名人長次彫

めいじんちょうじぼり|----|----

名人長次彫

レビューの数

3

平均評点

59.2(6人)

観たひと

10

観たいひと

3

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 時代劇
製作国 日本
製作年 1943
公開年月日 1943/7/15
上映時間 84分
製作会社 東宝映画
配給 映画配給社 紅系
レイティング 一般映画
カラー モノクロ/スタンダード
アスペクト比 スタンダード(1:1.37)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督萩原遼 
脚本三村伸太郎 
製作清川峯輔 
撮影安本淳 
美術中古智 
音楽春日邦雄 
録音原田惟行 
調音岡崎三千雄 
照明西川鶴三 
編集後藤敏男 
演奏東宝映画管弦楽団 
製作主任毛利正樹 
現像西川悦二 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演長谷川一夫 長次
山田五十鈴 おうた
花井蘭子 小雪
丸山定夫 日下部伊三次
横山エンタツ 権三
花菱アチャコ 助十
清川荘司 鉄吉
汐見洋 喜左衛門
横山運平 平助
鬼頭善一郎 源助
松尾文人 宇之吉
永井柳筰 忠助
三谷幸子 お琴
花岡菊子 およね
田中筆子 おかね
志村喬 蟇徳

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

(9巻)

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キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2023/12/09

2023/12/10

-点

映画館/東京都/国立映画アーカイブ 

『名人長次彫』。1943年製作の彫刻師長次(長谷川一夫)の話。幕末、夷狄がやってきた頃の国難を時局に重ね合わせている。日下部(丸山定夫)の𠮟責で簡単に翻意してしまうとは…。おうた(山田五十鈴)は長次に首ったけだけど長次の方はそうでもない。しかしラストで「俺の女房」宣言、何だかなあ。

2022/01/17

2022/02/19

35点

テレビ/有料放送/衛星劇場 


創作家が国の大義に走る

三村伸太郎の世話物は長屋の庶民の淡々とした日常生活が匂い立ってくる。山中貞雄監督の「人情紙風船」や「河内山宗俊」の雰囲気を期待した。

所帯持ちの朝支度は早い。独り者の権三(横山エンタツ)は向かいに住む所帯持ちと朝の挨拶を交わしながら炭火を貰ってくる。火を起こす手間をこうやって省く。今どきの映画では見かけることがなくなった場面である。忘れられた庶民の扶け合う生活の知恵がさりげなく描かれて、文化的に価値のある描写と言える。
この長屋に彫物師長次が住んでいる。彫り上げた仏像を幼馴染のおうた(山田五十鈴)から、「目が生きていない」と評されて一旦は怒ったものの上方へ修行に出る。そこまでだった、職人が精進する話は。

長次(長谷川一夫)が水戸への密使を引き受ける辺りから流れがおかしくなる。政治への関わりよりも彫り物に精進しようとする長次に、勤皇の志士(丸山定夫)は長次が彫った仏像を一刀両断にしてしまう。入魂の作を切断されて、長次は怒るかと思ったら、何と「私が思い違いをしていました」と謝るではないか。
江戸庶民の生活を通して職人気質の矜持を描くかと思ったら、主人公は今までの精進をあっさり捨てる。国の緊急時に命を捧げることが最大の使命であり、そんな時に芸術の創造にうつつを抜かす自分を恥じる。
一刀両断したシーンから残念な凡作に化けた。前半の職人気質や本物を求める精進ぶりが後半で台無しになった。国策に合わせながら、創作家としての矜持をこっそりと忍ばせるような芸当ができる世相では無くなっていたようだ。
昭和18年7月公開。5ヶ月後の12月には真珠湾攻撃で戦争の火蓋は切られる。そういうご時世が反映してか国策映画見え見えの作品になった。他山の石を以って玉を攻(おさ)むべし。

勤皇の志士、日下部伊佐次を演じた丸山定夫は1945年8月6日、広島で「無法松の一生」を公演中に被爆した。享年44歳。

2014/08/15

2014/08/15

70点

テレビ/有料放送/時代劇専門チャンネル 


国策映画であろうが、よくできている

彫刻師の精進の物語にかこつけて。実はお国のために命を投げ出せというテーマを表に出した映画。
長谷川一夫と山田五十鈴の息の合ったコンビがいい。長次という男を思う山田の演技が秀逸。牢屋での心理描写や、長次の旅立ち前の思い詰めた様子などさすが山田と思わせる。
花井蘭子も出ているが、もう少し演技をさせて欲しかった。少々出番が少ない。
清川莊司、エンタツ、アチャコ、志村喬、横山運平など脇役もいい。エンタツアチャコの掛け合いは、後の漫才コンビの登場する映画と違ってしゃべくりばかりに終わってないところがいい。所々で登場しては息抜きをさせてくれる。
志村尚の目明かしの親分もクールで、志村にしては珍しい憎まれ役だ。
三村伸太郎の脚本を萩原遼がうまくまとめた。国策の思想部分を見せながら、その実男女の情愛を織り込んである所はさすがだ。