ストライキが始まった学内に気になる女子学生を見た男子学生が、激しくなる大学紛争の中でその子を恋人にしようとする。
学生はボート部員、中はガチガチの体制派ばかりで学生自身も当初はストライキがどこか遠いものだった。ところがスト中の女子学生が気になり、興味本位も手伝ってストライキに加わる。その気になる子と同じ食料調達係に任じられたことから二人の仲が始まる。
1970年の作品。原作はコロンビア大学の大学紛争に参加した学生が紛争の模様を書いたノンフィクション。本作品はそのノンフィクションを元に作られたフィクションで大学名も架空?のウエスタン大学としている。
作品は1960年代末の大学紛争を大所高所からではなく、関わった一人の学生の側から描く。女子学生との恋が進んだり止まったりする背後で学生たちと大学の対立が続く。二人も共にストライキを続けるが、ついには警察と州兵の突入となってしまう。
初めて見たのは、僕自身が学生だった頃で、学内で毎週催されていた上映会だった。
当時(1980年代初め)の学生は紛争や闘争というところからは相当離れていて、大学紛争がもう過去の出来事になっていた。だから当時の僕の感想は、そういうことがあったんだというもので終わっていた。
今回の再見ではいたるところでノスタルジーが先に立った。
主題歌「サークル・ゲーム」は初見の前から知っている。中高生の頃によく聞いていたNHK-FMの映画音楽の番組で録音した。映画小僧になったばかりの僕は映画音楽もちゃんと聴かねば…という意気込みで、放送のたびにラジカセにテープを仕掛け、ほとんどの曲を録音した。MC(当時は“司会”って言ってたんだっけか)の関光夫さんの声が懐かしい。※
アーウィン・ウィンクラーとロバート・チャートフの名を見つけた。本作品の製作者で6年後に「ロッキー」を作る。「いちご白書」もそうだけど、彼らは無名の人を掘り起こすのが好きなのだろうか。
スト学生の幹部の1人を演じたボブ・バラバン。70年代の後半から80年代の前半によく見た名バイプレーヤーで、語呂がいいせいかすぐ名前を覚えた。今では名を聞くだけでその年代が浮かぶ。※2
そんなノスタルジックな気分にひたりながら、学園紛争自体がもうノスタルジーの対象になっているのかなと、僕より上の世代の経験者が聞いたら目くじらを立てそうなことを思いつつ見終えた。
※ 当時は映画音楽だけで番組が成り立っていて、関光夫さんは邦洋問わず映画音楽を専門に紹介・解説する方だった。今はこういう人、いないなあ…。
※2 調べたら、ボブ・バラバンは今に至るまでコンスタントにいろんな作品に出ている。単に70年後半から80年前半に出た作品が僕の見た作品と重なったにすぎなかったみたい。