プロ・アメリカン・フットボールチームに同期入団した2人の若者。白人のブライアン・ピッコロ(ジェームス・カーン)と黒人のゲール・セイヤース(ビリー・ディー・ウイリアムス)は同じバックスのライバルとして、またチームメイト、ルームメイトとして友情を育んで行く。そんな2人の成功と挫折と再生と…、そして死を描いた作品です。
70年にアメリカのTVムービーとして製作され、NHKでのTV放映の後、人気が出て79年に劇場公開されました。
映画全編を包み込み、登場人物たちを慈しむような暖かく美しい音楽。要所要所でメインテーマが流れて涙腺を刺激しますが、この音楽を作曲したのはなんと(TVムービーなのに)ミッシェル・ルグラン!!素晴らしいです~。
(サントラを注文してしまいました)
この映画は60年代のシカゴを舞台にした実話に基づいた物語で、60年代と言えば、地方や南部では黒人差別がまだ色濃く残っていた時代。そんな時代にチーム・マネージャーは全米で初めて、白人(ブライアン)と黒人(ゲール)を同室のルームメイトにする。
ブライアンはジョークやイタズラを交えながら、ゲールにストレートに接し、彼の心を開いていく…。このブライアンを演じるジェームズ・カーンが素晴らしいです!骨折したゲールの復帰に尽力し、やがてブライアン自身が重病に倒れてしまう…
わずか72分の作品ですが、アメリカン・フットボールの試合映像を挟みながら、状況の推移を物語り、ブライアンとゲールの友情とそれぞれの人間性や心情、夫婦愛、夫婦ぐるみの4人の友情、チームメイトたちの仲間意識などをきめ細かく、そして手際よく描写していきます。その場面展開はリズミカルでさえあり、押しつけがましくなく、温かく爽やかな後味を残します。
印象深いシーンは、骨折のリハビリに疲れて愚痴を言うゲールを、ブライアンが「コーヒー豆」とからかう場面、険悪になるかと思ったら、「お前よくそんなことが言えるな」と爆笑になる…。これだけで、ゲールがリハビリの暗闇から立ち直り、2人が人種の壁を越えて信頼を深めて行く様子が伝わってくるのです。
「誰もがブライアンを思い出す。それは彼の死に方ではなく、生き方だ。いかに生きたかだ」
いい作品です
ぜひご覧ください