偽りなき者

いつわりなきもの|Jagten|The Hunt

偽りなき者

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レビューの数

81

平均評点

79.4(411人)

観たひと

607

観たいひと

94

(C)2012 Zentropa Entertainments19 ApS and Zentropa International Sweden.

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 デンマーク
製作年 2012
公開年月日 2013/3/16
上映時間 115分
製作会社 Zentropa Entertainments
配給 キノフィルムズ
レイティング R-15
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット デジタル
メディアタイプ ビデオ 他
音声 5.1ch

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

無実の罪を着せられた男の孤独な戦いを描くヒューマンドラマ。監督は、「光のほうへ」のトマス・ヴィンターベア。出演は、「007/カジノ・ロワイヤル」のマッツ・ミケルセン、「セレブレーション」のトマス・ボー・ラーセン。2012年カンヌ国際映画祭で主演男優賞、エキュメニカル審査員賞、ヴァルカン賞を受賞。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

離婚と失業の試練を乗り越え、幼稚園の教師という職に就いたルーカス(マッツ・ミケルセン)は、ようやく穏やかな日常を取り戻した。しかしある日、親友テオ(トマス・ボー・ラーセン)の娘クララ(アニカ・ヴィタコプ)の作り話によって、ルーカスは変質者の烙印を押されてしまう。幼いクララの証言を、町の住人のみならず、親友だと思っていたテオまでもが信じて疑わなかった。無実を証明できる手立てのないルーカスの言葉に、耳を貸す者はいない。仕事も親友も信用も失ったルーカスは、小さな町ですっかり孤立してしまう。彼に向けられる憎悪と敵意はエスカレートし、一人息子のマルクス(ラセ・フォーゲルストラム)にまで危害が及ぶ。ルーカスは、無実の人間の誇りを失わないために、ひたすら耐え続ける生活を余儀なくされる。クリスマス・イブ、追い詰められたルーカスはある決意を胸に、町の住人たちが集う教会へ向かう……。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2013年4月上旬号

REVIEW 日本映画&外国映画 公開作20作品、60本の批評:「偽りなき者」

2013年3月下旬号

UPCOMING 新作紹介:「偽りなき者」

キネ旬セレクト:「偽りなき者」

2023/02/11

2023/02/11

78点

その他/TSUTAYA DISCAS 
字幕


小さな嘘と大きな罪

いくら少女でも女は怖い。喧嘩の絶えない家庭で育ったクララ、近所に住む叔父さんルーカス(マッツ・ミケルソン)とその愛犬はいつも変わらず優しい。そんな叔父さんに小さいながら愛情を抱いてしまう。愛は何か起こると裏返しの心を持ってしまう。
幼稚園児がルーカスに性的虐待を受けたと訴えることはしない。園長が勝手に先走りしてしまうことから事件はエスカレート。経緯の説明はないが、別居(離婚)しているルーカスは、幼稚園の保父として働いている。その態度は勤勉で園児にも愛されている。こんな誰にでも愛される姿が同じ園児のクララには不満があったのでしょう。ある時、卑猥な性的なことをルーカスから行われたと告げたことから、ルーカスへの園から村全体への村八分へと発展する。警察沙汰にもなるが証拠不十分でしょう、無罪放免となるが、村八分の状況は変わらない。別居していた息子マルクスが帰ってくるが、同じような色眼鏡で見られる生活。
家には石が投げ込まれるし、愛犬が無残に殺される。
ここでなぜ警察に被害届けを出して犯人を追及しないのかは疑問である。
いろいろあったが一年後、なぜかハッピーに村人と解け合ったルーカス。
ここも、この一年間に何か具体的な無実を証明する事件があったのかは全く説明がないまま。もし具体的な無実なら、改めて園長などを告訴すべきであると思う。
これで映画が終わっていれば、なんだだったのか・・と思うところであるが、最後息子が狩猟免許を得て鹿狩りに森に入った中で、どこからか発射された銃弾。この犯人は誰か?それは映画を見ている皆さんの判断によると言うことで幕。
トマス・ヴィンターベア監督、マッツ・ミケルセン、トマス・ポー・ラーセンのコンビの映画、先日もアナザーラウンド(2020)を見たところでした。こちらはデンマークの酔っ払い話。

2022/10/18

2022/10/19

65点

選択しない 
字幕


心が痛過ぎる

観ていられないほど痛々しい映画でした。嘘による中傷は現在SNSで問題になっていて、現実にあり得ることだけにリアリティは感じます。とにかく不快で作品としての評価より観たくなかったという気持ちでした。

2021/12/26

2021/12/26

-点

レンタル/東京都/ゲオ 
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小さな町に根付く閉鎖性

人の心に巣食う閉鎖性を鋭く抉った作品だ。ラストの森の中でのシークエンスは、マッツ・ミケルセンならずとも驚かされ、見ていて心拍数が上がった。

マッツ・ミケルセンが演じる主人公ルーカスは、学校教師だったが経営的な問題で今は系列の幼稚園教諭をしている。妻とは離婚し息子のマルクスと唯一接点がある。ある日、ルーカスは、親友の娘で幼稚園に通うクララから好意を持たれる。が、贈り物も受け取らない堅物のルーカスに幼いクララは、失望する。そんな中で何気なくクララが園長に語った話とはルーカスに性的な虐待を受けたとも取れる嘘だった。「子どもは嘘をつかない」という固定観念が一人歩きしてルーカスの冤罪は幼稚園から地域へと広がっていく。やがては、ルーカスは小さな町からスポイルされる。

トマス・ヴィンターベア監督の『アナザー・ラウンド』は、ある意味でデンマークの国民性を垣間見ることができる作品だった気がする。遅ればせながら見た本作、こちらの方がテーマにいくらか普遍性があるように思う。
日本だって犯罪者や容疑者でさえそれを生んだ家族を含め地域から陰湿なバッシングを受けひとところに根を下ろした生活は出来ない現実がある。

途中まで容疑者の人権はどこで守られるのかとハラハラしながら見ていたが、主眼はどうもこうした社会的問題提起というよりも地域社会に根付く閉鎖性にあることが衝撃のラストで浮き彫りとなる。デンマークの男たちの絆の結び方には独特なものがあり、これはアナザー・ラウンドのうだつの上がらない教師仲間の関係へと繋がっていく。男同士の関係がすごく強い国なんだな。しかし、その深い絆も町の閉鎖性ゆえにもろくも崩れていく様が恐ろしい。ドグマ95の同志、ラース・フォン・トリヤーが『ドッグヴィル』で描きたかったことがこの作品を見ていて今更ながらによくわかった。

2021/06/23

2021/06/23

90点

VOD/Hulu/購入/テレビ 
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胸糞映画

ネタバレ

終始怒りと悲しみがうねってうねり返す胸糞映画
マッツの哀しき瞳、息子が父を思う気持ちに胸が熱くなる
ガキンチョめーと思うけど芝居がうまい
故に腹が立つ💢教会でのシーンで爆発するマッツとその親友であり娘の父であるテオの難しい立場
謝罪の気持ちからご飯を提供する
娘の一言で惑わされた人々、月日が流れ打ち解ける息子の成人の祝う会での違和感!
ラストシーンで息子と2人猟の最中何者かに狙われ終わる
缶詰めの角を頭に向けて投げてはいけないワンちゃん酷すぎる

2021/03/16

2021/03/17

85点

VOD/Hulu 
字幕


映画芸術の極北

私は子供を持つ人生を選択しなかった。子供が好きではないからだ。町内会の行事でも極力子供には関わらないようにしている。甥や姪ですら可愛いと思わないのに、ましてや他人の子供は…。もう一つの原因は私がペシミストであり、世の中は理不尽だと思っているからだ。そんな場所に自分の愛する分身を置きたくなかった。こんな思いをするのは私一人で充分だ。

さて本作。実際に身の周りで起こりそうなシチュエーションであり、真綿で首を締め付けられているようだった。我が身に置き換えると寒気がする。「子供は決して嘘をつかない」という大人の美しい誤解が主人公ルーカスを追い詰めていく。下手なホラー映画より恐怖感を抱いた。

息子マルクスの心中はいかばかりか。集団心理に流された愚か者のお陰で投石の末、愛犬ファニーまで犠牲になる始末。犬に罪は無いだろうに。スーパーでのリンチ・シーンは心をヤスリで削られるような痛みを感じた。容赦ない冷酷演出のオンパレード。

親友テオとの和解、恋人ナディアとの再婚を経て物語はハッピーエンドの様相を呈するが、ラストにルーカスを襲う銃弾。人間の不寛容さが湧出した衝撃の結末だった。

後味の悪さは格別。希望の無さでは『ダンサー・イン・ザ・ダーク』を凌駕する。人間の存在全てを否定し蹂躙する残酷な作品だった。映画を“観る者の感情に訴えかけ魂を揺さぶるもの”と定義すれば完璧な映画と言えるかもしれない。

2021/03/02

2021/03/02

88点

選択しない 


人間の裏側

なんだろう、この恐さは。

子供の純粋がゆえの気恥ずかしさからでた嘘。そこから全てが勘違いする大人によって、勝手にストーリーが造られていく。

子供は想像力が豊かと決めつける、絶望的に想像力の無い大人達。
その報いが残酷過ぎる。そして主人公ルーカスに対して向ける悪意に妙な一体感を産んでしまう。

親友に助けられた部分はあったが、、、