戦火の愚かなる英雄

せんかのおろかなるえいゆう|A FAREWELL TO FOOLS|A FAREWELL TO FOOLS

戦火の愚かなる英雄

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レビューの数

3

平均評点

59.1(13人)

観たひと

19

観たいひと

1

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ / 戦争
製作国 ルーマニア ドイツ ベルギー
製作年 2013
公開年月日 未公開
上映時間 84分
製作会社
配給 彩プロ
レイティング
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

ナチス占領下の村で起きたドイツ兵殺人事件に翻弄される人々の姿を描いた戦争ドラマ。ルーマニアのある村でドイツ兵が殺害される。将校は犯人が見つからなければ村人全員を射殺すると宣告し…。ジェラール・ドパルデューとハーヴェイ・カイテルが共演。【スタッフ&キャスト】監督:ボグダン・ドレイヤー 脚本:アヌサヴァン・サラマニアン 出演:ジェラール・ドパルデュー/ハーヴェイ・カイテル/ラウラ・モランテ/ボグダン・イアンクー

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2024/01/07

2024/01/10

64点

VOD/U-NEXT 
字幕


ナポレオンとドイツ兵とフランス国歌

ドイツ兵殺害犯を明朝5時までに差し出さなければ,村の重要人物10人を見せしめに処刑します.そう宣言されたのは,ルーマニアの寒村でした.犯人の捜索ははなっからする気がなく,有力者達はイプーと渾名されるのおさーんにるよう説得します.イプーさん,一次大戦参戦のおりに頭に銃弾を受け,オツムの方が若干緩くなっていました.犯人になってくれたら,名誉ある葬儀と広場を本名のセオドア広場と名付ける等々,なんとか有力者達はイプーさんをおだてますが・・・

寓話としては興味深いお話でありますが,イプーさんが言ってるほどには白痴じゃないですし,それなりに交渉したりで高低差が少ねぇと感じた次第,刑執行直前の大逆転はさすがに笑ってしまいましたが,その後のイプーさんの行動については賛否がございましょう.私は否定的な立場ですけどねっと.

2020/08/27

2020/08/30

75点

選択しない 


愚か者は誰だろう、英雄は誰だろう。

第二次大戦中のルーマニアの村で起きた珍騒動を描いた歴史映画。ウィキペディアで調べるとルー
マニアの立ち位置は枢軸国。映画でも、独軍のフリードリッヒが、神父ロマンの甥っ子のアレックスに
サイドカーバイクを勝手に乗らせるシーンがある。しかしそのフリードリッヒが首をナイフで切られ、絶命。
組織的なレジスタンスがある国のようにも思えないが、反ナチスの仕業か。
アレックスは神父のロマンに知らせる。町の要職者たちは、独軍に丸投げ。警察署長たち警官が
フリードリッヒの死体を独軍の駐屯地へ持ち込む。
独軍の駐屯地の大尉は、部下の惨殺に怒り心頭に発する。明朝の5時までに犯人を引き渡さなかった
なら、町の指導者10人を銃殺すると宣言。町の広場に10脚のイスと黒い目隠しがかけられ、プレッシャー
をかける。枢軸国側の友好国だが、この強圧的な姿勢は占領国と変わらない。

アレックスの遊び友達は中年男のイプ(ジェラール・ドパルデュー)、第一次大戦の死体の山からの
唯一の生き残り。しかし頭の中に銃弾が入ったままでほぼ廃人。村人の好意で生活している。
アレックスとはナポレオンごっごで遊ぶ。ラ・マルセイエーズを聞くと条件反射のようにピリッとする。
ルーマニア人なのだが自由と平等を愛する共和国びいきなのかな。

神父ロマン(ハーヴェイ・カイテル)の頭に浮かんだのが、イプの身代わり出頭。犯人を捜すことなんて
不可能。それだったら、イプにすべてを含ませて自首させよう。しかしイプにはそんな芸当は出来る
はずもない。医者はイプを診断して、一年も寿命がない、とにわか余命宣言。町長、署長、神父らは、
よってたかってイプを英雄に仕立て上げる。イプも満更でもなく、葬式のリハーサルまで要求。
さらには神父の持つ一等地の地所の権利、町長からの莫大な金銭の譲渡まで、書類に残すことになる。
今まで薄らバカを演じてきたイプの変わり身がオカシイ。

自己保身に走るお偉いさんを笑い飛ばすブラックコメディとして快調。dorosukeさんによると、オリジナル
があるようだ。基本線の骨格が担保されているのだろう。意外な収穫に喝采。

2017/01/08

2017/01/11

90点

VOD/GyaO!/レンタル/テレビ 
字幕


緊張感のあるブラックコメディ

ネタバレ

この映画の核心は、イプを説得する晩さん会の部分からだと思いますが、10人の権力者側の身勝手な発言は結構失笑をもたらします。取り乱したり、偽善者そのものだったり、イプが承諾するとなると、要求を悉くのんだりと、それも公証人に書類を作らせて。
一方、イプは英雄として祭り上げられ、実感として感じ、満足そうです。そして、親類の為に、権力者の財産の譲渡を要求します。結構したたかです。

ところが、期せずしてナチスが去ってしまうと、一瞬で名誉も財産も失うことに。狂喜する村人と落胆するイプの構図の中で。手に拳銃を持ったイプの緊張感は相当のものでした。自殺しようとするイプをなだめようと、アレックスがナポレオンゲームを展開します。「生きては捕虜にならない」とイプにこの場面で言葉で言われれば、緊張は増幅します。素晴らしいです。

そして、ラスト。アレックスの「ラ・マルセイエーズ」に対する敬礼で、いつものイプに戻ったと感じました。

この映画、ドバルデューがイプとして名優ぶりを発揮、ハーヴェイ・カイテルが神父としてイプの説得につとめ、のどかなルーマニアの田園で起こった一コマとして、良くまとまったいい映画だと思います。

しかし、一般的に評価が高くないようで、何でかなと思って、IMDBのコメントを読んでみると、この映画リメイクなんですね。それも、ルーマニア映画の中でも名作として名高い映画をリメイクしたようです。「Atunci i-am condamnat pe toti la moarte (Then I Sentenced Them All to Death)」 という1972年の映画で、監督は「セルジウ・ニコラエスク」。こちらは、シリアスなドラマとして作られ、今回の映画は、この原作をコメディタッチに変え、かつラストも救いがあるように改変したものらしいです。この元の映画のほうは、YouTubeで全編見ることができます。ただし、ルーマニア語、字幕はありません。ただ、見た感じストーリーは似たように進みますが、雰囲気は相当違います。したがって、この元の映画を知っている人にとっては、この映画には決していい評価は与えられないのでしょう。なんとなく解ります。
元の映画、一度じっくり見てみたいと思いました。