数年振り6回目位か。数を重ねる度に本作の凄さに気付かされる。完璧な脚色に無駄が全くない演出、クロスカッティングのお手本の様な編集等々。今観てもクライマックスにおける極限の緊張感は凄まじい。ハワード・ショアの美しさと不穏さが共存している傑作スコアが冒頭からエンドロールまで盛り上げる。
ジョディの体現する女性像、映画史に残る蠱惑的キャラクターを造り上げたアンソニーの偉大性は勿論、レクターのお陰で霞んでいるが、テッド・レヴィンのバッファロー・ビルの猟奇性も強烈。そして、スコット・グレン演じるクロフォードが、クラリスに対し極くほんの僅かに醸し出す変態性が本作の隠し味。
数多の亜流を産んだのも納得の、全ての点において範となる映画だと再認識。