きっと、うまくいく

きっとうまくいく|3 IDIOTS|3 IDIOTS

きっと、うまくいく

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レビューの数

241

平均評点

85.3(1908人)

観たひと

2621

観たいひと

375

(C)Vinod Chopra Films Pvt Ltd 2009. All rights reserved

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 インド
製作年 2009
公開年月日 2013/5/18
上映時間 170分
製作会社 Eros International=Reliance Big Pictures=Vinod Chopra Productions
配給 日活
レイティング 一般映画
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 ドルビーSRD

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演アーミル・カーン 'Rancho' Shamaldas Chanchad
カリーナー・カプール Pia
マドハヴァン Farhan Qureshi
シャルマン・ジョーシー Raju Rastogi

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

エリート大学を舞台に、3人の学生が巻き起こす珍騒動を描くヒューマンコメディ。出演は『ラガーン』のアーミル・カーン、「ラ・ワン」のカリーナー・カプール。2010年インドアカデミー賞で作品賞・監督賞など16部門受賞。インド映画の都ボリウッド製作の作品をまとめて上映する“ボリウッド4 ザッツ☆エンターテインドメント!”で上映される一作。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

エリート大学に合格した3人の新入生。そのひとり、ランチョー(アーミル・カーン)は“超天才かバカ”といわれる自由人。「きっと、うまくいく」というモットーのもと、なんとか大学を卒業するが、ある日突然姿を消してしまう。そんな彼を探し、10年前に交わした賭けの答えを出すために、共に学んだ親友たちが旅に出る。やがて親友たちに降りかかる人生の危機とは……。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2013年6月上旬号

REVIEW 日本映画&外国映画 公開作20作品、60本の批評:「きっと、うまくいく」

2013年5月下旬号

UPCOMING 新作紹介:ボリウッド4「きっと、うまくいく」

キネ旬セレクト:「きっと、うまくいく」

2023/09/10

2023/09/10

60点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
字幕


固い頭と柔らかい尻

線香が焚かれている.そこには祈りがある.工科大学には優秀な学生たちが集まっており,学長(ボーマン・イラーニー)の方針もあって,競争が強制させられている.学長はウイルスとあだ名され,学生たちにプレッシャーをかけ,時には自殺に追いやる.デリーに限らず競争社会の熱はそれほどまでにこの国に蔓延しようとしている.
雨に濡れている.小水をかける.シャワーを浴びる,水をぶっかけ,ソースをかけ,道路は冠水している.こうした水分や湿度は,終盤に向け,より水位を高めていく.電気的なもの,機械的なものは,こうした水によって麻痺させられながらも,電気や掃除機などの家電が物語の鍵を握ってもいる.例えば,後半には,ラージュー(シャルマン・ジョーシー)が墜落し,全身を麻痺させてしまう.しかし,彼に繋がれた機器は,彼を計測し,心拍数らしき数字を見ながら,ランチョー(アーミル・カーン)は彼を視覚的に,あるいは聴覚的に刺激していく.例えば,パソコンを通じてビデオ通話をし,通電されたスプーンに小水がかけられる時,電気は反撃へと転ずる.エンジニアになるために機械や電気に通じていること,願わくば機械に使われ,機械にすり減らされないために学べるよう,祈りが捧げられているようにも感じる.ファルハーン(マドハヴァン)は野生動物の写真になろうとするのも,カメラというやや古典的な近代技術に留まり,世界の野生に向かいたいためなのだろう.チャトゥル(オミ・ヴァイディア)ら学生一般の競争的な志向もやや古臭いものに見えてきてしまう.
トイレばかりが映される.食事や酒類も愛好されている.上の口から下の口まで全てが通じており,歌やダンス,そしてパンツ姿,鼻のピアスなど,彼女ら彼らの身体は,どこからでも繋がり,どこかへと繋がっている.道端にも神がいる.窓から出入りし,うねうねとした山道を車で飛ばしていく様子を空中を漂うキャメラが映し出す.そこからは,まるで映画のような世界へと通じているのではないだろうか.バイクのヘルメットは,機械的な何かから頭を保護してくれるとともに,映画の世界への仮面として女や男に与えられている. 

2023/07/11

2023/07/11

100点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 


文句なしに面白い

主人公はランチョー(アーミル・カーン)という工学の天才。有名工科大学の寮で同室のラージュ(シャルマン・ジョーシー)は家庭に問題を抱え、神様にすがりすぎの劣等生。同じくファルハーン(マドハヴァン)は本当は動物写真家になりたかった劣等生。この3人にチャトルという点取り虫が絡み、成績第一主義の学長と揉める。また学長の娘ピア(カリーナー・カプール)とのロマンスも盛り込んで、友情ドラマ兼ラブロマンス兼コメディという代物。
インド映画の定番の歌と踊りは出てくるが、ドラマとしてのシナリオがうまく練られている。たかが学生の物語で、約3時間近い大作だが、目を離せない。
久しぶりの満点映画。

2023/03/31

2023/03/26

60点

テレビ/有料放送/ザ・シネマ 
字幕


75インチ向きの映画

インド映画こそ大画面が相応しい‼️

2023/02/15

2023/02/15

80点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
字幕


人生は素晴らしい

工科大学で出会った3人の学生生活と、その後を描く映画。こんな人(天才かつ自由人かつやさしい)といれば、つらいことがあっても、乗り越えられる、人生は素晴らしいだぞという映画。

2022/12/20

2022/12/20

90点

選択しない 


Fisher Space Pen

 もう30年以上も前だが、アメリカへ新婚旅行でいった友人の土産が「Fisher Space Pen」だった。映画では最優秀の学生に与えられるほどの権威が込められた特別なボールペンである。
 まだどこかにあったはずで、机の中をひっかきまわすと出てきた。細身すぎて使いづらいので長年使っていないが、インクのかすれもなくいまだによく書ける。

 この映画は時折見たくなる。長時間映画だが、友情、恋愛、親子関係などが面白おかしく絶妙のバランスで構成されていて、飽きることがない。「映画はおもしろい」、と素直に思わせてくれる作品だ。わくわく、どきどき、はらはらしながらハッピーエンドにいざなう要素が全部入っている。
 ハッピーエンドをもたらすのは、この日本の題名にもなっている「きっとうまくいく」だ。さまざまな問題を背負いながらも、肯定的に、前向きな気持ちで生きていくことを主人公が友人たちにこの言葉でささやき続けるのだ。
 赤ん坊ですらこの呪文に反応して、母親のおなかを内側から蹴るというのは笑ってしまうが、このエピソードを後半の非常事態の緊迫時にうまく活かしている。

2022/12/16

2022/12/17

98点

その他/会社の同好会 
字幕


反応をうかがう

この映画を見ないと生涯後悔することになる。そう断言できる至極の映画。この日は勤め先の方と鑑賞したが、こういう映画をチョイスする方のセンスに痛み入る。残念ながら人数はそれほど多くなかったが、それでも客席の反応をうかがうと、それにもまた学びがある。

冒頭の飛行機を止めてファンハールがラージューとともに母校を目指しサイレンサーのチャトルと再会する9月5日のシーンまで、見る側はこの映画がどういう映画なのかわからないので反応はにぶく警戒感がある。そしてランチョーを探し求めるロードムービーへと展開し、学生時代の思い出、回想場面へと転換する。

前半はランチョーという人物の登場から、学校の慣習に反発する姿勢、そして友人の自殺などが出てきて重苦しいシーンも折り重なる。この映画はいわばランチョーと校長の戦いの物語だ。競争そのものを目的とし、大学の価値を上げるためだけに強権を振るう校長と、学問の本質的な意義について掘り下げようとするランチョーの戦いだ。学びとは何か?を問いつつ、権力と反体制の戦いはどの時代にも共通する普遍的なテーマだ。

そこに校長の娘でありドクターのピアが混ざり合い話しを面白くする。彼女のフィアンセがお金の価値で何事も判断するしょうもない男として登場する。このフィアンセをもランチョーは否定する。ここにも深い意味があって、日本だとバブル時代を経験した老人がいまもって権力を握り、デフレ社会の日本国民に圧政で押しつぶそうとする。人の価値を金で値踏みする人物や校長の存在は、いまの日本にも重ね合わせることができる。このあたりからダンスシーンなどの迫力もあって、観客は次第にノリノリになってくる。

ランチョーの出自を探るサスペンス的なシーンを挟んで、後半に向けた感動的なシーンや笑えるシーンから場内の空気は大きく変化する。まさに笑いあり涙あり。映画の抑揚に合わせるように、場内の空気(呼吸)も一変する。ラージューの自殺騒動と校長の頑なな姿勢の対立など、かなり激しい対立シーンの最後、豪雨のシーンに突入する。この頃になると観客はもう映画にどっぷり浸かっている。そして最後のパンゴン湖の美しい美しいシーンにすべての感動が集約されてゆく。

見る者誰もが「感動した」と言葉にする。ここは重要だ。感動を言葉にする。このことが映画だけでなく芸術に求められる部分だと思う。

なんと不思議な映画だろうか。何度も何度も繰り返しこの映画を見ても、毎回同じ感動が押し寄せる。ドラマとして特別な部分はない。それなのに見る人達は異口同音に感動を言葉にする。こんな映画が世の中にある存在するのか、と見るたびに思わせる映画。心が震える。