ベルリン特急

べるりんとっきゅう|Berlin Express|----

ベルリン特急

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レビューの数

5

平均評点

67.0(13人)

観たひと

24

観たいひと

2

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 アメリカ
製作年 1948
公開年月日 1951/4/17
上映時間 0分
製作会社 RKOラジオ映画
配給 セントラル
レイティング
カラー
アスペクト比
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

ドア・シアリー(「戦場」)の指揮により、カート・シオドマクの原案をハロルド・メドフォードが脚色し、「恐ろしき結婚」のジャック・ターナー(トールヌール)が監督した1948年度映画で、製作はバート・グラネット。「謎の下宿人」のルシアン・バラットが撮影、「追求」のフレデリック・ホランダーが音楽を担当している。「嵐ケ丘」のマール・オベロン、「罠(1949)」のロバート・ライアン、「誤解」のチャールズ・コーヴィン、「ラインの監視」のポール・ルーカスが共演する。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

パリからベルリンに直行する特急「マイン・ザイネル」には、アメリカ人技師リンドレイ(ロバート・ライアン)以下の各国人が乗り合わせていた。列車はザルツブルグで突然急停車し、乗客の独逸人が殺害された。彼は連合国の要人ベルンハルト博士(ポール・ルーカス)の替玉であった。この事件を重視したフランクフルトの米軍では早速乗客調査を開始したが、この町でベルンハルト博士は行方不明になってしまった。秘書のリュシエーヌ(マール・オベロン)らの働きにより、リンドレイは博士が独逸国家主義達によってカフェの酒庫に軟禁されていることをつきとめ、米軍の一斉包囲によって博士を救出し、一味を絶滅した。再び列車はベルリンに向かったが、車中リンドレイはふと怪しい男がベルンハルト博士を刺そうとしているのをみつけた。素早い彼の一発で怪人は倒れ、博士は事なきを得たが犯人は同客のペロ(チャールズ・コーヴィン)という自称フランス人、実は国家主義陰謀団に加わるドイツ人なのであった。ベルリンの廃趾に立った乗客達は、全独統一の願いを胸にひめて、おのおの任務に散って行った。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1951年5月下旬号

外國映画批評:ベルリン特急

1951年4月下旬号

外國映画紹介:ベルリン特急

2021/05/16

2021/05/16

67点

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列車サスペンスに・・・

2021年5月16日に鑑賞。DVDにて。1時間26分21秒。スタンダード・黒白。RKO RADIO PICTURES。一部、ドイツ語、フランス語、ロシア語。

監督:ジャック・ターナーは「過去を逃れて」(1947)が代表作でしょう。

開巻のタイトル『Actual scenes in Frankfurt and Berlin were photographed by authorization of The United States Army of Occupation, The British Army of Occupation, The Soviet Army of Occupation.』と出る。

米軍占領下のフランクフルトとベルリンの街が映し出される。瓦礫の山である。初めて知ったが、フランクフルトは米国占領下なんだ。軍需企業だった I. G. ファルベン社の焼け残った本社ビル(巨大である)に『欧州戦域米軍本部 USFET 』が置かれて欧州全域を統括していたのである。

パリからフランクフルト中央駅へ米陸軍の特急列車が運行されている。乗客は米軍兵士や米政府、米軍関係者である。更にフランクフルトからベルリンへ。

ベルリン市街の焼けた総統官邸、国会議事堂、ブランデンブルグ門、ウィンターデンリンデン、ティアガルテン、アドロン・ホテル(ADLON HOTEL)などの実際の映像が見られる。

通貨よりも「タバコ〇本」という通貨が流通している。モグリ酒場への入場料は「2人でタバコ4本」。フランクフルト駅では、多数の市民が外国人にマイセン陶器や骨とう品を売ろうとしている。また、米兵がロシア軍人に「ヒトラーの直筆の手紙」をタバコ2箱で売ろうとする。モグリ酒場では客が捨てた吸い殻をほぐして巻紙を捨ててタバコを混ぜて1本に再生して売っている。博士が吸うタバコは少し長く、巻紙に「B」という文字が印刷されている。

映画は設定を今ひとつ生かし切れていない。もったいない。サスペンスの醸成も今一つである。列車内のサスペンスがない。開巻で客室の7人を入念に紹介したのに、あっさり爆発が起きてフランクフルトに着いてしまう。フランクフルト駅でこれもあっさり他の5人に彼がベルンハルト博士だと知れてしまう。本物の博士とバレるかどうかというサスペンスも皆無である。偽の博士が身代わりに爆死した意味がないよ。

乗客は米国人の政府の農業専門家ロバート・J・リンドリー(ロバート・ライアン)、鉄業者オットー・フランツエンとその秘書のフランス人リュシエンヌ・ミルボー(マール・オベロン)、英国人の教師J・スターリング、ソ連占領軍マキシム・キロシロフ中尉、フランス人実業家アンリ・ペローとドイツ人ハンス・シュミットという構成である。この多国籍人たちが誘拐された博士をフランクフルト市内で探し回る。これはラストの博士「地球が一つになるには、憎むべき星が必要だ。だが、希望はある。世界平和は訪れるさ」リュシエンヌ「世界が落ち着いたら皆でまた会えるわ」に代表されているように、各国・各国民間の融和を表現するためだが、5人が博士を探すという構成は物語に弛緩を与えている。

ロケ場所の破壊されたフランクフルトの廃ビール工場が良い(セットだとしても素晴らしい)巨大なビール醸造樽が乱立している。ロバート・ライアンは木樽の蓋が破れて樽の中に落下し格闘が続く。樽の底から樽の蓋の破れ目を通して上の人物を撮った仰角の映像が白眉である。

ヒッチコック「三十九夜」(1945)と似た描写がある。モグリ酒場の舞台の読唇術の女に「ハインリッヒ・ベルンハルトはどこだ?」とリンドリーが質問する。また、同じく列車もの「その女を殺せ」(1952・監督:リチャード・フライシャーの大傑作)に似た描写がある。反対のホームに停車した列車の窓ガラスに、こちらの列車内が映る場面。

博士の古い友人のヨハン・ヴァルター教授が持っている妻ヒルダがくれた「ハイデルベルクの塔のオルゴール」

2020/08/13

2020/08/17

58点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 


人物が活かしきれず

向かいの列車の窓に写る個室の状況。それが列車の活かしどころ。暗号文は単純だし、登場人物が活かしきれておらず、不満が残る。

2020/08/09

2020/08/09

-点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 
字幕

『ベルリン特急』。戦後のベルリン、フランクフルトでロケーション。見るも無残な破壊の後、残骸だらけの街。しかし連合国が使うための施設はほぼ無傷。パリ発の列車に乗り合わせた複数国の人々が誘拐された連合国軍の要人の救出に手を貸す。一人ずつ乗るエレベーター。「大学祝典序曲」のオルゴール。

2020/08/08

2020/08/08

65点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 
字幕


フリッツ・ラングが好みそうな題材ですが、サスペンス性はそれほど強くなく、戦後処理を巡っての諸問題をいかに進めるかという問題を俎上に載せようとした作品のようです。
しかし戦後間もない製作ということもあって、まだ冷戦がさほど顕在するに至っておらず、米英仏ソの4国が、始めはギクシャクしていた関係であったものが、呉越同舟よろしく、共通の利益のために、大同小異の目的に向かうという大人の対応ぶりが描かれます。

舞台はパリからベルリンへ向かう特急列車の進行に合わせて展開し、戦後処理の一環であるドイツやベルリンの分割問題に関わる人物を巡っての利害の対立が最大の問題となっていて、殺人や関係者の拉致などの手荒な方法が横行し、守旧派に対して連合国側は軍隊まで投入して沈静化しようとしていて、大局的な問題が局所的抗争によって解決に至るという、バランスを欠いた流れはずいぶんと粗い気もします。
しかし、当時の街の破壊・荒廃ぶりのアーカイブ映像的興味が満たされましたので、ストーリーには目をつぶっても良いかもしれません。

2020/04/03

2020/04/03

70点

購入/DVD 
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敗戦後のドイツの瓦礫風景が印象的

第二次世界大戦での敗戦国ドイツが(英米仏とソ連によって)4分割されていた風景をとらえながら、要人殺人事件を追うかたちのサスペンス映画。
出演はロバート・ライアン、マール・オベロンなど国際色豊かな俳優たちが多い。監督はジャック・ターナー。敗戦後のドイツの瓦礫風景が印象的。

この映画を観ようと思ったのは、川本三郎さんの著書「サスペンス映画ここにあり」で紹介されていたから。
個人的に「この本で紹介されているサスペンス映画(55本)は全て観よう」というのを目標にしているが、あと7本未見。

パリからベルリンに向かう列車の中で、ドイツ統一を訴える教授を暗殺しようとするナチス残党一味だったが…。
そして、拉致された教授と各国代表の乗客たちによるチェイス&戦いが始まる。

それなりに面白い映画であったものの、サスペンス映画という雰囲気は少し不足していた気がする。