浪人街 第一話 美しき獲物(1928)

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浪人街 第一話 美しき獲物(1928)

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レビューの数

4

平均評点

70.5(15人)

観たひと

26

観たいひと

7

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 時代劇
製作国 日本
製作年 1928
公開年月日 1928/10/13
上映時間 (15巻)
製作会社 マキノ・プロダクション(御室撮影所)
配給
レイティング 一般映画
カラー モノクロ/スタンダード
アスペクト比 1:1.33
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 無声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督マキノ正博 
原作山上伊太郎 
撮影三木稔 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

【スタッフ&キャスト】原作:山上伊太郎 監督:マキノ正博 撮影:三木稔 出演:南光明/谷崎十郎/根岸東一郎/大林梅子/岡島艶子/河津清三郎/市原義夫/五味国男/住ノ江田鶴子/川田弘三/東条猛

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2021/12/14

2021/12/15

80点

選択しない 


クライマックスの断片

僅か8分の断片が残されている作品を鑑賞です。ストーリーはどうやら愛する女性を助けようとする4人の浪人のお話で、残されているのはクライマックスの殺陣の場面。音楽と活弁が入っていて、大変躍動的な8分を楽しめます。助けに走る浪人たちの躍動感。悪の旗本に買収されていた赤牛が、友の奮闘を見て堪らず加勢する臨場感など、迫力のある場面が展開します。そこには、トップスターを使えず、新人俳優だけで、日本映画初の集団殺陣を完成させた、当時の製作者の熱気がひしひしと感じられる断片になっていると思いました。

2020/03/01

-点

選択しない 


8分の映像からマキノ正博のチャンバラ演出の神髄が覗く

 江戸の長屋に住まう浪人たちを描くチャンバラ時代劇。15巻のサイレント映画のうち、8分が現存。
 8分は終盤からクライマックスにかけてで、ストーリーはわからないが、多人数による大掛かりな殺陣が描かれていて、公開当時人気だった本作の片鱗を見ることができる。
 お新(大林梅子)が子恋の森で旗本たちによって牛裂きの刑になるという知らせを持って、おぶん(岡島艶子)が荒牧源内(谷崎十郎)に伝えるシーンから始まり、源内が子恋の森に駆け付けて大勢の旗本たちを相手に孤軍奮闘。そこへ浪人仲間の母衣権兵衛(南光明)が馬で、おぶんの兄・土居孫左衛門(河津清三郎)が走って駆け付ける。
 出世のために旗本側についていた赤牛弥五右衛門(根岸東一郎)も浪人たちとの友情を選んで、3人に加勢。お新を助け出した3人を逃がして、一人旗本たちの前に立ち塞がり、最後は致命傷を受けて果てる。
 終盤の8分はスピーディで、旗本たちを相手に剣を振るうシーンを俯瞰で捉えるカメラや、移動カメラで追うシーンは迫力満点。マキノのチャンバラ演出の神髄が楽しめる。
 赤牛が旗本側から浪人側に付くシーンでは、当時の観客に受けた「裏切ったか!」という台詞に「表返っただけだ!」という返しも登場する。
 劇画の書き文字のようなサイレントの字幕も臨場感があり、一部は映像に被るというエンタテイメントの時代を先取りしたセンスがいい。(キネ旬1位)

2018/01/25

2018/01/26

-点

その他/日暮里サニーホール、コンサートサロン 

『浪人街 第一話 美しき獲物』。1928年、無声(サウンド版)。活弁付。24fps上映のため動きがやたらに速い。適正スピードで観たいところ。元は15巻だが現存するのは約1巻分くらい。話は分からないが、剣劇シーンが残っている。役者と一緒に演技する中間字幕。河津清三郎の名前があったが分からず。

2014/08/03

2014/08/04

80点

レンタル/DVD 


映画の原点

最初に外国映画の華やかさにあこがれて、映画ファンになった。
たくさんの映画を見ていくと、自然に外国映画だけではなく、日本映画の魅力にも引き込まれていく。そうして、同時代ではないにしても、黒沢明に出会い、木下恵介や小津安二郎に出会い、日本映画の深さと素晴らしさに魅せられる。映画への思いがさらに強くなり、古き名作映画のとの出会いが多岐にわたってくると、必然的に山中貞雄やマキノ正博や伊藤大輔などの映画人の作品群にも触れてくる。
そうした中、幻の映画なるものが気になってくる。
それは、不完全であるがゆえに、幻と化した映画の原点たる名作たちの存在である。その中で特に燦然と輝くように語り継がれる作品に、「忠治旅日記」と「浪人街」(マキノ版)があり、これに恋焦がれることになる。
個人的なことになるが、「忠治旅日記」は神保町シアターで1年前くらいに突如上映の機会があり、はせ参じた。
もう一本の「浪人街」は見果てぬ夢として胸の奥底にしまいこんでいた。ところが、つい最近、池袋の豊島区中央図書館でDVDが存在していることを発見した。リメイクされたものではなく、あの幻と思っていた、マキノ正博版の「浪人街」第1作。美しき獲物たちがあるではないか。狂気乱舞。興奮が抑えられず、はやる気持ちでついに見た。
第1作の残存しているフィルムは10分程度であった。しかしそれは、幸運であろうクライマックスシーンが残っているのだった。
圧倒的な迫力、ほとばしるエネルギー、引きづり込むようなモンタージュ、爆発する躍動感、風雲急を告げる展開、画面からはみ出してしまうような群像大チャンバラ劇。
至福の時間を過ごした。
このDVDには浪人街第2部と崇禅寺馬場もみることができる。
こうして、つたない映画人生もすこしでも失われたピースを見つけ出して、パズルが完成していくことになる。まだ見ぬ映画探しの旅は続くのだろう。