これはボグダノビッチの「ワンス・アポンアタイム・イン・ハリウッド」である
ネタバレ
2020年1月6日に鑑賞。DVDにて。1時間33分33秒。ビスタサイズ。Lagniappe Films=RED GRANITE インターナショナル。
イザベラ・パターソンの愛らしさに抱きしめたくなった。イモジェン・プーツ素晴らしいです。
これは監督ピーター・ボグダノビッチと新進女優ドロシー・ストラットンの物語そのものである。
成されなかった「幸せ」をラストのイザベラと監督タランティーノという形で再現してみせた。タランティーノが「ワンス・アポンアタイム・イン・ハリウッド」でシャロン・テイトを蘇らせたように、ボグダノビッチが愛人ドロシーを再生させたのである。
献辞はないが、この映画は監督ボグダノビッチと脚本・製作のドロシ-の妹ルイーズ・ストラットンによってドロシーに捧げられているのだ。
1979年の「プレイメイツ・オブ・ザ・イヤー」に19歳で選ばれたドロシー・ストラットンは、ボグダノビッチの「ニューヨークの恋人たち They All Laughed」(1981)に出演し、監督との仲を知った夫に射殺された。1980年8月14日、20歳で亡くなったドロシー・ストラットン。スターの階段を登り始めた時の悲劇。生きていればスターになっていたでしょう。ボブ・フォシー監督「スター80」(1983)で彼女の人生が映画化されている。そのドロシーを本作の中で蘇らせたのである。もちろん、ドロシー役の女優は金髪でなくてはならない。
8年後、49歳のボグダノビッチはドロシーの20歳の妹ルイーズと結婚している。その際、ドロシーに似せて整形させている。何とヒッチコックの「めまい」そのままではないか。13年後に離婚。ルイーズ・ストラットンは本作「マイ・ファニー・レディ」で共同脚本と製作を担当している。この「KINENOTE」には記載されていないが、映画ではルイーズ・ストラットンの名前がある。この二人、どういう関係なんでしょうか。
ドロシー・ストラットンの写真を見ると、かつてのボグダノビッチの妻だったシビル・シェパードにそっくりなのである。なるほどなあ。本作には、シビル・シェパードも、テイタム・オニールも出演している。
という事実は置くとして、この映画はシチュエーション・コメディの傑作となった。俳優たちが皆素晴らしい。適役・好演である。脚本が素晴らしいのは言うまでもない。
映画的記憶がちりばめられている。ボガートとバコール、「ラナ・ターナーはハリウッド大通りを歩いていた時にマービン・ルロイに見出された」、「ティファニーで朝食を」、「スポイラース」などなど。