30前後の大人が将来が見えないと悶々とした姿を見せられて、何を感じろと言うのか。
3人の関係性というのもよくわからず、背景がもう少しわかればと思いました。
話の方は、正直なところこれと言ったところがありませんでした。
しかし、映像の方はモノクロ映像なんですが、なかなか面白かったです。
同じ部屋に3人いるのですが、二人はカメラに収まっており、もう一人はクローゼットの内扉の鏡の中に映っている。
角度を変えると、今度は別の二人がカメラに収まり、クローゼットのもう一枚の内扉の鏡にもう一人が映っている。
なかなかシャレた映し方だと思いました。
また、ルアラの部屋は飛行場の横にあります。
これは1歩踏み出せば外の世界に出れるのに、そこにいけないジレンマを象徴しているようでした。
こういうディテールを見ていると、監督のこだわりなんかが見えて面白かったです。
邦題がまた意味不明です。
原題は「カラーズ」。
コピーを借りるなら、「欲しいのは未来の色」ということで、先が見えない人生についてタイトルとは反対にモノクロで表現しているものと思われます。
この日は日本を基準とした地球の裏側にあるブラジルから監督がやってきました。
上映後に15分ほどのお客さんからの質問コーナーがありました。
計3つの質問がありましたが、うち2つは映画とは全く関係ない質問。
「ブラジルワールドカップがあるがテロは起こるか?」
「日系ブラジル3世ですが、アドバイスをください。」
映画のために来日しているのだし、映画を見た上での感想や質問が欲しかったはずです。
これって監督に対して失礼じゃないのかと思いますが、私が考えすぎでしょうか。
この日は珍しく私も聞きたいことがあったのですが、誰も質問する人がいなかったら質問しようかと思っていましたが、こんな質問されるなら、手をあげればよかったと後悔しました。
しかし、監督は一生懸命答えており、時間がないことから司会の方が強制的に打ち切っていました。
監督の真面目な人柄を感じました。
さてもうひとつの質問ですが「携帯電話やネットがでてこない」というものでした。
私もそれは感じたのですが、1箇所だけ携帯電話が出てくるシーンがありました。
ルイスがルアラに公衆電話から連絡するシーンですが、1度目は飛行機の音がうるさくて途中で切り、その直後にかけ直しをして電話に出ないシーン。
ただ全編を通じて固定電話が頻繁に出てくるので、確かに意図を感じます。
監督いわく「彼らは外の世界にいる」ということを表現したかったらしいです。
ネットなんかでつながっているというのに違和感があるのではなかろうかと思います。