もしかしたら制作者には
深遠なテーマと
練ったストーリーと
秘めた伏線とがあるのかも知れないけれど、
わたしにとっては、
原作の粗筋をなぞることだけは守り、
後は制作者が好き勝手にヒラメキで装飾した映画に思えた。
で。
普段のわたしなら
これを難解だゲイジツだなんだと
思考停止するところだけれど、
映像と音楽に圧倒されて、
ただそれらを浴びることに
心地よさを覚えてしまった。
わたしにとってはそんな映画だった。
ディスカバリー号は精子を象徴し、
あの形状となっているという。
ならば向かう先である木星は卵子と言うことか。
そしてラストシーンの大きな胎児は、
ディスカバリー号の木星への到着
=受精によって誕生した
ということの象徴なのか。
モノリス文明はヒトに知恵を授け、
木星にまで辿りつくまで進化したとき、
ヒトの代表者としてボーマン船長に
別次元文明の知の集大成
(小さなお子様ならヒキツケを起こしそうな特別映像など)
を見せることで、祝福したのか?
でも、それにしては
ボーマン船長の表情には苦悶や疑念や混乱しか見られない。
また、祝福するには余りに殺風景なロココ調?の部屋は何だろう?
まるで監獄のようにそこでボーマンは年老いて行ったように見える。
HAL9000の反乱は、
頭の良さを鼻にかけていたのに
間違いを指摘されてキレたガキの行動のように見えた。
そういう意味では
「感情を持つコンピュータ」
というのも間違いではないのだろう。
劇中の「Intermission(休憩)」。
モノリス文明がボーマンに見せた特殊映像。
クラシック音楽の採用。
間(静寂)。
「エヴァンゲリオン」ってこの映画の影響が大なんだと初めて知る。
木星とその衛星?が直線に並び、
その間にモノリスが水平に交わったとき、
ボーマン船長への大量情報投入が始まったことから、
それは十字、
つまり「神」的存在であることを示しているのかな。