師匠と弟子の関係で描いたものだけど、他の類似作品と異なるのは弟子に教える師匠も成長するというところ。
人間のこども九太に教える師匠のバケモノの熊徹も人格者でなく、乱暴者で性格も雑で品格などない。だが九太に教えていくうちに教育者としての素質を得ていく。そして九太のために自分は命を亡くしても彼の心の中に生きると決意する。
という設定が意外なほど感動的だ。師匠が自分でも自分の素行を直していくところが面白く、これが役所広司が声を当てているのはなるほどなあと思う。
細田守監督の単独脚本なれど本作はよく整ったものだと思う。細田の単独作品は評価が低い傾向にあり、今劇場公開している「果てしなきスカーレット」もそれで酷評の嵐だ。
だが、本作は師匠も弟子も成長するという設定を見る者に共感できるようにキャラ設定をしているので、乱暴者で下品な熊徹も車寅次郎や無法松みたいに思えてくる。