偽の売国奴

にせのばいこくど|The Counterfiet Traitor|----

偽の売国奴

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レビューの数

6

平均評点

70.9(12人)

観たひと

19

観たいひと

2

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 戦争
製作国 アメリカ
製作年 1962
公開年月日 1963/1/11
上映時間 0分
製作会社 パラマウント映画
配給 パラマウント
レイティング
カラー カラー/スタンダード
アスペクト比 スタンダード(1:1.37)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演ウィリアム・ホールデン Eric Erickson
リリー・パルマー Marianne Mollendorf
ヒュー・グリフィス Collins
エリカ・ベーア Klara Holtz
エヴァ・ダールベック Ingrid Erickson
Helo Gutschwager Hans Holtz
Holger Hagen Carl Bradley
Ulf Palmea Max Glumpell
カール・ラダッツ Otto Holtz

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

第二次大戦で大物スパイとして知られたアメリカ生まれのスエーデン人エリック・エリクスンの実話に取材した戦争秘話。アレクサンダー・クラインのストーリーを「結婚泥棒」のジョージ・シートンが脚色・監督した。撮影はジャン・ブールゴアン、音楽はアルフレッド・ニューマン。出演は「誘惑の夜」のウィリアム・ホールデン、「結婚泥棒」のリリー・パルマー、「ベン・ハー(1959)」のヒュー・グリフィスなど。製作はウィリアム・パールバーグ。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

1942年、第2次世界大戦の戦況は連合軍に不利であった。スェーデンの首都ストックホルムに、エリクスン(ウィリアム・ホールデン)という石油業者がいた。ドイツに石油を売っていたため、連合軍のブラックリストに売国奴として名前がのせられていた。そのため、友人や妻のイングリット(エヴァ・ダールベック)からも冷たい目で見みられていた。英の諜報部員コリンズ(ヒュー・グリフィス)は、エリクスンの立場に目をつけ、連合軍側のスパイ機関に彼を巧みに引っぱった。エリクスンは、スェーデン駐在のドイツの高官コルトナーとウルリッヒに近づき、スェーデンに精油工場を作ることを勧めた。エリクスンのドイツ側と連絡を保つ工作はこれで成功した。第2段の工作はドイツ国内に同志をつくることだった。エリクスンはベルリンにいる旧友フォン・オルデンブルグに目をつけた。オルデンブルグの息子はソ連収容所に入っていた。エリクスンは息子の生命の保証とひきかえにオルデンブルグを仲間に引き入れた。続いて、マリアンヌ(リリー・パルマー)という女がオルデンブルグの紹介で仲間に入ってきた。こうして、エリクスンはベルリンでの工作が終わるとハンブルグに飛んだ。そこで彼はホルツーという男を同志にした。ホルツーは大戦が連合軍の勝利に終わった場合の生命の保証を求めていた。エリクスンは保証の印証をホルツーに渡した。ホルツーの妻クララはエリクスンに色目を使い、息子のハンスは疑惑の目を持ってみていた。ドイツ国内での工作を終わったエリクスンはスェーデンに戻った。その留守中、マリアンヌは自分が提供した情報によって連合軍の空襲を導き、多くの人間が死んでいくのに堪えられず、その心の苦しさを神父に告白した。これをゲシュタポに聞かれたマリアンヌはベルリンの刑務所に収容された。その頃、ホルツが死んだ。エリクスンはハンブルグへ急行した。一刻も速くホルツに与えた印証を取り返さなくてなならない。しかし、印証はハンツに見られていた。エリクスンはゲシュタポに追われる身となった。しかし、秘密諜報部の地下組織によって無事逃れることができた。その頃、マリアンヌは死刑になっていたのだった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1963年2月下旬号

外国映画批評:偽の売国奴

1962年10月上旬秋の特別号

新作グラビア:偽の売国奴

1962年9月下旬号

外国映画紹介:偽の売国奴

2021/09/17

2021/09/18

78点

その他/ツタヤディスカス、DVDレンタル 
字幕


ジョージ・シートン

先日、ビリー・ワイルダーの「熱砂の秘密」を見て、第2次世界大戦中ながら、本格的なスパイものだと思った。
フランチョット・トーンはジェームズ・ボンドのオリジンだと思った。

あちらは北アフリカが舞台だったが、本作はストックホルム、ベルリン、ハンブルグ、コペンハーゲンを舞台にしたナチス征服下のヨーロッパが舞台。
役者もロケ地も、出来るだけリアルな製作方針のもと、撮影されている。
ルイス・ギルバートの「暁の七人」でも感じたが、リアルな撮影地が、ナチス占領下の恐怖を呼び覚ます。
しかし、身もふたもない言い方をさせて貰えば、ウィリアム・ホールデンを主演に持ってきたのが、この映画の限界かと思う。
そして、それを救ったのがリリー・パルマーの好演であったろう。
48才と年はいってるが、こんないい女優さんだったかと驚かされた。
ユダヤ人の両親を持つドイツ人の彼女の気概が、この演技に込められているのだろう。
クーパーと彼女が共演したラングの「外套と短剣」は再見したい。

結局、ホールデンより、名もないレジスタンスの人たちの心意気に目が行ってしまう。
リアル過ぎて、映画のカタルシスは少ない。
最終盤で若いクラウス・キンスキーが出て来た。
ユダヤ人の役であった。
音楽:アルフレッド・ニューマン
ジョージ・シートンは丸の内ピカデリーのロードショーで見れた「大空港」もいいが、ゲーブルとドリス・デイがバッチリ楽しめる「先生のお気にいり」が、お薦めです!

カラー・ビスタ、パラマウント映画
地味な割に2時間20分と長いが、それほど苦ではない。
日本公開は1963年1月。
その半年後の6月には「007は殺しの番号」が公開され、世界中、お遊びスパイ映画で大騒ぎとなった。

2021/01/11

2021/01/11

83点

レンタル/東京都/TSUTAYA 
字幕


どきどきした。面白かった

恒例のタイトルチェックですが、邦題は見事に原題「The Counterfeit Traitor」の直訳。「裏切者」でもいいけど「偽の裏切者」より「売国奴」のほうがキツくてインパクトあります。

ジョージ・シートン監督の作品は、脚本を書いた「マルクス一番乗り」しか見たことがないのでほぼ初見です。うって変わって社会的な題材ですね!

この頃のウィリアム・ホールデンって、トム・ハンクスっぽく見えるときがあるな。こっちのほうが堅い役が向いてる雰囲気があるけど、どちらも市井の人という、普通さ、まじめさ、親しみやすさがあります。

スパイはもとより、詐欺師とかお笑いとかMCとかが勤まるような口の上手さってものが私にはまったくないので、こういう映画を見ると「すごいなぁ」と指をくわえて眺めるしかないのですが、007のようなきらびやかなフィクションと違ってこのエリック・エリクソンという本物のスパイにされた男の話は強烈にスリルと重みを感じさせられます。”地下組織”があんな状況のドイツのあちこちに存在したこともすごい。地下組織かっこよすぎる…しびれる…(しびれてる場合じゃない、生命と国家がかかってるんだから)

第二次大戦中の「中立国」がどういう位置づけだったのか全く知らなかったので、その不可侵で微妙な立ち位置が少しわかってよかった。エリック・エリクソンについての情報ってあんまりないけど、英語のWikipediaを見たら1983年まで生きたらしい。ナチスドイツだから彼の命がけの活躍で負けてよかったと思うけど、日本も一緒に負けたわけだし、もっといい国が負けて危ない国が勝つ状況だったらスパイって微妙だな。。。 

2020/08/27

2020/08/27

75点

レンタル/北海道 
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 第二次世界大戦中ドイツ側の情報を入手するために活動した、実在のスウエーデン国籍アメリカ人スパイを描いたサスペンスドラマ。後半危険を承知でドイツに潜入し、ハンブルクからスウエーデンまでドイツ側の追求を潜り抜けながら脱出する過程がサスペンスいっぱいに描かれる。とても面白かった。

2020/04/02

2020/04/05

80点

選択しない 


告解の落とし穴

ネタバレ

 ジョージ・シートン監督によるスパイ映画。スパイ映画と言えば東西冷戦下の緊張をバックにしたものが多いけれど、本作は第二次世界大戦下のヨーロッパが舞台。であるからして当然ナチスが絡んでのスリルとサスペンスが用意されることになる。実在のスウェーデン人スパイ、エリック・エリクスンに取材した原作による。そのためかエリクソンの回想形式で物語が進められる。
 スパイといってもプロフェッショナルな諜報員ではない。一介の石油業者に過ぎないエリクスンが英国諜報員から脅される形で渋々役目を引き受けることになる。一般人が危険な橋を渡ることでスリリングさも増すことになる。演じるのはウィリアム・ホールデンで、彼のもっとも脂が乗り切っている頃。嫌々ながらの諜報活動に彼らしさが伺える。
 自分の商売である石油をたまたまドイツに売っていたことで連合国に目をつけられ、諜報活動をやらされる羽目になったわけだ。一種の巻き込まれ型サスペンスとも言える。
 ドイツ人の友人たちと取り引きをしてドイツの製油所などの重要情報を連合国側へ流すのが役目。ゲシュタポの目が光る中の諜報活動がスリリング。敵を騙すにはまずは味方からということで、旧友のユダヤ人、マックスにわざと冷たくしたり、やはり活動家のメレンドルフ夫人(リリー・パルマー)とは不倫の関係を装ったり(これは本当の恋に堕ちることになるが)といったスパイものらしい細工を細かく描写している。
 前半は活動の打ち合わせシーンなどが多く、いささか退屈なのだが、中盤から後半にかけてはスリリングな展開の連続で画面に釘付けになる。
 自分の流した情報で学校が空爆され、多くの子供が亡くなったことを悔いる夫人が教会で告解をするシーン、留置されたエリクソンの目の前で処刑される夫人、エリクソンに常に疑いの目を光らせているヒトラー・ユーゲントの少年の存在といったサスペンスが散りばめられている。
 終盤はハンブルグからコペンハーゲン、そしてストックホルムへとのさながら映画「大脱走」のような逃亡劇となる。
 これまでまったく存在すら知らなかった映画だけど、最後まで飽きさせない、なかなか見ごたえのあるサスペンスドラマだった。

2020/03/21

2020/03/21

95点

レンタル/島根県/TSUTAYA 
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非情なスパイ物の傑作

2019年3月21日に鑑賞。DVDにて。2時間20分43秒。ビスタサイズ・テクニカラー。パラマウント映画。原作:アレクサンダー・クライン、衣装:イディス・ヘッド。ロケ地は、ストックホルム、コペンハーゲン、ハンブルグと西ドイツである。実話を基にしている。

48年振りに鑑賞する。当時の印象は損なわれなかった。リアルな非情なスパイ物の傑作である。職人監督ジョージ・シートンの最高作であろう。

ウィリアム・ホールデン(1918年生・44歳)の後期の代表作である。リリー・パルマー(1914年生・48歳・ポーランド生まれ両親はユダヤ人)が素晴らしい。

ゲシュタポに捕まりモアビット刑務所へ送られたエリック・エレクソン(NY生まれ・1930年に米国の市民権を捨てスウェーデンに移住)が半地下の独房に収容される。鐘が鳴る。寝ていたエレクソンが起き上がる。半地下の窓から地上が覗くが、見えなのでベッドを引きずり移動させてベッドの上に上がる。右側の建物から女囚2人男囚1人が出て来る。マリアンナだ!レンガ壁に銃弾の跡。運命を知った3人の歩みが止まる。エリックが叫ぶが窓の手前には鉄格子が嵌り、ガラスに手が届かない。エリックの収容された建物の窓々から囚人たちが中庭を見つめる。エリックが室内の壁に取り付けられていた棒[1本脚の木製のテーブルが壁に折り畳まれている。その脚]を外して、やっとガラスを割り叫ぶ「マリアンナ!マリアンナ!」壁際に立たされたマリアンナがその声に気づいて声の主を捜す。マリアンナがエリックを認め右手を伸ばすと同時に銃声でマリアンナの身体がくずおれる。この場面が白眉である。胸が締め付けられる。

2人が密会に使っていたアパートの前に、ゲシュタポが来る。覚悟を決めた2人。マリアンナ「入って来たらあなたは驚いたふりをっするのよ。私がスパイだと白状するわ」階段に足音。覚悟を決めた2人。足音が2人の部屋を通り過ぎて3階に。ドアが強打されて、反ナチのビラを印刷していた男が連行される。震える2人。ここで2人の距離が縮まる。この場面も素晴らしい。

捕まったマリアンナが最後までエリックは無関係と証言したまま死んだことと、ゲシュタポがこのアパートの他の部屋の住人も調べることの伏線が巧妙に張られている。

1970/06/21

2013/09/04

85点

テレビ/無料放送 
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リアルなスパイ物の原点

1970年6月21日に鑑賞。NHKTVにて。

ウィリアム・ホールデン、リリー・パルマーいいです。
サスペンスに溢れる内容。非情なスパイ物の力作である。