ピアノの速弾きを真上から撮る構図で始まる。これでカットを割らず、ピアニストを
写したら面白いな、と思ったら、なんとそう来た。
ソフィーが後ろ向きで階段を落ちる。
ここでもカットを割らず、階下でくたばっているソフィーを写す。
映画好きをさりげなく驚かし、数々の名画のオマージュを散りばめる。
フランス映画の伝統である小粋さを生かした、実に洒落たロマンティック・コメディ。
40歳台半ばのソフィーをここまで魅力的に撮るなんて見事の一語。
フォトグラフ的美しさだけでなく、つまづく、落ちる、コケる、とアクションをからめ、
自然体の中で、キチッと魅力を引き出す。演出のイタズラぽっさも計算するしたたかさ。
そして、子供嫌いを公言していたG・エルマレが、
三人の子供たちごとソフィー一家を受け入れる。ハッピーエンドがまた嬉しい。