岐路に立ちて(1930)

きろにたちて|----|----

岐路に立ちて(1930)

レビューの数

4

平均評点

57.8(10人)

観たひと

20

観たいひと

2

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1930
公開年月日 1930/5/9
上映時間 (4巻)
製作会社 松竹キネマ(蒲田撮影所)
配給
レイティング 一般映画
カラー モノクロ/スタンダード
アスペクト比 1:1.33
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 無声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督清水宏 
脚本大久保忠素 
撮影佐々木太郎 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

【スタッフ&キャスト】脚本:大久保忠素 監督:清水宏 撮影:佐々木太郎 出演:結城一朗/川崎弘子/鈴木歌子

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

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2017/05/30

2017/05/31

-点

その他/江東区古石場文化センター 

『岐路に立ちて(1930年、松竹キネマ)』。活弁、音楽付上映。郵便貯金の宣伝映画。お話の最後に郵貯年金が役に立つというこじつけ。昭和恐慌を背景にしており、東大を卒業したのにろくな仕事に就けない主人公(結城一朗)。村長の息子は日守新一に違いない。自動車のタイヤの籠みたいのは何?

2013/06/05

2016/03/21

74点

映画館/東京都/東京国立近代美術館 フィルムセンター 


就職難とかブラック企業とか

「親」と同じく簡易保険PR映画だが、当時の就職難という社会背景を取り入れているのが話を面白くしている。青年がようやく入社できた会社はブラック企業で、無理がたたって体を壊してしまう。そこで役立つ簡易保険。

2013/06/28

2014/07/10

45点

映画館/東京都/東京国立近代美術館 フィルムセンター 


作りが安直

ネタバレ

「親」と同様、逓信省簡易保険局の委嘱によって作られたPR映画で、こちらは郵便年金制度の宣伝が目的になっており、「親」では共同監督としてクレジットされていた大久保忠素が脚本を書いています。
物語は、田舎の村で燻っている青年・結城一朗が、東京に出て大学に入りさえすれば自分の人生は拓けるという思いを募らせ、東京から日守新一扮する大学生が帰省してくると、そんな思いをより一層強めるばかりで、結城は、農家を一人で支える母・鈴木歌子や許嫁・川崎弘子を村に残して、東京に出てゆきます。
主人公の結城一朗が田舎道を歩いていると、彼が通った小学校の校長・坂本武(一貫して結城の応援者です)が自転車に乗って道の反対側からやって来るロングショットなど、清水らしさが感じられますし、東京に出たい結城と母・鈴木歌子が田舎の家の縁側で会話する場面なども、ロケの効果が出ています。
さて東京に出た場面のすぐあとには、もう卒業後の就職活動をしている場面が描かれ、丸の内のビルディング群が捉えられますが、結城一朗が抱いていた“大学を卒業さえすれば”という考えの甘さを思い知らされます。描かれるのは、ある会社の人事担当者と結城の面接場面の1回だけですが、人事担当者が“大学を失業すれば就職などなんとかなると思っていたら、それは甘い考えだ”とかなんとか指摘して結城を部屋から追い出すと、その外には10人以上の学生たちが次の面接の順番を待っているという場面を作り、就職難を表現します。
結城一朗は結局、小さな倉庫会社に就職し、上司・小倉繁から次々と伝票を回され、その処理にあくせくする様子が描かれる一方、田舎の郷里では、結城の許嫁・川崎弘子が鈴木歌子の面倒を見ていましたが、結城が早く女二人を東京に呼び寄せて3人暮らしを始めなければ、田舎での生活はこれ以上続けられないと、川崎の父親・木村健児が別の縁談を持ってきて、結城との婚約を解消するよう娘・川崎に迫っており、断りきれない状況です。
そんな中で、結城一朗が田舎に帰ってきます。母・鈴木歌子も許嫁・川崎弘子も、結城が自分たちを東京に連れて行ってくれるものと喜びますが、結城が持ってきたのは、大学の卒業証書と健康不全を理由とした倉庫会社の解雇通知でした。夢破れ、身体も壊し、もはや自分の力では母・鈴木と許嫁・川崎の生活の面倒を見切れることはできぬと諦めた結城は、川崎が別の縁談を受け入れることも受容しようとしますが、その時、鈴木歌子が箪笥の奥から出してきたのは、亡き夫が掛け続けてきた郵便年金の通帳で、近く鈴木歌子名義での支払いが開始されることを示しており、結城は、これで3人の生活は保障されたとして喜び、身体を治すことに専念できることになります。
安直なラストについて、フィルムセンターの場内では失笑が上がっていましたが、わたくし個人としてはそれほど嘲笑するような内容とは思わないものの、「親」と比べると作りが安直だとは思います。
とはいえ、「映画読本 清水宏」の解説で田中眞澄氏が書いているように、小津「大学は出たけれど」の原作を提供した清水が、自ら作ったもう一つの「大学は出たけれど」物語として、自然描写を交えながら組み立てている点などに、清水らしさを感じて微笑を誘われます。

2013/06/05

2013/09/05

50点

映画館/東京都/東京国立近代美術館 フィルムセンター 


国策PR映画

ネタバレ

逓信省簡易保険局委託による郵便年金制度の宣伝用短編映画。
向学心に燃える青年は、故郷に許嫁を残して東京大学に進学し、卒業するも就職がままならならず人目を憚って帰郷する。両家の親と恩師が集まり、今の状況での結婚は困難だと話し合う。
父の掛け続けていた年金保険の受給開始年になっていることに気付き、生活費の心配が無くなり、結婚の障害が除かれ、改めて二人は結婚を決意する…
まさしくご都合主義の保険宣伝映画である。