風立ちぬ(2013)

かぜたちぬ|----|----

風立ちぬ(2013)

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レビューの数

346

平均評点

76.2(2411人)

観たひと

4058

観たいひと

181

(C)2013二馬力・GNDHDDTK

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル アニメーション / ドラマ
製作国 日本
製作年 2013
公開年月日 2013/7/20
上映時間 126分
製作会社 スタジオジブリ=日本テレビ=電通=博報堂DYMP=ディズニー=三菱商事=東宝=KDDI(特別協賛 KDDI/特別協力 ローソン=読売新聞)(アニメーション制作:スタジオジブリ)
配給 東宝
レイティング 一般映画
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット デジタル
メディアタイプ ビデオ 他
音声 モノラル

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督宮崎駿 
アフレコ演出木村絵理子 
脚本宮崎駿 
原作宮崎駿 
プロデューサー鈴木敏夫 
制作星野康二 
作画監督高坂希太郎 
撮影監督奥井敦 
美術監督武重洋二 
音楽久石譲 
主題歌荒井由実
(「ひこうき雲」EMI Records Japan)
音響演出笠松広司 
整音笠松広司 
編集瀬山武司 
ハーモニー高屋法子 
動画中込利恵 
色彩設計保田道世 
動画検査舘野仁美 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演(声)庵野秀明 堀越二郎
瀧本美織 里見菜穂子
西島秀俊 本庄
西村雅彦 黒川
スティーブン・アルパート カストルプ
風間杜夫 里見
竹下景子 二郎の母
志田未来 堀越加代
國村隼 服部
大竹しのぶ 黒川夫人
野村萬斎 カプローニ

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

「千と千尋の神隠し」で第75回アカデミー賞長編アニメーション映画賞を獲得、日本を代表するアニメ監督である宮崎駿が、堀辰夫の小説の要素を混ぜつつ、零戦を設計した堀越二郎の若かりし頃に焦点を当て映画化。『モデルグラフィックス』(大日本絵画・刊)に連載した漫画を下敷きにしている。「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズなどのアニメ作品や「キューティーハニー」など実写作品の監督を手がける一方、「さくらん」「キャッチボール屋」といった出演作もある庵野秀明が、堀越二郎の声を担当。音楽は「風の谷のナウシカ」以降全ての宮崎作品に参加している久石譲。主題歌には荒井由実のデビュー曲『ひこうき雲』を採用している。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

少年の頃から飛行機に憧れ、東京の大学に進学、ドイツへの留学を経て、航空技術者となった堀越二郎(声:庵野秀明)。夢や憧れ、恋、やがて近づく戦争など、零戦を設計したことで知られる彼の若かりし頃を描く。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

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2024/09/09

2024/09/28

81点

購入/DVD 


良い

良い映画だった

2013/08/02

2023/08/15

75点

選択しない 


男の夢は女の忍耐の上に成り立つ

2013年、本作を以て宮崎駿監督が長篇アニメーションからの引退を表明した作品であります。尤も周知の如くそれは撤回され、本作の完成後「君たちはどう生きるか」の制作にかかつてをります。タイトルは堀辰雄の小説と同じですが、堀辰雄の名は原案とか原作にはなく、あくまでも宮崎駿監督自身が雑誌「モデルグラフィックス」に連載した漫画のアニメ化で、本作でも「原作・脚本・監督=宮崎駿」となつてゐます。ただ「堀越二郎と堀辰雄に敬意を込めて」の表記はあります。

 主人公はゼロ戦設計で有名な堀越二郎が実名で登場しますが、彼の評伝をアニメ化した訳ではなく、堀辰雄の小説「美しい村」「風立ちぬ」の世界に堀越を放り込んだ感じでせうか。
 二郎は東京帝大入学の為上京中の汽車に乗車中、関東大震災に遭遇、そこで里見菜穂子とケガをした彼女の付人を助けました。その場では別れる二郎と菜穂子。数年後大学を卒業した二郎は、世界恐慌の中、飛行機開発会社の三菱に入社、即戦力として期待され、同僚で親友でありライヷルの本庄と共にドイツ留学に派遣されます。

 入社五年後には、海軍の戦闘機開発のリーダーに抜擢されますが、そのお披露目では飛行機が空中分解し失敗、挫折を味はふ事になります。避暑地軽井沢での滞在中、偶然にも菜穂子と再会、共に好意を抱き二人は急接近、将来を誓ふ仲に。しかし菜穂子は結核もちで、結婚は病気が治るまで待つと約束します。

 菜穂子は山のサナトリウムで療養してゐましたが、病状の重さから二人は「残された時間」を意識するやうになります。二郎は開発中の戦闘機の仕事から手が離せないので、菜穂子は二郎が居候してゐる上司の黒川邸のはなれで同居する事になります。その際けじめをつける為黒川夫妻の媒酌で結婚しました。
 家では病床の菜穂子と手を繋ぎながら設計の仕事を続ける二郎。つひに完成し飛行試験が行はれる日、菜穂子は置手紙を残してひつそりとサナトリウムに一人で戻るのでした......

 堀越二郎の物語といふ事で、駿監督得意の航空活劇が繰り広げられるのかと予想してゐましたが、それは外れて、あくまでも飛行機作りに情熱を燃やす男の生き方を示すものでした。賛否あつた庵野秀明のぶつきらばうな声も、やや変人めいた二郎のキャラクタアには合つてゐると存じます。夢の中に登場するカプローニ伯爵の存在が、飛行機への憧れを増幅させてゐます。そして堀越の設定はかなり史実とは離れ、特に菜穂子との絡みは堀辰雄の物語になつてゐます。

 堀辰雄は軽井沢と縁があり、本作でも重要な場所となつてゐます。堀は師と仰ぐ芥川龍之介の愛人の娘・片山聡子と軽井沢で恋に落ち、肺を病み療養に来たのも軽井沢、片山聡子と別れ傷心を癒しに訪れたのも軽井沢、そして運命の人矢野綾子と出会つたのも軽井沢、彼女は絵を画いてゐたさうです。勿論菜穂子のモデルとなつた人。「菜穂子」の名は、やはり堀の小説「菜穂子」から採つてゐます。

 反戦の視点も敢て表には出さず、特高警察に追はれるエピソードも申し訳程度に語られるだけで、主題としては「堀越二郎と堀辰雄に敬意を込めて」彼らの思ひをアニメ作品に具現化したやうに感じました。
 勿論ラヴストオリイでもあり、「風立ちぬ」のタイトル通り二人の重要な場面に風が吹きます。パラソルが飛ばされたり、紙飛行機が自らの意志で飛ぶかのやうな風を吹かせてゐました。

 活劇でもないし魔法や魔女も登場しませんが、二郎と菜穂子の短くもささやかな幸福がおつさんには眩しいのです。結婚した夜、菜穂子が「来て」と云ふシーンなんかは、来たるであらう悲劇を予感させて切なくなります。堀辰雄の小説にも、確か「今の生活は、あとになつてみれば、どんなに幸福で美しいものであつたか分かるでせう」と云ふ台詞がありました。

 過去の宮崎駿作品を期待する向きには戸惑ふ異色作と申せませうが、珠玉の異色作と存じます。故・井上ひさし氏も述べてゐました、人生の99%は辛い事ばかりだが、生きねばならんと。ユーミンの主題歌をチョイスしたのも流石でした。これ以上ぴつたりの曲はございますまい。まるで1973年の荒井由実が、40年後に封切られる映画を予感して書き下ろしたかと思はせる程でした。

2023/08/14

2023/08/14

86点

選択しない 


死に近い時代だからこそ

結核の菜穂子が療養所を抜け出し二郎もそれに応えて結婚、黒川の家の離れに新居を構える。今の感覚でみると無謀で身体に良いわけがない。そして案の上、菜穂子の死期が一気に早まる訳だが二人に後悔はない。あの時代、若者の大半が戦争で亡くなり、死が隣り合わせの頃、若者は限られた命を精一杯生きたのだから。二人の結婚式の場面のなんと美しく健気な事か。そこだけでも落涙。
映画全編、宮崎駿の志向と若者に向けたメッセージが込められており、映像の完成度と共に拍手を送りたい。

2023/07/29

2023/07/30

80点

その他/録画日テレ 


飛ぶことへの憧れ

  始めて観るのではないが、「もののけ姫」を観たばかりなので、前半はかなり力ない感じに思え、でも、後半に入ると、かなり盛り上がったと思う。

  主人公の堀越二郎(庵野秀明)が、やや人の気持ちが読めずに、ストレートに何でも言ってしまうが、それが、里見菜穂子(瀧本美織)と結婚することに繋がっている。同時に、肺病を病む里見菜穂子を孤独な部屋に引き留めることにもなっている。

 そういう、飛行機にのめり込む二郎は、これまで空を飛ぶことを描いてきた宮崎駿監督にも近いのだろうと思った。

2022/08/25

90点

映画館 


宮崎駿、最後の監督作品

近眼ゆえにパイロットを諦め、日本の技術革新と大空への夢のために、飛行機作りに邁進するが、それは飛行機作りを戦争のために利用されることと表裏一体、そんな矛盾を抱えながら飛行機作りに邁進する堀越二郎の葛藤や同僚の飛行機作りに賭けた思いや結核に苦しむ里見菜穂子との純愛ラブストーリーが組み合わさって、得意のファンタジー路線と違い、宮崎駿監督の飛行機への夢や思い入れが正直に出た映画であり夢を追うことの美しさと残酷さを描いた青春映画になっています。
主人公の声を演じた庵野秀明、西島秀俊、瀧本美織、野村萬斎、西村雅彦などの声のナチュラルな演技が、印象的です。特に最後のカブローニと話すシーンは、飛行機作りが戦争に利用され、零戦は一機も帰還せず結核に苦しむ菜穂子を救えなかった堀越二郎の苦悩と葛藤が痛いほど伝わってきて、その絶望から生きていこうとする「生きなければ」泣けました。

2022/02/04

2022/02/04

100点

その他/ツタヤレイクタウン店、Blu-rayレンタル 


宮崎駿、引退作・・・ではなくなりました。

72才だった宮崎駿監督が、「本気です。」と言って作った作品。
飛翔という夢を、ファンタジー系の作品で表現した監督が、大正から終戦前までの昭和を通して描いた作品。
その出来は、明らかに集大成と言ってよい素晴らしさ。

流れゆく雲、夕暮れ、その「絵」の美しさ、緩急入れた音楽の美しさは、静寂さえも味方にし、ほれぼれするアニメ・モンタージュ。
フェリーニのような、あるいはノーランの「インセプション」のようなタッチも感じさせる。

後半に、思い切り《堀辰雄》の部分を展開させ、実写だったら、おそらく陳腐にさえ思われたであろうストーリーも、ジブリアニメの魔術で美しくまとめられている。
戦時下のゼロ戦に己の夢を込めた堀越二郎さんの思いも、兵器である葛藤も含め、過不足なく描かれていたと思う。
あの時代への鎮魂歌に成り得ている。
我々は、そこから何を学ぶべきか。

あの子の命はひこうき雲・・・。

西島秀俊さんと、國村隼さんの声が良かった。

「華麗なるヒコーキ野郎」や「ブルーマックス」をまた見たくなった。