物語の筋は大したことないが、いちいちキャラクターがいい。主役級はもちろん端役まで魅力的。可愛く見えてくる。
主人公(?)もただのスケコマシではなく本気のスケコマシで嫌味がない。一つを突き詰めると魅力的に見えるんだなあと感心してしまう。
コメディでありながら背後に死の気配を漂わせているのもいい。まあ言ってしまえばコメディの基本だが、このバランス感覚は中々できるものじゃない。ラストに完全無欠のハッピーエンド、とはならず少し寂しい気持ちにさせられるのも上手い。観客の心の片隅に残ってしまう。
物語の構造が複雑なのは気になった。グランドブタペストホテルという物語を読む女性がいて、その物語は作者の回想で語られ、回想は作者が若い頃ホテルの支配人から聞いた話で、メインのお話はホテルの支配人が若かった頃の思い出という…何層にも過去へ遡る複雑な構造でできている。この複雑な構造にした意図は何だったのか。冒頭の女性は誰だったのか。
この辺り、色んな人と語り合うと面白いんだろうなー。