木石

ぼくせき|----|----

木石

レビューの数

5

平均評点

61.5(11人)

観たひと

19

観たいひと

1

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1940
公開年月日 1940/8/1
上映時間 (13巻)
製作会社 松竹(大船撮影所)
配給
レイティング 一般映画
カラー モノクロ/スタンダード
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督五所平之助 
脚本伏見晃 
原作舟橋聖一 
撮影斎藤正夫 
音楽福田幸彦 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

【スタッフ&キャスト】原作:舟橋聖一 脚本:伏見晃 監督:五所平之助 撮影:斎藤正夫 音楽:福田幸彦 出演:夏川大二郎/赤城操子/小暮実千代/山内光

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2022/09/29

2022/09/30

55点

映画館/京都府/京都文化博物館映像ホール 


実験施設で感染とは。

ネタバレ

京都文化博物館 フィルムシアターにて鑑賞。

五所平之助の1940年作品。山登りに出発する男たちに始まり、山岳映画と思わせながらも、そのうちの一人の“先生”に電話があり、すぐ呼び戻される。呼び戻された“先生”が本作の主人公で、研究所附属病院の医師。脳炎の症状の患者を診るために戻ったが患者は亡くなり、病原菌と治療法を見つける研究職に没頭することに。恩師の推薦で助手にした独身女性は、その潔癖さが周囲から嫌われる難物で、木石と揶揄される始末だったが、彼女には二十歳前後の娘がいて…

医者の話かと思えば、研究職の話。そして助手をめぐる陰湿な噂話へとスライドしていく。四十過ぎの独身(だと思われて)木石呼ばわりされる当時の社会の閉鎖性も感じ取れる。結局、モルモットから伝染した病原菌により死んでいく助手の女性だが、一途な純潔女性の悲劇というには、表面的な悲劇のための悲劇のようなお話と感じた。

2021/10/26

2021/10/26

-点

映画館/東京都/国立映画アーカイブ 

『木石』。1940年製作のためかかなり音質が悪い。伝染病研究所に勤務する44歳独身女性(赤城蘭子)が主人公。木石と陰口を言われている。なぜか20歳位の娘(小暮實千代)あり。泉(小林十九二)は裕福、8ミリカメラを持っている。山の宿には明治製菓の製品広告。泉の手土産は明治のアイスクリーム。

2020/03/15

50点

選択しない 


愛を貫く木石女の物語だがアナクロニズムは逃れがたい

 舟橋聖一の同名短編小説が原作。
 木石は、木や石のように情を解さない、人間らしい感情を持たない者のことで、主人公の追川初(赤城操子)のこと。
 初は40代のオールドミスで、感染症の研究所で実験動物の管理をしている。附属病院の医師や看護婦からは木石と陰口を叩かれているが、ある日、若手研究者・二桐(夏川大二郎)の助手に任命され、後継のために娘の襟子(木暮実千代)を手伝わせたことから、周囲は初めて初がシングルマザーであることを知る。
 襟子は初と研究所創設者・有島(山内光)との間の子供ではないか、と附属病院の連中が噂しているときに有島が逝去。果たして襟子は誰の子か? という謎含みの展開となる。
 襟子と二桐の仲が急接近。二桐がプロポーズのために初を訪れ、襟子の出生の秘密を知ることになるが、事故から初が実験動物に噛まれて感染。臨終の間際、初の有島への真実の愛を二桐に語り、同様の愛を求めて襟子を託す。
 襟子は初の子ではなく、有馬のために初が引き取って育てた娘で、それこそが初の有馬への愛であり、同時に初自身が純潔を貫いたことが愛の証というように終わるが、現代感覚からするとたぶんに初の独りよがりで、初の心情を理解するにはやや忖度が必要。
 それ以上にフィルムの音声状況が劣悪で、台詞が聞き取りにくいので、これまた忖度が必要。
 木石には木石なりに陰となって生きなければならなかった女の人生があったというお話で、ラストシーンは晴れて木石とはならずに愛に生きる若いカップルの誕生というハッピーエンドだが、アナクロニズムは逃れがたい。(キネ旬10位)

2019/10/12

2019/10/14

70点

選択しない 


世の中に束縛された女性

木石(ぼくせき)とは、木や石のように、情も感覚もないものこと。この映画の主人公、赤木蘭子が演じるオールドミス、及川初を表現した言葉です。そして、なぜ彼女がそうなったかということが、彼女の助手として研究所に連れてきた、襟子(木暮実千代)の出生の秘密を通して語られるという内容です。今の時代に見ると、ちょっと古風な話で、現実感に乏しいですが、この時代の女性の立場の一面をうかがい知ることができる作品でもあります。

やはり、主人公である赤木蘭子が素晴らしいと思います。木石の題名通り無表情で徹底する冷たい女性の、その情念の強さと寂しさがよく表演されていると思いました。夏川大二郎も好演でした。監督の五所平之助は、元々は松竹の小市民映画系の監督さんですが、この映画を見ていると、主題は小市民というようりは、普通の映画と融合して、人情をゆったりとした流れの中で描き出していくような感じがしました。この一つ前に見た「わかれ雲」のおせんにも、及川初と似たようなものを感じます。

冒頭の北アルプスの風景が素晴らしいです。黒菱ということから、白馬ですね。高原の草花の美しさが目に浮かびます。山岳のシーンは、冒頭とラスト。冒頭のこれから山に向かっていく、期待感高まるようなシーンは、見ていてもわくわくします。

2019/05/13

2019/05/13

81点

その他/ツタヤ新宿、VHSレンタル 


出だしの山岳ロケが素晴らしい。

北アルプスかなぁと思うが、この時代、こういう場面があるとは嬉しい。

はては山岳映画かと思うと、舞台は病院へ。
少しガッカリ。
「白い巨塔」ばりのゴタゴタが発生するが・・・。

1940年のキネ旬10位。
見る気を無くす題名だが、語り口は流麗。
赤木蘭子・木暮実千代の母娘と夏川大二郎のストーリーが、興味を繋ぐ。
メロドラマ的でもあるが、話はくだらなくはなく楽しめた。

さすが「マダムと女房」(未見)、「煙突の見える場所」の名匠、安心して見ていられた。
戦前の家庭で、8ミリ上映をしているシーンあり。
さすが病院関係者、金持ちだわいと思う。
  (我が家も60年代、時々やったものでした。楽しい思い出。)

山好きの人必見と、とりあえず申しておきましょう。
木暮の娘役は若くて、思わず声を上げてしまいました。22才。

松竹正規VHSだが、音声は一部かなり劣悪。
聴こえないというレベルではなく、大きな雑音が覆いかぶさっている・・・。