映画を見始めて、音楽がないことに気づき、当然弁士の声もなし、全くの無音で、夜勤の仕事のあとで、最後まで見ることが不安になりました。しかし、それは杞憂で、子どもたちが父親に抵抗するあたりからは、俄然盛り上がってきました。
会社で働く父親の現実の姿は、上司に対しておじきを繰り返すばかりか、家庭では見せることもない表情まで作っているのです。それを目の当たりにした子どもは、父親の権威は失くなり、納得ができないのです。自分たちは、上司の子どもであろうと、ガキ大将であろうと、ケンカをし戦っているからです。
母親が諭します。それなら、お父さんより偉くなればいいじゃないの。
大人の事情と子どもの世界。
子どもは子どもなりにその事情を理解し、父親に、上司におじきしなくいいの、と促します。
そして、自分たちの世界はあくまで自分たちのやり方で輪を広げていくのです。
この自由闊達さが、実に生き生きと描かれて、清々しいです。