ピースフルという兵士の悲劇。強烈な反語。
ネタバレ
第一次大戦の塹壕戦ほど、残酷な運命を象徴するものはないだろう。
自分なら突撃命令を受けて、這い出ることが出来るだろうか。
冒頭、軍法会議で主人公トモの有罪が決定される。
そして幼少時代の思い出に飛び、イギリス下級階層の暮らしぶりが丁寧に描かれる。
チャールズとトモの兄弟愛、森林作業の父親の不慮の事故、
近隣に住むモりーに対し、競うような兄弟の愛、等々、かったるいほど続く。
この下絵の充実が戦場の描写に反映される。
毒ガス攻撃、中間地帯での砲撃に倒れ負傷したトモに、苛酷な突撃命令がかかる。
軍曹は命令不服従で軍法会議にかけるぞ、兵士を脅す。
純粋な愛国精神で入隊したトモに待ち受ける運命は、あまりに苛酷だった。
「西部戦線異状なし」の系譜を継ぐ反戦映画の佳作。