2001年宇宙の旅(1968)の映像体験以来のインパクトを感じたSFだった。
私が考える本作の大きなテーマは3つ。
1つ目は自然環境の大変動により地球から異星への移民というプロジェクト(ラザロ計画)の途方もない困難さと克服するための人類の活動。
これはかつてのアポロ計画を共産主義のソ連を破綻に追いやるための政策と教える教員(恐らくそう教わってきたのだろうし、その1面もある事は見過ごせないが)から、NASAのミッションが極秘に進められていることのリアルさが際立つ。
しかも結局当初は移民計画(プランA)は無理筋で、実は人類の受精卵と1部の人間のみを生存させるプランBが本筋であることは驚愕であるが現実的で説得力があるが怖い話だ。
ただこのデイストピアの要因の説明が乏しいのは物足りないかな。
それとアメリカを中心とした話の進め方もやや違和感が残る。
第2に親子愛と4次元空間(?)のドラマの映像化が感動的でかつ挑戦的で素晴らしい。
10代だった娘に起こるポルターガイスト的事象が、実は3次元の現後の宇宙飛行の結果としてブラックホールに入ったことによる4次元空間侵入による父親の娘に対するメッセージだとわかる。
主人公は宇宙飛行士として宇宙における時間の速度の倍化(高密度化?)によって生物としては不変だが逆転現象によって老いた研究者で移民計画を成功に導いた娘がなお戻って来ると父を信じる娘の情愛に涙腺が緩んだ。Eバーステインが好演。
流石に移民した場面は描けなかったのはしょうがないかな。
第3に「2001年~」では人間を支配しようとするAIが本作ではロボットの形態に搭載された自立型AIとしてあくまで人間に奉仕する存在として描かれたことは大きな違いだった。
ただ現時点でそうなるのかはAI研究者と企業のモラルと管理する社会・国家の在り様が未だに課題として残されている。
169分の長尺だが、特に中盤以降の映像体験は素晴らしい展開だった。