2019年3月21日に鑑賞。DVDにて。2時間20分43秒。ビスタサイズ・テクニカラー。パラマウント映画。原作:アレクサンダー・クライン、衣装:イディス・ヘッド。ロケ地は、ストックホルム、コペンハーゲン、ハンブルグと西ドイツである。実話を基にしている。
48年振りに鑑賞する。当時の印象は損なわれなかった。リアルな非情なスパイ物の傑作である。職人監督ジョージ・シートンの最高作であろう。
ウィリアム・ホールデン(1918年生・44歳)の後期の代表作である。リリー・パルマー(1914年生・48歳・ポーランド生まれ両親はユダヤ人)が素晴らしい。
ゲシュタポに捕まりモアビット刑務所へ送られたエリック・エレクソン(NY生まれ・1930年に米国の市民権を捨てスウェーデンに移住)が半地下の独房に収容される。鐘が鳴る。寝ていたエレクソンが起き上がる。半地下の窓から地上が覗くが、見えなのでベッドを引きずり移動させてベッドの上に上がる。右側の建物から女囚2人男囚1人が出て来る。マリアンナだ!レンガ壁に銃弾の跡。運命を知った3人の歩みが止まる。エリックが叫ぶが窓の手前には鉄格子が嵌り、ガラスに手が届かない。エリックの収容された建物の窓々から囚人たちが中庭を見つめる。エリックが室内の壁に取り付けられていた棒[1本脚の木製のテーブルが壁に折り畳まれている。その脚]を外して、やっとガラスを割り叫ぶ「マリアンナ!マリアンナ!」壁際に立たされたマリアンナがその声に気づいて声の主を捜す。マリアンナがエリックを認め右手を伸ばすと同時に銃声でマリアンナの身体がくずおれる。この場面が白眉である。胸が締め付けられる。
2人が密会に使っていたアパートの前に、ゲシュタポが来る。覚悟を決めた2人。マリアンナ「入って来たらあなたは驚いたふりをっするのよ。私がスパイだと白状するわ」階段に足音。覚悟を決めた2人。足音が2人の部屋を通り過ぎて3階に。ドアが強打されて、反ナチのビラを印刷していた男が連行される。震える2人。ここで2人の距離が縮まる。この場面も素晴らしい。
捕まったマリアンナが最後までエリックは無関係と証言したまま死んだことと、ゲシュタポがこのアパートの他の部屋の住人も調べることの伏線が巧妙に張られている。