディーン・ストックウェル、「孤児」のパット・オブライエン、「暴力行為」のロバート・ライアン、「窓」のバーバラ・ヘイルの4人。それに「アンナとシャム王」のリチャード・ライオン、「私はあなたのもの」のウォルター・カトレット「出獄」のサミュエル・S・ハインズ等が助演している。1949年度封切になる総天然色作品。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

ある小都会の警察に、つるつるの坊主頭の少年が保護されていた。係官の訊問に一言も答えぬ少年に手を焼いたが、来合わせた児童心理学の権威エヴァンス博士の応待でかたくなな少年の口は開かれ、到底信じられない物語が語られた。少年ピーターはロンドンの富裕な家庭に生れ、幸福な日を送っていたが、やがて今次大戦の戦火はロンドンを襲い、彼は両親に別れて疎開先に不自由な月日を過ごす。そのうちに両親からの音信が絶え、彼はアメリカ人の芸人にともなわれて渡米する。その芸人はおじいさんと呼ばれている好人物で、ピーターを己が孫として可愛いがる。おじいさんの取りなしでピーターは町の人と親しくなり学校に入って美しい女教師ブランド先生や級友たちと仲良く遊ぶうちに両親の居ない淋しさも忘れる。だが学校で催された世界の戦災孤児救援のための衣服供出が行なわれた日ふとしたことから両親の爆死を知り自分が哀れな戦災孤児だと判ったから、悲しさの余り彼の頭は戦争の恐怖で一杯になる。そしてある朝、彼の頭髪は一夜にして鮮やかな緑色に変わってしまう。おじいさんは驚き、町の人々は好奇の眼を見張り、医者は首をかしげる。緑の髪は伝染するという噂がひろがり、町の人からも学友からもボイコットをくらう。孤独の淋しさに堪えかねたピーターは郊外の森深くさ迷いこむ。ふと目がさめると、彼は学校の戦災孤児救援のポスターに見た惨めな姿の孤児たちに囲まれている。そして彼等から「緑の髪は戦災孤児の象徴だ。子供たちにとって戦争がどんなに非道いものかを世界に知らせるためだ」と教えられる。戦争をくいとめる聖なる使命を教えられたピーターは勇んで町に帰り道行く人に緑髪の由来を説く。しかし誰も彼の云うことに耳を傾けず、ますます彼は忌み嫌われる。級友たちは彼の緑髪を刈ろうと鋏を以て襲いさえする。希望を失って緑の髪を刈ることに同意したピーターは、衆人監視の中でクルクル坊主にされると屈辱に堪えかねて家出したのである。聞き終わった博士はピーターを励まして彼をおじいさんに引き渡すが、おじいさんはピーターの両親の遺書を読んで聞かせて彼の自信を取り戻さす。ピーターは再び聖なる使命を遂行する信念に燃えて元気に家路につく。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2021/09/15

2021/09/15

70点

VOD/U-NEXT/レンタル/テレビ 
字幕


緑は平和の色、か

ネタバレ

タイトルとビジュアルに惹かれて視聴。(フランクリン・J・ハフナー監督の「ブラジルから来た少年」を思い出して期待)ジョセフ・ロージー監督の作品は「エヴァの香り」しか見たことない。イザベル・ユペール大先輩の「エルELLE」のリメイク元だと聞いて見てみたので、直近の作品のほうのインパクトが強くてちょっと印象が弱かったけど、「緑色の髪の少年」はとても印象的な作品でした。

賢そうな男の子を中心として、子どもらしいファンタジックなイマジネーションもありつつ、彼の経験の背景にある苦いできごとをたどっていく、ミステリアスな構成になっています。彼の髪が緑色の期間は短くて、冒頭は坊主頭だし途中まで普通の黒髪です。制作年度からして、この子の両親がロンドンで亡くなった経緯は戦争に関係がありそうだけど、あえて明確にしないのは、あくまでも「ある戦争による孤児」として一般化するのが映画の主旨だからかな。

牛乳屋や水道局が自分たちのせいじゃないと訴える場面、優しい先生が子どもたちに自分の髪の色を言わせてみる場面、孤児たちに励まされる場面、いじめっ子たちに捕まる場面など、それぞれが象徴的。そこから引き出されるのは、普遍的な差別ということの本質なのかな。(そう考えるのは、つい最近、茶色っぽい地毛を黒く染める、みたいなばかげた校則の撤廃を考える番組を見たからか)

いい大人たちに守られて、少年がこれからすくすくと育ちそうな感じでよかった。

この少年がその後デヴィッド・リンチとかのクセの強い映画にたくさん出るディーン・ストックウェルだとは(映画とは関係ないか)。

2020/09/21

2020/09/21

40点

VOD/Amazonプライム・ビデオ 
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ジョセフ・ロージー監督のデビュー作であり反戦ファンタジーとも言える作品。
カラー映画という事を意識してか、突然子供の髪の色が緑になったという突飛な発想がユニークだけど、意味付けが無いのでどうも中途半端な印象が残る。突然現れる、戦争孤児達の亡霊も生かされていない。
老ボードビリアン役のパット・オブライエンが渋い味を出していた。ピーター役のディーン・ストックウェルは子役で終わらず、大人になっても俳優を続けている。

2020/09/06

2020/09/06

65点

VOD/Amazonプライム・ビデオ 
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テクニカラーで映える緑の髪

シンプルなファンタジーで、主張もはっきりと織り込まれた映画と思います。まず反戦については、戦災孤児であり、緑色も戦争の影響とされ、戦争によって子供が不幸になると語られます。森の廃墟の子供たちは、戦争の犠牲者でしょうか。その他には、一人だけ変わっていると、集団から拒絶されることや、不安が集団に伝染して拡大することなどが描かれていました。場面としては、剃髪が終わったあとの、陪席者の何とも言えない雰囲気の表現が、最も印象的でした。

ストーリーは劇的な展開がある訳でもなく、演技も含めで、映像に惹きつけられるという感じはありませんでした。この時代のテクニカラーを使った緑の髪はなかなか綺麗で、むしろ、映像を見つつ、思いは初音ミクとか、ラムちゃんに思いを馳せてしまいました。あと、森の中の少年たちは、雰囲気が出ていたと思います。特にやせた少女とか良かったです。

時代は、第二次大戦が終わって、アメリカは朝鮮戦争へと向かっているところです。戦勝の雰囲気の中で、次なる敵に向かって準備している世相での、反戦映画という思い切った作品でした。ジョゼフ・ロージー監督はこれが初長編。その後赤狩りでアメリカを追われました。ファンタジーに包まれた、ふんわりした感じの映画ですが、製作者の想いはいろいろ詰まっている映画という事だと思います。

2018/12/23

2019/05/23

75点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 
字幕


今なお胸に迫るメッセージ

シネマヴェーラ渋谷のアメリカ映画特集、ジョゼフ・ロージーの監督デビュー作「緑色の髪の少年」は、30年くらい前パブリックドメインの安売りヴィデオを買って、確か2回は観たと思いますが、設定は覚えていたものの細部は綺麗に忘れており、冒頭近く、爺ちゃんが王様と繰り広げるミュージカル的な場面をすっかり忘れていました。
ロージーとプロデューサーのドーリ・シャーリーが、この寓話に込めた反戦メッセージは、今なお観る者の胸に迫るものがあり、ロージーはデビュー作から非凡な才能を示していましたが、この数年後にはハリウッドが赤狩りの嵐に見舞われ、ロージーは二度と戻らぬ男になってしまうのですから、そのことを思うと胸が塞がれます。
「緑色の髪の少年」には、TVの小さい画面でヴィデオを観た時には気付かなかったものの、主人公少年ディーン・ストックウェルの同級生として、子役時代のラス・タンブリン(「ウェストサイド物語」のリフ)が出ていました。スクリーンで観ると情報量が違うので、気付いたということでしょう。

2018/12/26

2018/12/27

-点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 
字幕

『緑色の髪の少年』。1948年製作のカラー作品。緑色の髪を見せるためにカラーにしたんだろう。戦争孤児の少年が突然髪の毛が緑色になってしまう。友達や大人たちの対応を描く。異色の人間が一人だけいるといじめの対象になるという悲しい事実。ガスレンジで山形の器具にパンを立てかけて焼いている。

2018/12/23

2018/12/22

75点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 
字幕


反戦映画

両親の死を認識できないままに祖父と暮らすことになった少年・ピーターの髪の毛の色が突然緑色になったのは、ロンドンで空襲に遭った影響が原因と考えられそうですが、核爆発の影響を暗喩しているのかもしれません。
戦災孤児であることが知れ渡り、髪の色の変化が加わるや、学校の同級生や町の大人たちもピーターに対する接し方に悪意が見られるようになります。

映画的には明るい色調にプチミュージカル風音楽も取り入れた、子供が主人公のファンタジーの作りになっています。
しかし直接的に悲惨な戦争シーンを挿入しなくても、しっかりした反戦映画に仕上げている手腕は大したものです。
そんな事もあったためか、監督のジョセフ・ロージーも赤狩りの対象となってしまいました。