2001年宇宙の旅

にせんいちねんうちゅうのたび|2001: A Space Odyssey|2001: A Space Odyssey

2001年宇宙の旅

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レビューの数

293

平均評点

81.9(1654人)

観たひと

2398

観たいひと

195

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル SF
製作国 アメリカ
製作年 1968
公開年月日 1968/4/11
上映時間 149分
製作会社 スタンリー・キューブリック・プロ
配給 MGM
レイティング 一般映画
カラー カラー
アスペクト比 シネラマ(1:2.59)
上映フォーマット シネラマ
メディアタイプ フィルム
音声 6chステレオ

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

科学小説作家アーサー・C・クラークと「博士の異常な愛情」のスタンリー・キューブリックが製作・監督したSF。撮影は「オセロ」のジョフリー・アンスワース、補助撮影はジョン・オルコットが担当した。なお、特殊撮影効果のすべてはキューブリックの考案、監督のもとに行われた。セットの製作デザインはトニー・マスターズ、ハリー・ラング、アーネスト・アーチャーの3人を中心にデザイナーと製図工35人が動員された。特殊効果監督には、ウォリー・ビーヴァーズ、ダグラス・トランブル、コン・ペダーソン、トム・ハワード、の3人があたり衣裳は、ハーディ・エイミーズが担当した。そして、この映画を科学技術的に正確にするため、キューブリック監督はアメリカ航空宇宙局の多くの科学者、アメリカおよびイギリスの主要な科学研究所や大学と密接な提携をし、撮影中は、3人の一流科学者が技術顧問としてつき添った。それはもと陸軍弾道ミサイル部のフレドリック・J・オーダウェイとハリー・H・C・レンジ、元航空宇宙局の宇宙飛行センター勤務で、今はアラバマ州ハンツビルのジェネラル宇宙飛行研究会社のジョー・C・ジマーシャルである。出演は「女狐」のキア・デュリア、TVや「ヤング・ヤング・パレード」のゲイリー・ロックウッド、「BM15必死の潜行」のウィリアム・シルヴェスター、「キッスは殺しのサイン」のレナード・ロシター、「BM15必死の潜行」のマーガレット・タイザック、コンピューターに扮するダグラス・レインである。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

有史以前。類人猿の群れが、荒野に点在するわずかな植物を食料に、他の群れと水を奪い合い、外敵に怯えながら細々と生き延びていた。そんな彼らの前にある日、謎の黒い石板状の巨大な物体が姿を現す。それに触れた彼らは、辺りに散らばっていた動物の骨を道具として使うことを覚える。その骨を使って狩りをするようになった彼らは、肉を食料にし始め、骨を武器として他の群れとの争いにも勝利する。時は移り……。地球を飛び立ったアメリカの宇宙船が、宇宙ステーション目指して飛行を続けていた。ステーションに到着した宇宙船から降り立ったのは、フロイド博士(ウィリアム・シルベスター)。そこでソ連の科学者と会った博士は、月面のクラヴィウス基地と2週間ほど連絡が取れなくなっているとの話を聞く。ソ連の宇宙船が緊急着陸を拒否されたことから、基地では伝染病が蔓延しているのではないかとの噂も流れていた。だが実は、博士は極秘任務のためにクラヴィウス基地へ向かっていたのだ。伝染病蔓延説は、秘密保持のため、基地側が意図的に流したデマだった。博士の訪問は、その秘密の公表に関する判断材料を得ることが目的だった。ステーションで宇宙船を乗り換え、基地に到着した博士は、月面のとある場所を訪れる。そこでは、あの黒い石板状の巨大な物体が発見されていた。しかも、それは400万年前、何者かによって意図的に埋められたものだという。宇宙服を着たまま、石板に触れる博士。さらに一行がその前で写真を撮ろうとすると、甲高い金属音が全員を襲う……。それからしばらく経ち、木星探査計画開始から18か月後。5名のクルーを乗せた有人宇宙船ディスカバリー号が木星へと向かっていた。船内では、ボウマン指揮官(キア・デュリア)と副官のプール(ゲイリー・ロックウッド)を除く3名が木星到着まで冬眠状態。代わりに船内の全機能を管理するのは、最新型コンピューター“HAL9000”、通称“ハル”だった。ボウマンの指揮下、人間以上の正確さで膨大な任務を遂行し、会話も可能なハルは、6人目のクルーとも言える存在だった。やがて、地球との交信に必要なパーツの不調を検知するハル。だが、ボウマンが確認したところ、異常は見当たらなかった。その原因を問い質すと、ハルは“自分の機能は完璧。人間のミス”と回答。その様子に、ハルの異常を疑ったボウマンとプールは、ハルの中枢機能の停止を決断する。ところが、それを察知したハルは、船外活動中のプールと冬眠中の3名を殺害。プールを助けようと船外に出たボウマンも危機に陥ったものの、辛うじて生還するとハルの思考機能を停止させる。その時、木星到着後に公開予定だった動画が再生され、極秘だった探査の目的が明らかになる。月面で発掘された例の石板が地球外の知的生命体の存在を示していたこと、そしてそれが木星に向けて強力な電波を発信していたこと……。やがて、木星に到着するディスカバリー号。そこでボウマンが目にしたものとは……?

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2019年3月下旬映画業界決算特別号

2018年映画業界総決算:第3章 映画界事件簿 時代を超えた「2001年宇宙の旅」

2010年8月下旬号

午前十時の映画祭:「2001年宇宙の旅」「ミクロの決死圏」

2001年8月下旬号

作品特集 「PLANET OF THE APES/猿の惑星」第2弾:「猿の惑星」「2001年宇宙の旅」「A.I.」が予見するもの

2001年4月下旬号

特別企画 映画館主義 絶対映画館で観る!:「2001年宇宙の旅」

1968年6月上旬号

外国映画批評:2001年宇宙の旅

1968年5月下旬号

鼎談 「2001年宇宙の旅」の謎を解く:問題のシネラマ大作の本当のテーマは果して何か?数々の不思議なシーンの意味をSF作家が解明する 星新一×福島正実×小松左京

外国映画紹介:2001年宇宙の旅

1968年4月下旬号

新作グラビア:2001年宇宙の旅

2026/02/02

2026/02/02

-点

映画館/東京都/TOHOシネマズ立川立飛 
字幕


2001年の世界はどこまで現実になったか?

2001年宇宙の旅』を久しぶりにスクリーンの大画面で見た。その素晴らしさは自分の中ではすでに保証されたものといえる。

そこで『2001年宇宙の旅』の製作から68年目にあたる今、キューブリックとクラークが描いた未来はどれくらい現実のものとなり、まだ手が届いていない部分はどのくらいあるのだろうか?そして何より作品の未来への警鐘、予言性はどれほどのものであったのか?を考えてみたい。

先ず劇中、宇宙評議会のフロイド博士らは月面クラピウス基地に向かうが、この映画の公開がなされた1968年12月にはアポロ8号が月面着陸までは果たしている。が、アポロ計画が1972年に終了してしまうと技術は拡散してしまい再び月に到達する技術の再構築という困難に直面しながらアルテミス計画として進んでいる。素人目には「いったん着陸できたのにまた最初から」ということは何なのだろう?この辺り、キューブリックらの描いた未来とは多少解離があり、振り出しに戻った感がある。

次に重力の扱い。オリオン号の中でのキャビンアテンダントの立ち居振る舞いに無重力描写があったけれど接客に支障をきたさないくらいコントロールが効いている。現在、ニュースなどで国際宇宙ステーションのクルーなどが映るがまだまだだなと思う。浮いてるもの。

宇宙ステーションに着いたフロイド博士が、「ちょっと失礼」と地球で明日誕生日を迎えるちびちゃんにテレビ電話。これはもう「かつてはSkype、今ではLINEのビデオ通話なんかあるから」と思ったが地球と宇宙では映画ほどスムーズにやり取りできるものか?

そして木星への旅路でボウマン船長とプール隊員は、HAL9000に酷い目に遭う。プールの亡骸を宇宙空間から回収をする時にボウマンが駆使するのがポッドに装備されたロボットアーム。しっかりと操作してプール隊員を確保するが、それどころではなくなる。現代の国際宇宙ステーションで日本人クルーはこの操作を何回も行って日本のお家芸的になっている感じ。

そしてもう一人の主役HAL9000型コンピューターである。現代では若者の相談相手の割合はチャットGPTがダントツトップだという。つまり多くの若者が人に相談しなくなっている。機械に信頼を寄せ、「結婚相手もAIでいい」という時代。その先にあるのは一体何か?と言うとこの作品にあるHALの反乱裏切りだったりする。これはかなり怖いことではないか?キューブリックとクラークが想像した未来は、こんな形で実現したりしていなかったり。ただ最後の、行きすぎるとコンピューターさえも人間を裏切ることがあると言う予言はあくまでも予言に留めたいものだ。

極度に作品へのこだわりの強いキューブリックだからこそ自作は「ただ面白いだけ」では済まさない。それがいかに事実や事象に正確で厳密なものか?それをどの自作品にも追求して止まないキューブリックがそこにいる。

2026/02/01

2026/02/01

85点

映画館/東京都/TOHOシネマズ日本橋 
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午前10時の映画祭にて、久々スクリーン鑑賞

今回プレミアシートで7年半ぶりスクリーン鑑賞。前回はIMAXだったが今回もかなりのビッグスクリーンで見応えあった。相当の旧作だが満員である。
改めて、キューブリックのクリエイティビティに敬服。本作、絶対スクリーンで見るべき傑作である。

2026/01/31

2026/01/31

90点

映画館/東京都/グランドシネマサンシャイン池袋 
字幕


BESTIA版が凄かった

久しぶりの鑑賞。今回はBESTIA版という音響に凝った劇場での上映だったため、若干割高。
正直BESTIA版の良さを理解出来ていないので、割高な料金に若干の不満も感じていたのだが、本作では冒頭の「ツァラトゥストラはかく語りき」の打楽器(多分ティンパニ)の迫力が凄くて、終始身体の内側にまで振動が伝わってきていた。BESTIA上映の凄さをようやく思い知った、ということなんだろう。

改めて観るとホント静かな映画。
R.シュトラウスやJ.シュトラウスの音楽やHALと対峙するボウマンのヘルメット内の息づかいがなければ、宇宙の深い静寂を思い知ることになるんだろうなぁ、と考えながら楽しんでいた。
「美しき青きドナウ」などは延べにして15分から20分くらいは流れているんじゃないかな、もっとかも…。
エンドロールが終わった後もかなり長い時間流れているから、吹奏楽を聴きにきていたような錯覚さえ覚えたよ。演奏が終わりホントの終映後かなり多くの方から拍手が起きていたのも印象的でした。

それにしても、そんなある意味「静かな映画」であるため、苦手な人は苦手なんだろうな、というのも理解できる。少し前の席にいた若い女性はインターミッション後に消えていたよ。
木星への探査船とその前にある18ヶ月前のフロイド博士たちが密かに執行しようとしていた案件が結びつくのがもう少し早ければ途中で映画から離れることはないんじゃないのかなぁ、と思わなくもない。
まあ、キューブリックが客に寄り添った作品を作るとも思えないけどね。

今回はボウマンが到着後、恐ろしく長い時間の経過がボウマンの老化を示す様子で表現されている場面の一つで、孤独に食事をしているシーンがあるが、そのシーンにC.ノーランの「インセプション」で渡辺謙が時間の底に落ちた中、ディカプリオが渡辺謙を迎えに行った時の食事シーンを連想していた。
何かとても似ているような気がするが、インセプションに影響を与えているんだろうか…。

2026/01/31

2026/01/31

100点

映画館/東京都/TOHOシネマズ日本橋 
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また観た! <@午前十時の映画祭⑮>

TOHOシネマズ日本橋での「午前10時の映画祭⑮」で鑑賞。
『2001年宇宙の旅』は、1979年に《70ミリ版》を初めて観てからリピート鑑賞しており、前回映画館で観たのは2018年の《IMAX版 4Kリマスター版》(@TOHOシネマズ日比谷)だったので、映画館で観るのはちょっと久しぶり…(^^)
やはり大きなスクリーンで観るのは良いもので、今回も《4Kリマスター版》だったので画質良好。音質も良かった。

今回改めて思ったのは、映画最初と最後の「音楽のみで黒スクリーン」で聴く音楽の心地良さ。
また何十回と観ているのに、「ハッ!」とする瞬間もあり、「全編にわたって名場面だらけの映画」であることを再認識。

ストーリーは今更記載しないが、本作関連本を何冊も読んでいて「どうやって撮ったか…」も知っているのに、映像を見入ると「すごいな~~」と思うキューブリック監督作。


この作品、初見は1979年11月1日、新宿プラザの超巨大スクリーンで鑑賞。
当時は入替制ではなかったので、12時/15時/18時の回を3回続けて観て、昼前に入場した映画館から出てきたのは21時ごろだった。暇な学生時代…😄笑

初見1979年の大型スクリーンで観て以来、テアトル東京(シネラマ)、新宿プラザなどでリピート鑑賞する日々。
また、VHS、(キューブリック自ら編集した)日本で放映されたテレビ版、DVD、Blu-rayと様々なかたちで観ている。
また、普段クラシック音楽を殆ど聴かなかった自分も「美しく青きドナウ」を思い出し、サントラLPレコードなるものを初めて買った。

前回のIMAX上映でもインターミッションあり、今回の「午前10時の映画祭⑮」《4Kリマスター版》でもインターミッションあり。

「この映画は体験する映画」と割り切って、観るたびにキューブリック監督による映像芸術を堪能する映画。
素晴らしい作品であり、今後もリピート鑑賞するだろう映画だが、最近は「あと何回観られるかなぁ…?」と思ってしまう。

<映倫No.S-3555>

2025/05/13

2025/06/03

95点

VOD/Amazonプライム・ビデオ 
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キューブリックの「予言」

 まず驚いたことは、1968年にこれだけの特撮ができていたことです。木星に向けた宇宙船のアームが動き繊細な操作をおこなう。スターウォーズ誕生9年前にキューブリックはやってのけたのです。ルーカスほどのスピードや動きはありませんが、機械類や操作盤など当時見た人は驚愕したでしょう。2001年まで33年前です。2025年の今見ても1968年にこの映画を作ったという驚きしかありません。
 難解な映画といわれています。そうですあの「黒壁」が何を意味するのか。この映画は人類の祖先、サルの時代から始まります。サルが群れをなして縄張り争いをしています。そこに「黒壁」が出現します。サルたちは何をしたか。「武器」を発明し敵対する群れを駆逐します。
 シーンは切り替わり月に向けた宇宙船の中の描写になります。月に行くことが日常茶飯事になっている状況です。異常な事態がおこります。月になにか不明な物体がある、人類に危機を及ぼす恐れがあると研究者は危惧します。月のその場に行ってみると、あったのは「黒壁」でした。またしても黒壁です。
 それから8カ月後、木星に向けた宇宙船の船内の描写に切り替わります。乗組員は5人ですが3人はいわゆる冬眠中で船内では2名が仕事に従事しています。しかも宇宙船を実質動かしているのは人工知能であるHALです。このHALが宇宙船すべてをコントルールしています。
 しかしある日HALは暴走します。人間の命令に背くのです。そこで乗組員2名はどうなったか。ラストシーンにあらわれるのはまた「黒壁」です。
「黒壁」はなにを意味するのか。そこにこの映画最大のテーマが隠されています。
 サルの時代「武器」を持った時点で「進化」しているのです。「進化」はなぜ必要か、それは生存のためです。生存するためには、戦いに勝たねばならない。つまり人類の「進化」は戦い、戦争の繰り返しを意味するのです。まさに人類は戦争を繰り返し「進化」していきましたよね。それをキューブリックは描写しているのでしょう。
 次に月にあらわれた「黒壁」です。人類に危機をおよぼす恐れがあるもの。キューブリックの「予言」を解釈するのならまさに「コロナウイルス」の発生です。人類が「進化」し人間が創りだしてはいけないことに手をだした。この警告は数年前に全世  界で人類が経験したことに直結します。
 そして最後のHALの暴走。キューブリックはAIの誕生を1968年には「予言」していたのです。それも人間の知能をはるかに超えるAIの出現を。
 その結果どうなったか。最後にまたしても「黒壁」です。人類の「進化」のために作りだしたAIに人間がコントールされる。はたして人類の「進化」はこれほど必要であったのか。今、2025年に再度見て深く考えさせられました。
 キューブリックが1968年に「予言」した2001年。その「予言」は戦争の繰り返しはあたりまえのように続き、2001年まで人類は「進化」を止めませんでした。そして2025年。2020年コロナウイルスが世界を席巻し今まさにAIの開発に投資、研究戦争が進められています。
 人類はまだ「進化」と「黒壁」が必要でしょうか。充分人類は進化してきたのに。まさにサブタイトルの「a space odyssey」「長い冒険旅行」をしてきたのです。
 キューブリックが「予言」したHALの暴走だけは止めないといけません。
 キューブリックは人類とはいつまでも「進化」し続ける存在であり、その「進化」に人類が人間をみずから失うことを「長い冒険旅行」と捉えたのです。
 1968年のキューブリックの「予言」とおりに人類は生きている。HALが支配する宇宙船の中にあらわれた最後の「黒壁」は人類の「死」を「予言」しています。それでいいのか、今改めて考える最後の時ではないでしょうか。

2025/04/12

2025/04/12

75点

テレビ/無料放送/J:COM BS 
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周期からの逸脱

冒頭の闇と音楽からして狂気の沙汰を感じる.この闇は時々やってくる.インターミッションの後にもただ黒い画面が続き,音が聞こえている.また,エンドクレジットが出た後も黒い画面は続き,音楽が聞こえている.全体としては静謐な画面と音響であるが,その分,奇妙な音,警告音が耳障りでもあり,呼吸音やどこかから空気が漏れるような音が窒息や緊張を誘う.そして音の出どころもよくわからないように,闇がなぜこうも続くのか,わからない.それでも重要な場面で三度ほど現れる黒いモノリスをクロースアップしたものが闇であり,その闇は宇宙本来の闇でもあるらしい.
太陽の惑星二つが直列に並ぼうとしている.その太陽が地上から見え,空や一帯を赤く染めている.こうした天体的な映像は,宇宙船も浮かび,回る映像とも連動し,生命的で,性的なアナロジーすら感じさせる.不毛にしか見えないその土地には二種の哺乳類の群れが見え,接近しながら生活をしているらしい,動物の骨も見える ネコ科の肉食獣が猿のような個体に襲いかかってもいる.夜は青白い光があたりを照らしている 虫の声も聞こえている.そこに黒い人工的な石板が立っており,白い骨を手にし,頭蓋骨を砕く,そして肉を食っているのだから,かつて隣人であった四つ足の草食獣を食べるようになったらしい.こうした時空を超えたような冒頭部分もサイレント的に進行に,それなりの長さもある.
旅行者はまどろんでいる.ペンが浮いている.ゆっくりと船内を歩く女性の乗務員がいる.モニターが見える.地球との通信もできるらしい.ゆっくり歩く,この人間の運動は一貫しており,それは無重力の宇宙空間の運動としても見えるが,運動性能の面では人間は退化したかのようでもある.そしてこの運動の遅滞が,水平と垂直の関係を曖昧にして,天地無用と回転という惑星や宇宙船という外部の運動への余地を生む.
ステーションは車輪のようにゆっくりと回っている.窓の外では光る地球が,あるいは月面が動き続けている.白い光るような内装に,赤い奇妙な造形のベンチがある.のちにただ中心が赤く光る「ハル」のクロールアップが続けて挿入されるその布石にもなっている.月面基地での出来事は,未知のものへと向かい,宇宙評議会のフロイド博士(ウィリアム・シルベスター)の任務が示され,ボーマン船長(キア・デュリア)らを木星探査へと向かわせる動機にもなっているらしい.
閉鎖的かつ開放的な宇宙は,地獄のようでいて,天国のようでもあり,船長らは特に感情を示さずにいるつもりであっても,ハルとの欺瞞的なコミュニケーションは互いをやや逆撫でしているかにも感じる.こうした微妙な感覚がやがて強烈な視覚体験へと増幅されていくかにも感じる.ゆっくりと回っていたその周期が時間を超越し,あるものとあるはずもないものを見せようとしている.