女人哀愁

にょにんあいしゅう|----|----

女人哀愁

レビューの数

10

平均評点

68.6(28人)

観たひと

55

観たいひと

2

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1937
公開年月日 1937/1/21
上映時間 74分
製作会社 P.C.L.映画製作所=入江プロダクション
配給 東宝映画
レイティング 一般映画
カラー モノクロ/スタンダード
アスペクト比 スタンダード(1:1.37)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

親の言うがまま金持ちに嫁いだ女性が自意識に目覚め、妹の自由恋愛を応援する様を描くドラマ。原作・監督は成瀬巳喜男。出演は入江たか子、堤眞佐子、佐伯秀男、北沢彪ほか。(8巻)

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

※ストーリーは割愛します。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2023/10/23

2023/10/23

82点

VOD/YouTube/レンタル/テレビ 


成瀬巳喜男、YouTubeで

前から気になっていたが、YouTubeで劣悪画質だと嫌だなと敬遠していた。
見始めたら、動き・画質とも Amazonプライムの粗悪画質の日活映画よりマシなので鑑賞開始。
70インチに耐えられる画質と判断した。
  (素材は、日本映画専門チャンネル・ロゴ入りのもの)

入江たか子が仲のいい《いとこ》はいるのだが、超素敵な男と見合いをする。
あっという間にゴールイン、しかし・・・。
ジジ付き、ババ付き、おまけに旦那の嫌な妹と、勉強をせがむ弟まで同居している。
お手伝いさんがいる、戦前の豪邸と言っていい《うち》である。
何のことはない、夫と結婚したのではなく、《いえ》と結婚した女、入江たか子だったのである。
戦後、高峰秀子が多くの作品で演じた役だ。

ひさしぶりに成瀬映画を見たのだが、成瀬映画ってこんな辛かったっけ?というぐらい嫌な展開である。
家族中から、用事を云いつけられて、俺だったら頭が混乱して爆発しそう。

●ここから終盤について書きます。
 この嫌な家を、入江たか子が蹴っ飛ばして出て来れるか、出てこれないかが、ポイントだが。
 そこに嫌な家の出戻り長女の《ドラマ》を絡めた展開が、見事な締め括りだ。
 入江たか子が、一人の女=《長女》に、愛の真実を気が付かせる。
 そして自分も・・・。
 ラストの入江たか子に、絶妙にカメラが廻り込み、彼女に語らせる台詞も、いい。
 神々しいくらいだ。
 女の、人間の、本当の幸せとは、を描いた《いい映画》。
 成瀬と溝口、重なる部分があるなぁ。
 前々年、「妻よ薔薇のやうに」がキネ旬ベストワンだが、この作品も立派だ。
 だが、なぜかベストテン圏外。
 日本では、トーキー3年目くらいにして、見事な音楽処理。
 東京のロケ感覚も、特筆ものだ。
 1時間13分45秒、過不足なし!
 嫌な旦那を演じた北沢彪(ひょう)は、朝の連続テレビ小説の第1作「娘と私」1961 で主演とのことで、私の幼年時代の記憶に刷り込まれたお顔である。

感傷的かもしれないが、南こうせつ氏の歌の一節が浮かんだ。
♪~恋するなんて無駄なことだと、たとえば人に言ってはみても、あなたの誘い、拒めない
  あなたに逢う日のときめきは、喜びよりも切なさばかり
  あゝ 夢一夜
  あなたを愛した儚さで、わたしはひとつ大人になった
  あゝ 夢一夜

2023/09/20

2023/10/23

-点

選択しない 


嫁いびり

ネタバレ

 嫁入り先で小間使いのように扱われる女の哀れと再出発が描かれる。それにしても嫁いびりの様子が今から見るとあまりに類型的に見えてしまうのも致し方がないか。
 入江たか子が大人しい嫁を消え入りそうに演じて観客の同情を誘う。筋立てはそういうありがちなものなのでどうということはないけれど、ヒロインの周りの人物の描写を面白く見た。
 気さくないとこ(佐伯秀男)には何でも話せる広子(入江)。そのいとこの妹よし子(堤真佐子)と広子の弟とのじゃれあいなどなど。男連中は総じて情けなく描かれ、子供は無邪気というように役割が決まっているのも今では物足りなく感じた。

2021/03/28

2021/03/28

83点

VOD/YouTube/レンタル/スマホ 


驚愕!初めて見た戦前の成瀬映画。大傑作!!!

💮お婆さんでもなく、化け猫でもない入江たか子がすごく美しい。こんな綺麗な人だったんだ!
💮子供の描き方がすごく愉しい。入江たか子の弟(伊藤薫)と従姉(堤真佐子)のじゃれあいの喧嘩や、嫁に行った先の弟が算数の問題を何度も何度も聞くシーンがすごくいい。小津映画の子供達より自然に演じているように感じる。
💮テーマがすごい。戦前から女の生き方、幸せをこんなに深く考えていたとは頭が下がる。「成瀬にはキンタマがあるんですか?」なんてバカにしちゃダメだ。キンタマも頭もあります。温かい心もあります。21世紀の”Me Too”, “Ku Too”さえ先取りしている。

戦前の日本で、お金持ちでも長男で姑舅、小姑がいる家に嫁に入るのは、不幸になりに行くようなものだったんですね。
もっとお手伝いさん=女中さんを使えばいいのに。
見ていて「ふざけんな!」と叫んじゃいました。
当時の良家の奥様って日常生活で丸髷のかつらを付けたりしてたんでしょうか?疑問。

今のところ、今まで見た成瀬映画のTOP5は
《女人哀愁》〉《銀座化粧》〉《夫婦》〉《おかあさん》〉《女が階段を上る時》
という感じかな。
嫌いな《浮雲》《山の音》《めし》《驟雨》といった作品も実は女の幸せを描いていたわけだ。こういう生き方は不幸になりますよ、と。毛嫌いせずに見返していこう!

2019/12/01

2019/12/01

80点

映画館/東京都/神保町シアター 


二人の女性の対比

神保町シアターで開催中の「没後50年~成瀬巳喜男の世界」にて鑑賞。

この成瀬巳喜男監督の映画(1937年作品)は見事だった!
女性の本当の幸せとは…を考えさせられるドラマだった。

1930年代の東京が舞台。女性は適齢期になると「お見合い結婚」などで主婦になる時代。
都会で働く女性(入江たか子)には幼い頃から仲良しのいとこ男性がいるが、裕福な家の息子と見合い結婚する。裕福な家では「嫁は女中同然の扱い」を受けるが、入江たか子は我慢を続ける。
裕福な家に嫁いだから幸せとは限らず、過酷な冷たい家庭…。

一方、この裕福な家の娘は「恋愛結婚」するが、わがまま娘は貧しい暮らしに耐えられず、出戻りとなる。本当の恋愛がわからない娘。

この二人の女性を対比して描いたあたり成瀬監督、見事である。
物語の落とし所も上手くて、面白い映画だった。

2018/11/13

2018/11/30

78点

VOD/YouTube 


1930年代のモダンな女性

まとまりのいいお話でした。金持ちの家庭に嫁いで苦労する女性の話です。広子は、周囲から古い女の様に思われていますが、そもそも銀座のレコード店に勤めている女性で、考え方もしっかりしています。古風な女性になりようがありません。嫁ぎ先のハイカラな家が、やることはモダンですが、考え方はよほど古いタイプの家のように思われます。ただ、横領犯となった男のもとに洋子をやるのは、それでもちょっとリスクがあるのではと思いました。

子供の宿題を見ている時に、いろいろと用事を言いつけられ、右往左往する広子のシーンはこの映画の中でも面白い場面でした。ドタバタの様子がよく出ていると思います。最後に北村と何かあるのではと期待したのですが、それは無し。仕事に生きるという宣言は、やはり広子はモダンな女でした。そんなモダンな女に、北村もついて行けていないのかな?

銀座のレコード店というと、山野楽器を真っ先に思い出しますが、当時はレコードも扱っていたのでしょうか?当時の銀座はなかなか華やかだと思うので、この頃の華やかな東京を、戦争の視点は入らずに忠実に再現した映画ってないかなと思います。パリやロンドンは沢山あるのですが、やはり賛美しづらいのかな?

2017/05/03

2017/05/03

-点

映画館/東京都/神保町シアター 


何はさておき金の成瀬

 川本三郎の成瀬論に、貧乏臭さと金勘定のエピソードが多いとの評がある。
 まさにこの作品は貧乏な家から裕福な家に嫁ぐ主人公と、その裕福な家の長女が駆け落ちの末、貧乏暮らしが嫌で戻ってくる話。
 次女が小遣いや夕食に肉をねだる場面もしみったれた金の話である。
 このような金の話が続いた揚げ句、長女の駆け落ちの相手が会社の金を横領したことが発覚する。
 金の話を繋げて、現代的な恋愛観を入江たか子が熱弁する終局へ。