生きていた男

いきていたおとこ|Chase a Crooked Shadow|----

生きていた男

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レビューの数

9

平均評点

74.7(26人)

観たひと

37

観たいひと

7

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル サスペンス・ミステリー / ドラマ
製作国 アメリカ
製作年 1958
公開年月日 1958/5/17
上映時間 84分
製作会社 ワーナー・ブラザース映画
配給 ワーナー・ブラザース
レイティング
カラー モノクロ
アスペクト比
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

死んだ筈の兄を名乗る男が現われて女主人公を懊悩させるというサスペンス・ドラマ。スリルを積み上げていって、終末の5分で意外な解決を提示するという手法がとられている。デイヴィス・オスボーンとチャールズ・シンクレアの脚本を「八十日間世界一周」のマイケル・アンダーソンが監督し、「暁の出撃」のアーウィン・ヒリアーが撮影を監督した。音楽は「武装強盗団」のマチアス・セイバー。主演は「十戒(1957)」のアン・バクスターに「揚子江死の脱走」のリチャード・トッド。加えて「戦争と平和」のハーバート・ロム「ヨーロッパ一九五一年」のアレクサンダー・ノックスが助演する。製作は活劇スターである「絶望の彼方に」のダグラス・フェアバンクス・ジュニア。英国側人材が主力を占めている。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

スペインのコスタ・リカに住むキム・プレスコット(アン・バクスター)は、富豪で美貌の主の女性として知られていた。ある夜晩餐会の終ったあとの庭園で、彼女は、いつのまに入ってきたのか、1人の男が勝手にウィスキーを飲んでいるのを発見した。その男は、1年前に自動車事故で死んだ筈の彼女の兄ワード(リチャード・トッド)だと名乗るのである。兄は確かにあの時死んでいるのに……彼女は愕然とした。警察署長パルガス(ハーバート・ロム)がやってきて訊問したが、証明書類や旅券も、手首にある錨の刺青さえもまさしく兄ワードのものなのだ。青ざめたキムをよそに、明くる日から彼は富豪プレスコット家のワードとして振る舞いはじめた。素性の知れぬ家政婦や下男が雇い入れられた。何のための彼の行動か。かつて兄が4マイルのドライヴ・ウェイを3分で走ったことを思い出して、それが出来るかと挑戦すれば、湾に沿った危険な道を、彼はキムをオープン・カーにのせて疾走してみせる。頼りにしていた叔父チャンドラーさえが、甥として彼に疑念なく挨拶するのだ。彼女は父が遺していった巨額の宝石を持っていた。それをこの男たちは狙っているのに違いない。心身ともに疲れ果てた彼女は、宝石を銀行から取り出せる手続きの書類に、謎の男の命ずるままに署名した。これでもう彼等は去っていくに違いない。ところが海岸ぞいの艇庫で放心する彼女に、なおも人影が迫る。恐怖のあまり発射した銛銃を危うく避けて灯の下に現われたのはパルガス署長だった。彼は、謎の男が指紋まで死んだ兄に似せられる筈はないと言う。苦心の末彼女はワードを自称する男の指紋をブランディ・グラスにとった。ところが、それさえが亡き兄と同じものだと署長はいうのだ。遂に彼女は狂乱状態におちいり、自失して叫んだ、--違う、彼が兄である筈なんかない。何故って、兄は私がこの手で殺したのだから……。謎の男たちは互いにうなずきあった。父の遺した宝石、それは正当には、今は彼女の権利を離れている会社のものだったのだ。それを彼女は艇庫の煙突になおも隠して持っていた。兄を名乗る男たちは、実は実際のワードの死因に疑問をもち、この宝石の行方を探る警察当局の人々だったのだ。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1958年8月上旬号

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1958年5月上旬号

外国映画批評:生きていた男

2022/11/13

2022/11/14

80点

レンタル/大阪府/TSUTAYA/TSUTAYA 天六店/DVD 
字幕


未見の方、おめでとう。存分にお楽しみあれ!

死んだはずの兄が生きて戻ってきた、目的は何か。追い詰められる令嬢の運命はいかにって、87分、一発アイデアの衝撃作にて、この手のミステリーの古典、いや原点か。ちょいとしたクリスティー通の小生も驚愕!おまけに、二の線のハーバート・ロムにも会えるとは、TSUTAYAさん(発掘良品)、ありがとう!

2022/01/06

2022/01/12

70点

選択しない 


ラストに釘を刺される映画

ネタバレ

 サスペンスファンにとってはラストのどんでん返しで有名な作品らしい。確かに自分も驚かされたけど、中盤以降追い詰められていくヒロイン、キム(アン・バクスター)の様子に精神の破綻が見え隠れしてくるあたりから、これはひょっとして? と彼女に対しての疑いが生じてくる。そしてやはりそうだったのかという結末はだから溜飲の下がる思いもした。でも見終わってしばらくして疑問も生じてくる。
 一人の女の嘘を見破るために警察が組織だってこんな芝居じみたことをやるなんてなんとも嘘臭いなあと。キムの実兄ウォードの事故死を不審に思った警察が父親の遺産相続がらみの殺人事件と疑い、妹のキムに罠を仕掛けるというあらすじなのだが彼女を追い詰めたあげく、「実は私が殺りました」と彼女から自白を引き出したとして物的証拠がなければ罪には問えないのではないか? などと強引なシナリオにスッキリしないものが残ることになる。
 本作はしかし刑事ドラマのように正面から理屈建てて観るよりも、キムという女の二面性に着目してそこを楽しむ映画だと思う。それにキムは一介の女盗人などではなく大富豪の娘であり莫大な財産であるダイヤの行方という謎もあってそれを解き明かすために警察もやむなく大芝居を打ったのだろうと好意的に解釈する。
 それにしても冒頭兄ウォードを名乗ってキムのもとに訪れるリチャード・トッドはどこから見ても怪しい男として現れる。これは観客をミスリードさせるための演出だったわけだ。
 本来なら死んだはずの兄が帰ってきて喜ばなければいけないのに、彼女の表情は恐怖で引きつっている(まあ別人なのだから当然)。でもあとから思えばそこには自分が殺したはずなのにまさか、という恐怖もあったわけだ。
 それからは遺産目当ての異常者たちがグルになって自分のダイヤを奪おうとしているという妄想にキムは取り憑かれてしまう。観客もキム同様の立ち位置に立たされてハラハラさせられることになる。だからこそラストのどんでん返しが効果的に決まる。
 モノクロのミステリー作品はそれだけで見ていてワクワクさせるものがある。自分は何故か「十戒」を見てからアン・バクスターの密かなファンであって(「イヴの総て」ではないところがなんとも)彼女がヒステリーに駆け回る様子が見ていて痛々しかった。周囲が彼女をイジメているようにしか見えないのである。
 ラストに製作者であるフェアバンクスjrが登場し、ご丁寧に観客に釘をさしているのには苦笑させられたけど。

2021/12/19

2021/12/19

88点

レンタル/大阪府/TSUTAYA/TSUTAYA あべの橋店/DVD 


予備知識無しで見るべし!

ネタバレ

サスペンス映画の書籍の中でかなりの上位に位置する作品。
TSUTAYAさん凄いス!
名作掘り起こしでやっと観れた。
88分でまとめてるとこも良し。
このラストのオチは他でいろいろ引用されている(ドラマ「危険なビーナス」とか)が昔の人が初めて観たら!!だろうね。
マジ、サスペンス好きは観るべし。
PS 湾岸道路をカーチェイスするシーンかなりの迫力が。
  景色との合成はバレバレだが手に汗握るで。

2021/09/12

2021/09/13

80点

レンタル/東京都/TSUTAYA 浜田山店/DVD 
字幕


巧みな脚本

58年の映画。モノクロでのお屋敷ミステリー、61年「恐怖」のイメージに近い。ヒロインの死んだはずの兄が突然戻ってくるが、全くの別人。財産を乗っ取ろうとする策略なのか、はたまた彼女の精神が病んでいるのか。観客にそこそこヒントとなるシーンや描写を上手く挟み込んで、見ている間は果たしてどちらが正しいのかをずっと怪しまざるを得ない巧みな脚本。そして最後のドンデン返し。いやあ上手い。鮮やか。このオチはなかなか予想できない。TSUTAYAの復刻ライブラリー作品。もっと陽の目が当たっても良いなかなかのミステリー。

2021/06/07

80点

レンタル/東京都/TSUTAYA/TSUTAYA 吉祥寺店/DVD 
字幕


復刻シネマライブラリーサスペンス

まるでヒッチコック作品の様な出来の良いサスペンス。最後まで緊張感が持続する見事な脚本。

2020/11/19

2020/11/19

70点

購入/DVD 
字幕


これぞミステリーの醍醐味!事故死した兄が生きていた!

事故死したはずの兄が妹のキンバリーの前に現れる。この男は一体誰か。このあたりの緊張感が堪らない。モノクロにより、際立つ印影も雰囲気を増す。実はキンバリーがおかしいのでは?次第に観る者を惑わせる。そして土壇場でのあの結末。時折見せるカメラワークも当時では斬新だったのでは。いやー、傑作です。