全編に漂う不穏な雰囲気。ラストのショットは記憶に値する
休暇を利用してフランスを自転車旅行するふたりの若い英国女性、ジェーン(パメラ・フランクリン)とキャシー(ミッシェル・ドートリス)。
途中、森の入口で小休憩をとった際に大喧嘩となり、キャシーはジェーンに先に行けと告げて、その場で昼寝を続ける。
次の小村でキャシーを待ったジェーンだったが、キャシーはいつまで経っても来ず。
不安に思ったジェーンが引き返すと、キャシーの姿はなく、置き去りのカメラを発見。
するうち、怪しい男性(サンダー・エルス)が現れ、彼は、国際警察のポールだと名乗るが・・・
そして、この辺りでは数年前に若いオランダ人女性が強姦されて殺された事件があったことが判明し・・・
といった物語で、ロケーション主体の安手のプロダクションながら、サスペンスというか不穏な雰囲気が随所にみられます。
『魔鬼雨』のロバート・フュースト監督、意外といい演出しているのね。
演出もさることながら、ブライアン・クレメンス(『見えない恐怖』『シンドバッド黄金の航海』など)とテリー・ネイションの脚本も、登場人物すべてが不安を煽るような展開で、なかなか上手い。
外国で言葉が通じない、というのもサスペンス醸成に活かされています。
最終的には、意外な犯人というオチなのですが、その犯人はあっさり殺されて殺伐とした風景を俯瞰カメラが横移動すると、小屋の屋根の埃だらけの窓が映し出され、その下、ガラス越しに殺されたキャシーの脚が薄っすらと見え、しばらくすると雨が降り出し、埃が洗い流され、死体の脚がくっきりと見えるようになる・・・というワンショットは記憶しておくのがいいくらいの出来。
なお、原題は「AND SOON THE DARKNESS」。
2010年にはアンバー・ハード主演でリメイクされ、『イン・ザ・ダークネス』 のタイトルでDVDされています。