田舎町の診療所の医師村田(新井淳)は大学に行っている息子英夫(渡辺忠夫)が卒業して戻ってくるのを楽しみにしている。また姉の町子(岡田嘉子)は結婚適齢期で、町の自動車屋の男(川村黎吉)から求婚されていて、父も乗り気であるが彼女には想う人(小林十九二)がいた。
あるとき宿屋の急患を診に行ったとき盲腸を他の病気と誤診してしまった。そこで評判を落とされるが息子が帰ってくれば再起すると休業してしまう。しかし息子が病気というので姉町子が見に行くと、彼は文学志望でしかも女性と同棲していた。
彼の言い分は小さいときから父親には反抗できず、いやいや医学部に入れられてしまったが、本当は文学を目指したかったという。そして父親の誤診は息子の能力も誤診していると言い放つ。
そんな折父親が倒れ、父の友人の小説家松岡(坂本武)と一緒に田舎に帰り、父と和解する。
題名の「愛撫(ラムール)」とはイメージが全く違うストーリー。父の息子に対する期待と息子の悩みを姉の目を通して語られる父子の相剋の物語である。
どちらかと言えば姉の岡田嘉子を中心に描いてあるような映画である。岡田嘉子の映画はたぶん始めてみたと思うが、なかなかの美人である。