かくて神風は吹く

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かくて神風は吹く

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レビューの数

8

平均評点

57.8(22人)

観たひと

37

観たいひと

2

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1944
公開年月日 1944/11/9
上映時間 (10巻)
製作会社 大映
配給
レイティング 一般映画
カラー モノクロ/スタンダード
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

【スタッフ&キャスト】脚本:舘岡謙之助/松田伊之介 監督:丸根賛太郎 撮影:宮川一夫/松井鴻 出演:阪東妻三郎/月形竜之介/梅薫/李麗華

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2023/12/02

2023/12/10

70点

映画館/東京都/国立映画アーカイブ 


「ちょんまげのついた戦争映画」

 当時の世評が悪かったにもかかわらず昭和19年度の配給収入でトップにランクインしたという国策映画。敗戦色濃厚というこもあってか、当時の国民がどれほど神風のような奇跡が起こることに期待していたか、その心情が反映されている。と同時に、製作の制限があった当時の映画会社の背景をも読み解くことのできる一本でもある。
 改めてみると元寇と太平洋戦争を重ね合わせることに無理があることは否めないものの、決して悪い出来ではなかった。合戦のシーンはなかなか迫力があり、人の多さに圧倒される。人数不足を補うために女性エキストラも動員していることまでは気付かなかった。火を扱った演出も印象的で、米英に対する当時の日本人の恨みや憎しみが投影されているかのようだ。そして何といっても特撮が見事だ。大映作品でありながら円谷英二率いる東宝特撮陣が手掛けたものだが、物資も人も不足していたあの時代によくあれだけのものが作れたと感心させられる。本編シーンとの画調の統一を意識したカットの積み重ね、引きちぎれる鎖、落雷を挿入したメリハリのある演出など、後年の東宝特撮映画に受け継がれていくであろうノウハウがここでも垣間見える。四元百々生のロマンスがもう少し観たかったところ。
 上映後、加藤厚子さんによる解説有り。実に興味深い話で、「ちょんまげのついた戦争映画」という呼び方はうまいと思った。

2023/12/02

2023/12/02

-点

映画館/東京都/国立映画アーカイブ 

『かくて神風は吹く』。1944年の国策映画。元寇を題材にして国を挙げて国難を乗り越える様を描く。公開当時の「今」と重ね合わせている。元の船団のミニチュアが見事な出来、さすが円谷英二。船の櫂が動いている。軍部が大好きな特攻シーンもある。阪妻、嵐寛、千恵蔵、右太衛門…、スター揃い踏み。

2023/12/02

2023/12/02

70点

映画館/東京都/国立映画アーカイブ 


苦しい台所事情の中での大作だが

丸根賛太郎監督
北條時宗:片岡千恵藏
日蓮上人:市川右太衛門
忽那重義:嵐寛壽郎
河野通有:阪東妻三郎

河野通時(通有の叔父弓の名手):荒木忍
忽那重明(重義の弟):原健作

河野通忠(通有嫡男):片山明彦
河野水緒(通有娘):四元百々生(新人)

当時は大ヒットだったそう。
ただ、阪妻の神風じゃ!など俳優陣全体的の力みすぎている演技。時宗の知恵蔵、日蓮の市川右太衛門、みんな大仰で潰しあいの感あり。

特撮は、すごく迫力あり、その点は見る価値はある。元船の嵐で次々と壊れていき、沈んでいく様、高波を受ける船内の様子などリアル。力作だからか、台風のシーンは長い。円谷英二とのこと。

戦時下の世相を時代劇に反映し過ぎ。
元軍の戦いは、国民全員の総力戦ということで、農民は米俵をどんどん送り、刀鍛冶は刀を増産、女子供は矢を量産。大工は船を作る姿は、太平洋戦争下の日本国民へ向けた意図だと伝わる。
本営に到着した85歳の武士が、自分は足が悪いが、連れてきた嫡子の井芹越前房永秀、年六十五歳の働き盛り、同じく子息弥五郎経秀、年三十八、孫の..と報告している様も。国家総力戦の雰囲気を醸し出す。

鎌倉幕府執権北条時宗は、天皇への忠義心がすごい。天皇のことを上、公と呼び、そのセリフが出るたびに、武士たちはいちいち襟を正して不動の姿勢になる。日本軍と重なる。
当時の幕府と朝廷は、力関係が当時は幕府の方が圧倒的に上のはずだが、いわゆる皇国史観です。
時宗は、知恩院山門で御家人整列のもと、訓示。まさに帝国軍隊、行進。
御家人は人数が足りず、女子社員や大学生も使ったとか。

元軍との戦いは物足りなさあり、鎌倉武士をもう少し活躍させたいところ。河野通有の強襲と忽那重義の特攻がメイン。
神風が早く吹きすぎる印象。

伊予の河野の姫と、河野氏と仲の悪い海賊衆の忽那重義の弟重明の恋愛は、序盤の方のみ。忽那重明単独で河野通有と和睦し、元寇後の婚姻が決まる。流鏑馬シーンで度胸試し。河野氏は元寇の準備を進め、士気は高い。

当初、伊予の河野の敵役だった忽那重義(兄)は、もう一度元が攻めてくると聞いても動こうとしなかった。壱岐対馬は文永でも襲われてるのに、弘安の役の壱岐対馬の虐殺に、ショック受けて立ち上がる忽那重義。この人も河野通有と和睦して、元軍に突っ込む。前日には河野通有は夜襲をかけていて、大怪我をし、弓の名手の叔父も亡くしている。その後、台風。

2019/11/17

2023/06/24

75点

選択しない 


豪華スタア共演によるスペクタークル国策映画

 これは当時の大映スタア、阪東妻三郎・嵐寛寿郎・片岡千恵蔵・市川右太衛門・月形龍之介らが大挙して出演する「オールスタア映画」。しかし戦時中の国策映画なので、スタッフ・キャストのクレジットはありません。原作は菊池寛、監督は丸根賛太郎、脚本は舘岡謙之助&松田伊之介、音楽は宮原偵次&深井史郎。元寇(蒙古襲来)をテエマにした物語です。

 当時の「元」は世界最強。支那・満州・朝鮮を攻略、西方では中央アジアを征服、さらにロシアを席捲、ポーランド・ハンガリイを蹂躙、欧州を戦慄せしめました。そして我が日本へ繰り返し使者を送るやうになりますが、その視点は常に日本を格下に見る態度。
 文永の役後、北条時宗(片岡千恵蔵)は元の使者五名を斬首。日本への侵略を前提としたスパイと見做されたからでした。首を斬る瞬間は波しぶきの映像になります。ここに時宗、元国・クビライをはつきりと敵とみなし、必ず来るであらう次の来襲では、勝利する事を堅く宣言します。

 サテ伊予国では河野家と忽那家の名門二家がありますが、両雄並び立たず、何かとイザコザが起きてゐます。差し詰めモンタギューとキャピュレット。しかし来たるべき元との戦が迫る国難の時期に、いがみ合つてゐる場合ではないと、河野家は忽那家に使者を送ります。しかし忽那の総帥・重義(嵐寛寿郎)はこれを拒否、しかも辱めを与へて返します。和睦派の弟・重明(原健作)はこの仕打に激怒、単身河野家へ詫びに行きます。
 河野家では捕へられた重明ですが、命懸けで和睦を実現するとの言葉に、河野家のカシラ・通有(阪東妻三郎)も納得して返されるのでした。

 そして遂に元軍が日本を目指します。このニュースに時宗は皆を鼓舞し、日蓮上人(市川右太衛門)は大衆を集めて大演説、蒙を開きます。河野通有は「戦に勝つまで烏帽子を被るまい」と誓ひます。元軍を迎へ討つ博多へ、続々と集まる各軍勢。河野家との和睦に否定的だつた重明も船と共に集結し、通有と手を組むのでした......

 1944(昭和19)年と云へば、既に日本の敗色濃い時代。疲弊した国民に対し、嘗て我が国には「神風」が吹いた、今回も一億総攻撃で日本人の心が一つになれば新たな神風が吹くであらう、みたいに愛国心を煽る目的もあつたのではないでせうか。
 元元この作品は五所平之助の予定だつたと聞きます。しかし五所は河野家の姫・水緒(四元百々生)と忽那家の重明との恋愛に重きを置いた「ロミオとジュリエット」もどきの作品にしてしまつたので、当然これでは戦意高揚映画にならないと、丸根賛太郎に交代したさうです。五所は元元国策映画は作らないと公言してゐたさうで、考へてみれば初めからさうすれば良いのにと思ひます。

 国策プロパガンダと云ふ事で、観る価値なしと切り捨てる人もゐるかも知れませんが、やはり大スタア達の演技は皆それぞれ個性的で素晴らしい。バンツマは矢鱈と感情の高ぶりを示すエキセントリックな海運のカシラ。千恵蔵は大時代な発声で時代のリーダーを、アラカンは逆にヤクザつぽい話し方で魅了し、右太衛門は大衆を鼓舞する大演説。夫々共通するのは、他の出演者に交つても一人だけ個性的過ぎて浮いてゐると云ふ事ですな。

 その他では、別宮通商役に月形龍之介(余り目立たない)、超好青年の忽那重明役に原健作で、戦後のワルのイメエヂがある人が見ると吃驚します。彼と心を通わせるのが、河野のお嬢様・四元百々生(五所平之助監督の「伊豆の娘たち」に出てた人)で、中中可愛いです。
 笑つてしまつたのが、自分も戦に参加させてくれと猛アッピールする「85歳の井芹秀重」役の高山徳右衛門。「自分が老齢過ぎるなら息子がゐる、69歳と若い」。念の為に云ふと、この高山徳右衛門とは、薄田研二の本名であります。戦前から「85歳」の老け役を演じてゐたのですね。

 クライマックスは、「神風」が元軍を完膚なきまでに粉砕する嵐のシーンであります。ここは特撮を駆使し、担当したのは「東宝株式会社」、即ち円谷英二。白黒かつ映像が鮮明でない事が逆に幸ひし、粗は殆ど目立ちません。「ハワイ・マレー沖海戦」で戦前に於ける特撮の頂点を極めた円谷、ここでも手堅い仕事ぶりです。

 当時の観客は、スタア共演もさることながら、日々切迫する戦況の中で、日本が蒙古を撃退した歴史をなぞる事で勇気を得たのでせうか。それならば本作の目的は達せられた事になります。鼻白む向きも多いでせう。さはさりながら、映画人たちは皆、力量を発揮したのは間違ひありません。

2022/09/06

2022/09/06

50点

購入/DVD 


企画-情報省、後援-海軍省、陸軍省、大映が総力あげて製作した国威高揚映画!

時代が戦時中でなければ、知恵蔵、右太衛門、嵐寛、阪妻、月形龍之介らとオールキャストによる超娯楽時代劇になり得る作品ながら、セリフの一つ一つがいかにもプロパガンダ的。エキストラの数といい、元寇の特撮といい、結構見せてくれるが、よくぞ戦局厳しさを増した時にこれだけの規模の作品を作ったものと正直驚き!

2002/05/26

2018/07/14

65点

映画館/東京都/新文芸坐 


豪華キャスト

バンツマ映画祭にて鑑賞。16ミリ版。豪華なキャスト、宮川一夫の撮影。