聖者の午後

せいじゃのごご|CORES|COLORS

聖者の午後

レビューの数

5

平均評点

68.7(14人)

観たひと

19

観たいひと

2

(C) KinoosferaFilmes

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 ブラジル
製作年 2012
公開年月日 2014/3/29
上映時間 96分
製作会社 Dezenove Som e Imagem=Kinoosfera Filmes
配給 Action Inc.
レイティング 一般映画
カラー モノクロ/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット HD
メディアタイプ ビデオ 他
音声 ドルビーSRD

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

再開発が続くブラジル経済の中心地サンパウロを舞台に、発展から取り残された若者3人の現実を美しいモノクロ映像の中に描き出すヒュ-マンドラマ。監督は、本作で長編デビューを飾るフランシスコ・ガルシア。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

サッカーワールドカップを控え、再開発が続くブラジル経済の中心地サンパウロ。30歳のルアラは、熱帯魚店で日々働いているが、その恋人で29歳のルイスは、職を転々、現在勤務している薬局もあと2週間で解雇となってしまう。そんな二人の友人である31歳のルカは、年金暮らしの祖母の家に住み、ほとんど客が来ないタトゥーショップを開いている。テレビではブラジルの経済成長を称えているが3人には全く関係がない。それぞれが今にも崩壊しそうな生活を送りながらも向かう先が全く見えず、3人で分かち合えるのは過ぎ行く時間をただ見つめることだけであった。そんな不安と焦りと諦めが交差する中、ある日、ルカが見つけた亡き祖父の銃でルイスはある行動に出る決心をする……。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2014年4月上旬号

UPCOMING 新作紹介:「聖者の午後」

2014/03/30

2014/06/12

40点

映画館/東京都/ユーロスペース 
字幕


決め手なし

サッカーのワールドカップ開催を控えたブラジルのサンパウロを舞台に、30代の男女3人が抱える焦燥の日々を淡々と描いたモノクロ映画。祖母と暮らしているタトゥー師の男が、亀を飼っていて、その亀がスコールのような大雨が降る中を、ゆっくりと歩く映像が印象的なのですが、そんなふうにゆっくりとは生きられぬ環境を抱えた人物たちが逆照射されるようです。悪い映画ではありませんが、これといった決め手もない映画です。

2014/03/29

2014/04/13

60点

映画館/東京都/ユーロスペース 
字幕


映像に監督の個性が光る

30前後の大人が将来が見えないと悶々とした姿を見せられて、何を感じろと言うのか。
3人の関係性というのもよくわからず、背景がもう少しわかればと思いました。
話の方は、正直なところこれと言ったところがありませんでした。

しかし、映像の方はモノクロ映像なんですが、なかなか面白かったです。
同じ部屋に3人いるのですが、二人はカメラに収まっており、もう一人はクローゼットの内扉の鏡の中に映っている。
角度を変えると、今度は別の二人がカメラに収まり、クローゼットのもう一枚の内扉の鏡にもう一人が映っている。
なかなかシャレた映し方だと思いました。
また、ルアラの部屋は飛行場の横にあります。
これは1歩踏み出せば外の世界に出れるのに、そこにいけないジレンマを象徴しているようでした。
こういうディテールを見ていると、監督のこだわりなんかが見えて面白かったです。

邦題がまた意味不明です。
原題は「カラーズ」。
コピーを借りるなら、「欲しいのは未来の色」ということで、先が見えない人生についてタイトルとは反対にモノクロで表現しているものと思われます。

この日は日本を基準とした地球の裏側にあるブラジルから監督がやってきました。
上映後に15分ほどのお客さんからの質問コーナーがありました。
計3つの質問がありましたが、うち2つは映画とは全く関係ない質問。
「ブラジルワールドカップがあるがテロは起こるか?」
「日系ブラジル3世ですが、アドバイスをください。」
映画のために来日しているのだし、映画を見た上での感想や質問が欲しかったはずです。
これって監督に対して失礼じゃないのかと思いますが、私が考えすぎでしょうか。
この日は珍しく私も聞きたいことがあったのですが、誰も質問する人がいなかったら質問しようかと思っていましたが、こんな質問されるなら、手をあげればよかったと後悔しました。
しかし、監督は一生懸命答えており、時間がないことから司会の方が強制的に打ち切っていました。
監督の真面目な人柄を感じました。
さてもうひとつの質問ですが「携帯電話やネットがでてこない」というものでした。
私もそれは感じたのですが、1箇所だけ携帯電話が出てくるシーンがありました。
ルイスがルアラに公衆電話から連絡するシーンですが、1度目は飛行機の音がうるさくて途中で切り、その直後にかけ直しをして電話に出ないシーン。
ただ全編を通じて固定電話が頻繁に出てくるので、確かに意図を感じます。
監督いわく「彼らは外の世界にいる」ということを表現したかったらしいです。
ネットなんかでつながっているというのに違和感があるのではなかろうかと思います。

2014/04/12

2014/04/12

-点

映画館/東京都/ユーロスペース 
字幕


距離感と虚無感と奇妙な音楽。

今のままぢゃ…って気も、これからどうする…って気も、そーんなには強く感じないが、問題自体は深刻?なはず?その曖昧さとコミカルな感じとモノクロが魅力だったかな。深刻なはずなのに、よく飲んで、食べてたもんね。電話も鳴るし。その日の気分にもよりそうだけど、わたしはきらいぢゃない作品でした。

2014/04/03

70点

映画館/東京都/ユーロスペース 
字幕


ブラジルの現状はコレなのか!?

ネタバレ

五輪、ワールドカップを控え都市開発が進むブラジル、サンパウロ。経済成長を嬉々として話すテレビコメンテーターだが、彼の映るテレビはモノクロで、解像度も低いブラウン管だ。経済成長していると言いつつも現実はこんなもんだ、と言わんばかり。この映画はモノクロで撮られているが、原題は『CORES』、”色”という意味だそうだ。開発により経済成長しても、そこに住む若者の生活は変わらない。華やかな外面とその裏、汚い家業で暮らす人間の暗部を描くのにモノクロの画は役立ったのかもしれない。

祖母の年金をくすねて暮らすルカと、薬局の仕事を辞める前提で薬を横流しするルイスとその恋人、ルアラ。何故か仲良しの3人組の物語。印象的な3人が寝そべりながら一緒にポラロイド写真を撮るショット。きっと撮られた写真はモノクロだったに違いない。その写真が拡張して、彼ら3人の世界を形成しているのだろう。テレビが語る経済成長の喜びだったり、何度も鳴る電話機。それらは彼らの生活とは別世界のもので、彼らもそれに応えようとはしない。新たな生活は夢見るだけで、諦めているのだ。今の生活を楽しもう、と。

だが、そんな生活が続くはずもなく、ルカは祖母の病気によって年金がなくなる心配をし、ルイスは悪行のツケがまわり暴行される。ルアラは常連客の男(経済成長の恩恵を受けている者だろう)に海外へ誘われる。彼らが今の生活を変えるチャンスと思われる時に、突然の暴風雨で再び、彼らは写真のなかに閉じ込められる。テレビは暴風雨の被害を伝えている。そのとき彼らはふらふらと立ち上がり、外へ出た。びしょ濡れになる3人。ようやく写真の世界と外界、テレビの世界が繋がったのだ。

映画はフライパンの上に卵が落とされるショットで締めくくられる。卵の数は3個。彼らの比喩に他ならない。卵が焼ける音を聞きながら、黄色く色づいて見えるのか。それともモノクロのままか。なるほど”色”とはこういうことか。

2014/03/29

2014/03/30

75点

映画館/東京都/ユーロスペース 
字幕


高度成長の影の不安

@rightwide: #324 ユーロスペース「聖者の午後」。ブラジルの新鋭フランシスコ・ガルシア監督作品。サンパウロを舞台に三人の男女の不安定な日常をモノクロームの映像でスタイリッシュに描いている。サッカーのワールドカップやオリンピック開催を控えた経済成長という表向きの顔とは異なる実状を捉えている。