こちらに同じクラレンス・ブラウン監督の「雨ぞ降る」のレビューを書かせて戴きました。
1939年製作、1941年10月、本邦公開。
真珠湾攻撃の2か月前。戦前に公開された、最後に近いアメリカ映画であろう。
中盤に起こる大地震、ダム決壊による大洪水が見もの。
モノクロで画質が悪いのが幸いしてるのか、上出来である。
個人的には、チャールトン・ヘストンの「大地震」よりいいと思う。
丁寧な合成が、イケルのである。
一見、どうやって撮ったのか分からない。
つまり、だましが効いているのである。
特撮シーンは、わずか3分半ではあるが。
ドラマは退屈なメロドラマに近いが、グレタ・ガルボや「仔鹿物語」などの名作を手掛けたブラウンだけに、最悪ではない。
最初、ふしだらで馬鹿な女にしか見えなかったマーナ・ロイが、後半、人格が変わっていくのを丁寧に描いている。
若手のブレンダ・ジョイスも魅力がある。調べたら、ターザン映画のジェーンとして何本か作品がある。そんな企画しかなかったのかと思い、ちょっとガッカリ。
タイロン・パワーが顔を浅黒く塗って、インド人を演じる。
作品はジョージ・ブレントの主演作品と言って良い。
山本弘氏著「レトロ特撮」で、採り上げられている。
舞台は、イギリスの植民地時代のインド、1938年。
横道にそれるが、人名辞典をめくると、生誕地が面白い。
ヴィヴィアン・リーは、インド、ダージリンの生まれ。
フランソワーズ・アルヌールは、アルジェリア、コンスタンティーヌ。
マルレーヌ・ジョベール、アルジェリア、アルジェ。
フランソワーズ・ファビアン、アルジェリア、トゥゴール。
ジョーン・フォンテーンは、日本、東京、虎の門。
姉のオリヴィア・デ・ハヴィランドも東京。
シルヴァ・コシナ、ユーゴスラヴィア、ザガブリア。
アンナ・カリーナ、デンマーク、コペンハーゲン。
ミラ・ジョヴォヴィッチ、旧ソ連、キエフ。
三船敏郎、中国、山東省、青島。
世界の植民地政策などが、うかがえる。