妻の病 レビー小体型認知症

つまのやまいれびーしょうたいけいにんちしょう|----|----

妻の病 レビー小体型認知症

レビューの数

3

平均評点

71.3(8人)

観たひと

13

観たいひと

4

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドキュメンタリー / ドラマ
製作国 日本
製作年 2014
公開年月日 2014/12/20
上映時間 87分
製作会社 いせフィルム
配給 いせフィルム
レイティング 一般映画
カラー カラー
アスペクト比
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

演出伊勢真一 
撮影石倉隆二 
録音渡辺丈彦 
音響効果米山靖 
バンドネオン大久保かおり 
コントラバスカイドーユタカ 
題字/タイトル細谷亮太 
編集技術尾尻弘一 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

高知県南国市で小児科医を開業する医師と、認知症を患った妻との10年に渡る闘病の様子を追ったドキュメンタリー。綺麗ごとだけでは済まない日々を見つめることによって、病を経験して絆を深める夫婦の愛情が浮かび上がってくる。監督は「大丈夫。 小児科医 細谷亮太のコトバ」など数々のドキュメンタリーを手掛ける伊勢真一。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

高知県南国市で小児科医を開業する62歳の医師・石本浩市さん。彼の妻は“レビー小体型認知症”という病気を患っていた。妻の石本弥生さんは、石本さんとは幼なじみ。50代からは若年性の認知症を患い、10年に渡って夫婦で病との戦いに明け暮れてきた。小児がん治療と地域医療の取り組み、妻・弥生さんの認知症との格闘、決して綺麗ごとでは片づけられない日々。石本さんは医師ならではの観察眼で、弥生さんの発症以来の日常をまるでカルテを書くように事細かに記録していた。認知症が進行し、今では身の回りのことがほとんど何もできなくなった弥生さん。その弥生さんに深い愛情を持ってケアする石本さん、家族、親戚、地域の人々。この映画は、四国・南国市の豊かな自然に育まれ、支え合うように生きてきた1人の医師と、認知症の日々を生きる妻との10年間に及ぶ“いのち”を巡る物語である。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2015年1月下旬号

読む、映画:「妻の病 ―レビー小体型認知症―」

REVIEW 日本映画&外国映画 公開作20作品、60本の批評:「妻の病 ―レビー小体型認知症―」

2015年1月上旬号

UPCOMING 新作紹介:「妻の病-れびー小体型認知症-」

2015/01/08

2015/07/19

65点

映画館/東京都/K’S CINEMA 


妻をささえる夫と姉

この映画、まずは、レビー小体型認知症という病気を知らしめるもの。

最近、女優の檀ふみによってさまざまな認知症があることを啓蒙する公共CMが登場しているので、名前は知られはじめていると思う。
が、実際の症例を観るのは、今回がはじめて。

パーキンソン症状に幻視・幻聴、それに記憶障害と症状が輻輳している。
記憶障害に加えて、身体能力が衰えているため、介護する側としても相当苦労している。
その苦労の様子は、石本さんとともに弥生さんを介護している彼女の姉が語る次の言葉からもうかがえる。

「介護経験が長く、アルツハイマーの患者には慣れているが、今回の病ははじめてなので、当初はかなり困惑した」

しかし、病は患っていても、弥生さんの感情は元気な頃と変わらず、悲しいときには泪するし、楽しいときには当然に笑う。

石本さん自身にも鬱症状が出た介護開始当初に、東京の施設にはいった弥生さんから送られてきた短い手紙が泣かせる。
病を患っている自身よりも、医師として、介護者として疲れ果てた石本さんを労(いた)わる気持ちが伝わってくる。
それも、自身の名前・弥生という文字を書くのも、もう覚束ないというのに。

ポスターにもあるとおり、寄り添って生きるふたりの姿が印象的。

ただし、現在進行形の物語でもあり、いろいろと制約があるためか、やたらと風景が写し出されます。
ナレーションで巧みに処理はしていますが、そこいらあたりは、いかんともしがたいですね。

2015/02/07

2015/02/18

80点

映画館/静岡県/静岡シネギャラリー 


ラ・クンパルシータ

伊勢監督は、小児科医師・石本浩市さんと小児がんの子どもたちのキャンプで出逢い、『風のかたち』というドキュメンタリー映画を製作した。以後友人となった石本さんの妻・弥生さんが認知症になってしまった。「物が動く」「誰かが来て見張っている」などと言っては不安を訴え、当初は統合失調症と診断されたが、その後レビー小体型認知症との診断が下された。石本さんが妻の症状についての記録を、綿密に書いた日記が決め手となった。このレビー小体型は、普通の医者が見てもなかなか判断が難しい病気。それによって薬も違う。医者が短い時間で診断するより、身近にいる家族が一番症状が分かる。病人の日常を、とにかく細かく記録することは重要だ。

映画は偶然にも、2011年3月11日から始まる。石本医師から、妻の話を聞いてくれと伊勢監督に依頼があり、カメラを回した日が、たまたまその日だった。日本中が震災で大パニックに陥っていた時であるが、石本さんは妻のことで頭が一杯だ。メディアの発展で、世界中の出来ごとが自分の目の前にあると思えてしまうが、切実なのは、本当に自分の目の前の出来ごとなのだ。

このドキュメンタリー映画では、認知症そのものを丁寧に教えるのではなく、夫婦の愛情物語として描かれている。病気を抱えた妻を大切に看病する夫との、ラブロマンスみたいな映画だ。

弥生さんは、食事も一人ではできない。洗濯物もたためず、家事は唯一、掃除機を回すだけ。それも同じ所をずっと掃除している。夫の名前も思い出せないこともある。そんな妻の相手をして、石本さんも鬱病になってしまったというが、映画では苦労の様子はあまり写されない。むしろ、そんな生活の中でも、夫婦で笑い合っている姿が、多く目につく。とぼけたことを言う弥生さんに、石本さんはつい笑ってしまうのだ。

弥生さんが楽しそうに歌う姿も多く撮られている。タンゴの「ラ・クンパルシータ」をやたらと口ずさみながら笑うのだ。どうしてこの歌なのか、石本さんにもさっぱり分からない。この曲について、何か楽しい思い出でもあるのだろうか。弥生さんがこんな状態になってしまった今では、もうその真相を聞きだすことはできない。人の心というのは、実に謎が多く、摩訶不思議である。

弥生さんの見せる無邪気な笑顔を、素直にかわいいと石本さんは感じたことだろう。病気になったことによって、妻の本当の人柄が見えてきた。病気自体は不幸なことだが、それによって夫婦の絆が強まったことは事実だろう。優しく接してくれる夫のことを、弥生さんも嬉しく思っているに違いない。

2015/01/02

2015/01/16

80点

映画館/東京都/K’S CINEMA 


行き着く先

小児科医師である石本浩市さんの妻は、レビー小体型認知症と診断された。夫婦、家族の物語。ドキュメンタリー作品。

高知で暮らす、実在の人々のお話。認知症になりながらも夫を思う弥生さんの気持ちには心が締め付けられた。やよいさんのお姉さんがいたから、なんとか石本夫妻は絆を壊すことなくやっていられるのだと思う。その実態は壮絶なのだろうけれど、お姉さんや石本さんの愛に包まれて暮らしている弥生さんはとても幸せだ(*´▽`*)そこには本当の愛が見える。

とても羨ましくなった。