いちご白書

いちごはくしょ|The Strawberry Statement|----

いちご白書

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レビューの数

50

平均評点

70.8(190人)

観たひと

279

観たいひと

13

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 アメリカ
製作年 1970
公開年月日 1970/9/26
上映時間 109分
製作会社 ロバート・シャートフ=アーウィン・ウィンクラー作品
配給 MGM
レイティング
カラー カラー
アスペクト比
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

アメリカの学園紛争の中に描かれたある青春。製作は「汚れた7人」のアーウィン・ウィンクラー、とロバート・チャートフのコンビ。監督はテレビ出身の新人スチュアート・ハグマン。ジェームズ・クーネンの原作を新進劇作家イスラエル・ホロヴィッツが脚色。撮影はマイク・マークィリーズ、音楽はジョニー・ミッチェルほか、美術はジョージ・W・デイヴィス、プレストン・エイムズ、編集はマージョリー・ファウラー、フレドリック・スタインカンプ、ロジャー・J・ロスがそれぞれ担当。出演は「去年の夏」のブルース・デイヴィソン、「勇気ある追跡」のキム・ダービー、ほかにバッド・コート、マーレイ・マクロード、ボブ・バラバン、ダニー・ゴールドマン、エドラ・ゲール、それに原作者のジェームズ・クーネン、脚色のイスラエル・ホロヴィッツなど。1970年(第23回)カンヌ映画祭で審査員賞を受賞。メトロカラー、メトロスコープ。1970年作品。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

サイモン(ブルース・デイヴィソン)の大学は、目下ストライキ中だ。学校当局が、近所の貧しい子供たちの遊び場になっている土地に、予備将校訓練隊のビルを建てようとしたのが、そもそもの始まりだった。これに社会不安、政治状況がからみあって、騒ぎは深刻の度を加えていった。サイモンはボート部員で、学校友だちのチャーリー(ダニー・ゴールドマン)と同居していたが、ある日、見物がてら警備線の張りめぐらされた、構内に入って行った。チェックを受けて本館に入ると、内は占拠学生で賑わっていた。総長室で用を足すカップル、天井から入り込むベントン博士(イスラエル・ホロヴィッツ)、オルガナイザーのエリオット(ボブ・バラバン)、議長役の学生(ジェームズ・クーネン)、など、サイモンの好奇心を刺激してやまなかった。そこで、偶然、校門のところで魅かれた女の子に出会った。彼女はリンダ(キム・ダービー)といい、女性解放委員をしていた。リンダと知り合ってから、サイモンは積極的に闘争に参加するようになり、舵手のエリオット(バッド・コート)を、篭城組にひき入れてしまった。しかし、リンダには、闘争に対するサイモンの態度が気に入らず、またボーイフレンドのいる身で、いつもサイモンと一緒にいることにもたえられず、彼から去って行ってしまった。リンダのいなくなった篭城生活は、サイモンにとって、バラ色の光を失ってしまったが、反対にゲバルト闘争に対する本質的な眼が開きはじめた。そして、右翼のボート部員ジョージ(マーレイ・マークロード)に殴られたことから、急速に、運動の渦中へ入っていった。その彼の意識の高揚を待ち受けていたかのように、リンダが彼のところへ戻って来た。彼女と同じ目的のため、手をたずさえて行動することに、彼ははじめて、すがすがしい生き甲斐のようなものを感じた。時が経つにつれて、当局の腐敗が暴露され、学生の怒りは、奔流となってあふれ出した。ついに、当局は実力行使を決定。武装警官隊は州兵の応援を得て、バリケードを破り、屋内に突入して来た。講堂に数百名の学生たちが集結していた。侵入者たちは、大義名分を盾に、暴力をふるい、襲いかかった。学生たちは、学内いっぱいに波紋のような輪をつくり、怒りをころして抗議をつづけていた。しかし、棍棒はようしゃなく振りおろされ、輪はたちまち寸断されてしまった。学生たちは、次々に排除され、サイモンとリンダもその中にいた。2人は、たがいにかばい合い、権力の暴力に抵抗した。棍棒がリンダの顔を鮮血で染めた。サイモンは純粋な怒りをもって、警官に躍りかかっていった。だがやがて、学生の反抗は、圧倒的な武力の前に鎮圧されてしまった。しかし、いま、沈黙をよぎなくされた、これら若き怒りたちは、明日の反乱の日を求めるかのように、学内を彷徨い続けていた。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

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2024/02/29

2024/03/02

70点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
字幕


ノスタルジー

ネタバレ

ストライキが始まった学内に気になる女子学生を見た男子学生が、激しくなる大学紛争の中でその子を恋人にしようとする。
学生はボート部員、中はガチガチの体制派ばかりで学生自身も当初はストライキがどこか遠いものだった。ところがスト中の女子学生が気になり、興味本位も手伝ってストライキに加わる。その気になる子と同じ食料調達係に任じられたことから二人の仲が始まる。
1970年の作品。原作はコロンビア大学の大学紛争に参加した学生が紛争の模様を書いたノンフィクション。本作品はそのノンフィクションを元に作られたフィクションで大学名も架空?のウエスタン大学としている。
作品は1960年代末の大学紛争を大所高所からではなく、関わった一人の学生の側から描く。女子学生との恋が進んだり止まったりする背後で学生たちと大学の対立が続く。二人も共にストライキを続けるが、ついには警察と州兵の突入となってしまう。
初めて見たのは、僕自身が学生だった頃で、学内で毎週催されていた上映会だった。
当時(1980年代初め)の学生は紛争や闘争というところからは相当離れていて、大学紛争がもう過去の出来事になっていた。だから当時の僕の感想は、そういうことがあったんだというもので終わっていた。
今回の再見ではいたるところでノスタルジーが先に立った。
主題歌「サークル・ゲーム」は初見の前から知っている。中高生の頃によく聞いていたNHK-FMの映画音楽の番組で録音した。映画小僧になったばかりの僕は映画音楽もちゃんと聴かねば…という意気込みで、放送のたびにラジカセにテープを仕掛け、ほとんどの曲を録音した。MC(当時は“司会”って言ってたんだっけか)の関光夫さんの声が懐かしい。※
アーウィン・ウィンクラーとロバート・チャートフの名を見つけた。本作品の製作者で6年後に「ロッキー」を作る。「いちご白書」もそうだけど、彼らは無名の人を掘り起こすのが好きなのだろうか。
スト学生の幹部の1人を演じたボブ・バラバン。70年代の後半から80年代の前半によく見た名バイプレーヤーで、語呂がいいせいかすぐ名前を覚えた。今では名を聞くだけでその年代が浮かぶ。※2
そんなノスタルジックな気分にひたりながら、学園紛争自体がもうノスタルジーの対象になっているのかなと、僕より上の世代の経験者が聞いたら目くじらを立てそうなことを思いつつ見終えた。

※ 当時は映画音楽だけで番組が成り立っていて、関光夫さんは邦洋問わず映画音楽を専門に紹介・解説する方だった。今はこういう人、いないなあ…。
※2 調べたら、ボブ・バラバンは今に至るまでコンスタントにいろんな作品に出ている。単に70年後半から80年前半に出た作品が僕の見た作品と重なったにすぎなかったみたい。

2024/02/04

2024/02/04

73点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
字幕


懐かしい

公開時に見逃し、学生時代にリバイバルで観た。
学生時代にはここで描かれている学生運動もほとんど収まっていて、ただ音楽と恋愛映画のような気分で観ていた記憶がある。
「サークルゲーム」は軽快なリズムでレコードも買った。キム・ダービーはこの前後に何作か映画に出演して人気もあったように思う。今見てもチャーミングな女優さんだ。どうしているんだろう。
時代が変わると映画の印象も変わってしまうが、学生時代に観た映画を歳を取って見直すと、映画そのものよりもその映画を観た時代を思い出してたまらなく懐かしくなる。

2024/01/02

2024/01/02

74点

選択しない 


音楽に魅せられ

公開当時、バフィ・セントメリーの主題歌がヒットして深夜放送でよく聞いていました。初めて見た時は学生運動が盛んな頃だったのでそのイメージが重なりました。今回見直してみると、大学の横暴さよりも運動に参加している軽薄な学生の様子が多く捉えられていて意外でした。映画以上にニール・ヤングなどの音楽が素晴らしくて印象に残りました。

2023/12/15

2023/12/15

55点

選択しない 
字幕


権力側の暴力と闘わなければいけない時もある

学生運動にのめり込んでいくサイモン、大学側の警察介入要請により、暴力的に立てこもっていた学校から排除されるラストの理不尽さ。ノンポリで暮らせていければいいけど、自由を奪われたり、あからさまな不正がまかり通るようなら、抗議の声はあげないといけない。今の日本と重ねて悲しい気持ちになりました(^^;;

ジョン=レノンやcsn&yのナンバーが気持ちよく流れます(^^;;

2023/12/12

2023/12/12

60点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
字幕


三度目の鑑賞。
60年代末のアメリカの大学生のセミドキュメンタリーみたいな作品で、今観るとNHK BSでよくオンエアされている番組みたい。
ジョン・ウェインの『勇気ある追跡』の小娘役が良かった、丸顔のキム・ダービーが可愛い。プルース・デヴィソンは近作でも脇役で見かける。
あの時代だったらユーミンの作った歌みたいに、授業を抜け出して観にいったかもしれないが、今となってはこんな学生達どこにもいないだろうから歴史の古い1ページに過ぎない。
CSNYによる音楽はいいのだけど、ジョニ・ミッチェルの名曲をベタなアレンジに変えたバフィ・セント・メリーの歌う主題歌がどうもダメ。

2023/12/12

2023/12/12

70点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
字幕


学生運動をテーマにした青春映画のカルト的名作の一つとして有名だが、我々の世代はこの映画はフォークソングで知った方が早い。
子供の頃の記憶としては学生運動というのは社会を壊す過激派という印象付けが強かったように思うが、この歳になって(人生経験を積んだ後になってということだが)当時の大半の若者は真剣に問題意識を持って発言、行動していたのだろうなということが分かってきて自分が恥ずかしくなる。
いつの時代にも時の権力、保守派は自分達を批判、批評する側を敵視し悪者に仕立て上げることで押しつぶし、隠そうとする。
表面的な事象ではなく、物事の本質を見抜くことは、必ずしも難しいことではないが、その為には周囲に流されることなく、常なる勉強が不可欠であることを人生の晩年になって知るのも厳しい現実なのだろうか。