シンプルなファンタジーで、主張もはっきりと織り込まれた映画と思います。まず反戦については、戦災孤児であり、緑色も戦争の影響とされ、戦争によって子供が不幸になると語られます。森の廃墟の子供たちは、戦争の犠牲者でしょうか。その他には、一人だけ変わっていると、集団から拒絶されることや、不安が集団に伝染して拡大することなどが描かれていました。場面としては、剃髪が終わったあとの、陪席者の何とも言えない雰囲気の表現が、最も印象的でした。
ストーリーは劇的な展開がある訳でもなく、演技も含めで、映像に惹きつけられるという感じはありませんでした。この時代のテクニカラーを使った緑の髪はなかなか綺麗で、むしろ、映像を見つつ、思いは初音ミクとか、ラムちゃんに思いを馳せてしまいました。あと、森の中の少年たちは、雰囲気が出ていたと思います。特にやせた少女とか良かったです。
時代は、第二次大戦が終わって、アメリカは朝鮮戦争へと向かっているところです。戦勝の雰囲気の中で、次なる敵に向かって準備している世相での、反戦映画という思い切った作品でした。ジョゼフ・ロージー監督はこれが初長編。その後赤狩りでアメリカを追われました。ファンタジーに包まれた、ふんわりした感じの映画ですが、製作者の想いはいろいろ詰まっている映画という事だと思います。