今日12月9日は、たけし軍団がフライデー発行元講談社を襲撃した日だそうだ。今日は何の日として、歴史に刻まれているということか。演芸場からテレビの世界に入り、当時は漫才からコント、バラエテイ番組、情報番組司会と活躍していたビートたけしとその弟子たちの写真週刊誌に対するストレートな怒りをそのまま行動に移した事件だった。当然のことながら、皮肉をこめ良識あるテレビにおいては、自粛の期間を迎えることになった筈である。いわば、反社会的な行為を行ったという世間の判断がそのようにさせたという事なのだろう。
この映画の登場人物は、犯罪歴を誇り、刑務所生活の長さを基準として生きる元組織暴力団に属していた人たちである。それぞれが得意な、いや特異な技能を有し生きてきた人であり、一般市民の殻を突き破って生き、今もその価値観が染み付き、どうしようもなく世の中にはじかれている。特に今は、貯金通帳も作れず、まさに人権問題として、社会に訴えなければならないほどとも思えるのだが。
老いてまだまだ一肌挙げる気力を持ち、暴れまくる。そして、現代の詐欺や犯罪として稼ぐグループとの対決である。やくざ映画を地でいく殴り込みは、特攻隊崩れがヘリで駆けつけ、大型バスをハイジャックし、カーチェイスを繰り広げるのだ。一人一人を見ると、今は悲哀な境遇のなかで、生活しているが、この7人の侍たちは、いきいきと暴れ、逮捕を歓喜するかのように終わるラストシーン。痛快である。
配役も映画界で主役、名脇役として輝いていた役者が揃い、その個性と得意技を充分に活用したストーリー展開には、リスペクトを感じる。
そして、笑わせるのが、女装した藤竜也の逃走シーンや死んでしまった中尾彬を楯にして、仲間からも敵対するグループからも傷を負うシーン、蕎麦屋で客の注文を予想しての賭けシーンなどだ。
北野武監督として、海外で評価される作品も独特の味が魅力であるのだが、このような世間の常識を笑い飛ばす作品を、昔のB級作品がそうであったようにどんどんつくって貰いたいものだ。フライデー襲撃事件に匹敵するような衝動を期待したい。