「五郎とゴロー」と同じく「ウルトラQ The movie 星の伝説」と同時上映されました。旧作を復習して、新作への期待を盛り立てたのですが、実相寺氏の新作は「ああ、見なきや良かつた」と云ふ出来で……まあそれはそれとして。
東京の人口抑制策として、人間を1/8のサイズに縮小してしまふ奇想天外な話です。カメラマン由利子(桜井浩子)は手違ひから縮小されてしまひ、S13地区と呼ばれる一画に収容されます。手違ひと呼ぶには余りに重大な事ですなあ。
逃げ出して恋人の佐原健二らに会ひに行きますが、既に自分は居ないものとして扱はれてゐることを悟り、失意のままS 13地区に戻るのでした。
この物語にはオチがあるのですが、管理社会への警戒が読み取れると思ひます。労働・納税の義務なし、お産の費用は無料、一言で言へば楽園だと甘言で釣り、その実態は為政者が管理しやすい社会を作る事でせう。
固有の名を廃し、全て番号で管理するのは、まさにマイナンバー制度を連想させます。準備稿では、それに気付いたS 13地区の住人達が反乱を起こすストーリーだつたさうです。完成作品では、由利子の個人的な悲哀に重点がシフトしてますが。
無論あり得ない話なのですが、もし理論的にこの政策が可能なら、現政権はかなり興味を示すのではないかと怪しむのであります。
いや、余計な事を申したやうです。ご無礼致しました。