限りなき前進

かぎりなきぜんしん|----|----

限りなき前進

レビューの数

9

平均評点

73.3(35人)

観たひと

46

観たいひと

20

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1937
公開年月日 1937/11/3
上映時間 (9巻)
製作会社 日活(多摩川撮影所)
配給
レイティング 一般映画
カラー モノクロ/スタンダード
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督内田吐夢 
脚本八木保太郎 
原作小津安二郎 
撮影碧川道夫 
音楽山田栄一 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

【スタッフ&キャスト】原作:小津安二郎 脚本:八木保太郎 監督:内田吐夢 撮影:碧川道夫 音楽:山田栄一 出演:小杉勇/滝花久子/轟夕起子/江川宇礼男

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2020/07/25

2021/05/05

70点

映画館/大阪府/シネヌーヴォ 


小津安二郎の原作を八木保太郎が脚色し、内田吐夢が監督した作品。会社に25年勤続している52歳のサラリーマン、野々宮。序盤は、轟夕起子演じる野々宮の娘・敏ちゃんと弟・良ちゃん、江川宇礼雄演じる北との掛け合いがコミカルで微笑ましい。特に北は現在無職らしく、“ルンペン”のあだ名で揶揄われるものの、蔑まれた感じは全くなし。が、野々宮の会社に定年制が導入され、改変された部分を補った字幕を見ると、作品の趣きがガラリと変わる。その変化は、「これまでのほのぼのさは何だったのか」と思えるほどで、ラストで感じるのはサラリーマンの悲哀と絶望。野々宮家のこれからが、ただただ心配。それでも、デパートでの下りが楽しく、轟夕起子がやたらと可愛かった。

2019/05/30

40点

選択しない 


宮仕えの悲哀を描くが欠損が多くて全貌が見渡せない

 小津安二郎の『愉しき哉保吉君』が原作。内田吐夢の満州抑留中にオリジナル版が改変され、帰国後に再編集された字幕で消失分を補う不完全版のみが現存。
 ホワイトカラーのサラリーマンの悲哀を描く話で、京王線の郊外に住む商事会社勤続25年の主人公・徳丸(小杉勇)は家を新築中だが、折からのインフレで建築費が足りずに工事が止まる。そこに会社に定年制が導入されることになり、クビを言い渡される。弱り目に祟り目の徳丸は遂に気が狂ってしまい、自分が庶務部長に出世して何もかも上手くいく幻想に取りつかれるという凡庸な男のコメディ。
 前半は徳丸の家族を中心とした他愛のない日常が描かれるが、他愛なさすぎて無駄な描写が多く退屈する。小津安二郎が撮ればもっとディティールに拘っただろうにと、本作が内田吐夢向きではないことを思う。
 後半は幻想パートが長く、現実からの転換がどのような編集になっていたのかが気になるが、上述の事情で分からない。
 徳丸のサラリーマン信条は誠実であることで、会社に対しての誠実、滅私奉公を説くが、どんなに誠を尽くしても不用になれば会社から捨てられるという、近代資本主義社会の厳しさによって徳丸のアナクロニズムを笑われる。
 現代社会に置き換えても意外とサラリーマンの意識は変わっていなくて、テーマの普遍性と先進性には驚かされる。日めくりの卓上カレンダーが既にあったことなど、オフィスの描写も興味を引く。
 徳丸の娘(轟夕起子)は当時としては花形の白木屋のデパートガールだが、日給95銭で家計の足しにもならず、恋人の北(江川宇礼雄)は大学は出たけれどのフリーター。
 家のキャベツ畑を耕している北の方が、宮仕えの悲哀を味わう徳丸よりも余程人間らしい生き方というテーマなのだろうが、欠損フィルムが多くて全貌が見渡せないのが残念。(キネ旬1位)

2019/05/26

2019/05/27

50点

映画館/東京都/新文芸坐 


原作小津安二郎、1937年キネ旬1位

2016年3月の新文芸座の内田吐夢監督特集で一度観ているのに、忘れていて、また観た。映画の最初に、「昭和12年に製作されたこの映画は、戦後内田吐夢監督の許可を得ずに後半がカットされ、映画の内容がその趣旨と変わってしまったため、上映が許可されていなかった。しかし、残されている前半は、製作当時そのままなので、上映されないのはあまりに惜しいので、カットされたシーンを説明する字幕を入れて、内田監督の許可を得て昭和28年に上映されるに至った」という説明が入る。小津安二郎原作、キネ旬1位(1937年)ということで、是非観たいと思ったが、カットされたことによって、映画はひどく中途半端なものになっている。娘役の轟夕起子は、この時20歳。初々しくて美しい。【生誕121年内田吐夢映画祭:併映「人生劇場 飛車角と吉良常」】

2019/05/26

2019/05/26

80点

映画館/東京都/新文芸坐 
字幕


内田吐夢監督、小津安二郎原作だが・・・。

ネタバレ

これでは、点数の付けようがない。
悲惨・悲痛な物語が、カットにより能天気なサラリーマンものに変貌させられてしまった。

主人公の希望的幻想(夢)のシーンが、とても長いので、結果、その改変が可能になってしまったのである。

1953年に内田吐夢が中国から帰国した際、改変版の公開を拒否、字幕補完版としてのみ公開を許可したという。
映画史において極めて不幸な作品のひとつである。
また字幕が無かったらと思うだに、恐ろしいことである。

出だしの、のどかな住宅街、野球のキャッチボールが「隣りの八重ちゃん」にそっくりで、びっくり。
轟夕起子と片山明彦少年の愉快・軽妙な姉弟喧嘩に、小津の「子供映画」の部分が見てとれる。
  (片山明彦ちゃんは「路傍の石「風の又三郎」で主演。)
富士山が見える十国峠と言われるシーンも美しい。

改変は、GHQか日活か、どこの輩の仕業によるものだろう。
いきなり現れる《終》の文字に、怒りが湧いてきた。

昔、淀川長治氏が、日本映画で1本挙げるとしたらと聞かれ、本作の名を答えたことがあったかと思うが、どうだったでしょう?
という事で調べてみました。

1979年 淀川氏選出ベストスリー

〇残菊物語
〇羅生門
〇戸田家の兄妹

次点
限りなき前進
日本の悲劇
父ありき
人情紙風船

雨月物語
弥太郎笠
海を渡る祭札

エノケンの法界坊
芸道一代男
ビルマの竪琴

1989年 淀川氏選出ベストテン
ベストワン 限りなき前進
残り9本
葛飾砂子
天一坊と伊賀亮
浪華悲歌
祇園の姉妹
羅生門
七人の侍
西鶴一代女
雨月物語
彼岸花

次点
アマチュア倶楽部
女(木下惠介)
海を渡る祭札(稲垣浩)

1995年 淀川氏選出ベストテン
1.限りなき前進
2.羅生門
3.二十四の瞳
4.祇園の姉妹
5.浪華悲歌
6.姿三四郎
7.葛飾砂子
8.アマチュア倶楽部
9.唐人お吉(溝口)
10.日本橋(溝口)

    

2017/08/20

2017/08/22

-点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 

『限りなき前進』。短縮改編版。フィルム欠落部は中間字幕で説明。サラリーマンの悲哀。轟夕起子はデパートガール。江川宇礼雄との会話が楽しい。弟役は小役時代の片山明彦。後半の展開は現代人には理解しがたいかも。大きな松の実ですなには大笑い。十石峠ハイキングシーンは空撮みたいなキャメラ。

2017/08/21

90点

選択しない 


幻想