69年のアラン・ドロン主演の「太陽が知っている」のリメイクだそうだ。
それほどいい映画だったか、記憶が薄れているのだが、サントロペのプール
付きの別荘が舞台で、奇妙な四角関係が描かれる。そしてドロン映画では
欠かせない殺人がプールで行われた…。
今作では、舞台をイタリアの名勝パンテッレリーア島に、主要4人のキャストを
集めた。この美しい風景だけでも映画の風格が出来てしまう。ここで休養して
いるのが世界的人気を誇るロックシンガーのマリアンとカメラマンのポール。
そこに音楽プロデューサーでマリアンの元夫ハリーが、娘のペンとともに押し
かけてきた。ハリーの騒がしさと、声帯の手術をしてリハビリ中の沈黙のマリアン
の対比は絶妙。加えて四者四様の内面と外面の乖離が揺れながら綴られる。
復縁を試みるハリーだが、マリアンとポールの間は強固だった。ペンは美しい
海岸でポールを誘惑する。四角関係は、不安定な三角へ。プールサイドの
饗宴は殺意の閃きに変わる…。
キネ旬の「太陽が知っている」のあらすじでは、完全犯罪は成功したが、
以後の二人には共犯者であって、愛し合う二人ではなかった。と記されている。
ある意味で、懲罰が科せられているが、今作ではしれっと立ち回っただけの
感じで終わる。ラストは難しい。