テルマ&ルイーズ

てるまあんどるいーず|Thelma & Louise|Thelma & Louise

テルマ&ルイーズ

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レビューの数

106

平均評点

77.1(693人)

観たひと

1159

観たいひと

93

(C)1991 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 アメリカ
製作年 1991
公開年月日 1991/10/19
上映時間 130分
製作会社 パーシー・メイン・プロ作品
配給 松竹富士
レイティング 一般映画
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 ドルビー

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

旅の途中での偶発事件をきっかけに、鮮やかに自己を解放していく女性2人を描いた女だけのロードムービー。監督は「ブラック・レイン」のリドリー・スコット。製作はスコットとミミ・ポーク、脚本はカーリー・クォーリ、撮影はエイドリアン・ビドルが担当。出演はスーザン・サランドン、ジーナ・デイビスほか。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

アーカンソー州の小さな町に住む、子供のいない専業主婦テルマ(ジーナ・デイビス)と、ウェイトレスとして独身生活をエンジョイするルイーズ(スーザン・サランドン)の2人は、退屈な日常に別れを告げドライブヘ出掛けた。夕食を取るためカントリー・バーへ立ち寄るが、悪酔いしたテルマは調子に乗り、店の男ハーランと姿を消す。行方を追い駐車場へ向かったルイーズは、レイプされかかっているテルマを発見、ハーランに銃弾を撃ち込んだ。週末旅行から一転、逃避行へと化したものの有り金がない。仕方なくルイーズは恋人のジミー(マイケル・マドセン)に助けを求めた。一方テルマは夫のダリル(クリストファー・マクドナルド)に連絡を入れるが、身勝手な夫は一方的に責めるばかり。呆れたテルマはメキシコヘ逃亡することに同意した。オクラホマでジミーから現金を受け取るふたりだったが、前日車に乗せたヒッチハイカーのJ・D(ブラッド・ピット)にまんまと持ち逃げされてしまう。泣きわめくルイーズを尻目にテルマはスーパー強盗に成功、しかしその一部始終はビデオ・カメラに収められ、犯行はハル警部(ハーヴェイ・カイテル)らの知るところとなった。次第に逃走経路を狭められるまま、依然ニュー・メキシコのハイウェイを疾走。立ちはだかる警官や野蛮なトラッカーを排除し、アリゾナ州の大峡谷へ辿り着いたが、遂にふたりは警官隊に取り囲まれてしまう。しかしもはや後退することを知らぬ2人はアクセルを踏み、大峡谷へと車ごとダイビングしていくのであった。

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1991年11月上旬号

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グラビア《Coming Attractions》(新作紹介):テルマ&ルイーズ

2012/11/04

2025/02/05

85点

テレビ/無料放送/Dlife 
字幕


サンダーバード女性号の大ジャンプ。

ネタバレ

現代日本でも女性の性被害のニュースで世間を大いに揺るがす。男性中心の社会では、女性の性被害は
矮小化され、どれだけの悲劇が闇に葬られたのか、想像するだけでも暗然とする。
作品の一番の功績は、オリジナル脚本のカーリー・クォーリにあるのかもしれない。女性ならではの脚本で、
代表的な男の遊びクルマの1966年型フォード・サンダーバードのフルオープンに、テルマとルイーズが
乗り込み、男性社会を駆け抜けるロード・ムービーとなった。しかも名女優のスーザン・サランドン、ジーナ・
デイヴィスの二人を得て、名匠リドリー・スコット監督という恵まれたスタッフ・キャストとなった。

ダイナーのウェイエトレスとして働く中年の独身女性ルイーズ(スーザン・サランドン)は、親友のテルマ
(ジーナ・デイヴィス)を誘って、金曜日の午後からドライブに出る。テルマの夫ダリルは自分勝手な生活で
女の影もある。夫婦関係は冷え切っていた。二人にとっては格好の憂さ晴らしのドライブとなった。テルマは
何気なしに、夫から贈られた護身用の拳銃もバッグに収める。
ところが金曜の夜、テルマはバーで知り合った男に駐車場で迫られる。男は酔った勢いでレイプへ、店から
出てきたルイーズはテルマの拳銃で男を射殺する。ルイーズは過去にレイプ被害の経験があったのだ。
目撃者はいない。二人はそのまま逃亡。レイプを防ぐためとはいえ、警察の捜査は殺人を重視するはず。
ルイーズはテルマとともにメキシコへ逃げることを決める。恋人のジミーに頼んで逃走資金を送金してもらう。
ところがテルマがヒッチハイカーのJD(ブラッド・ピット)に熱をあげ、ベッドイン。小悪党のJDは二人の逃走
資金をかっぱらって姿を消す。テルマは大事なお金を失った責任から、とあるスーパーに乗り込み拳銃強盗。
レジからお金を奪い、逃走資金へ。このテルマの変貌が実にいい。おっとり型の主婦が、男を拾い欲望に
身をまかせ、さらには拳銃強盗まで。裏返しの成長物語に苦笑い。
追う警察はハル刑事(ハーヴェイ・カイテル)をはじめ、陣容を整え二人に迫る。すでに殺人と強盗、立派な
犯罪者。警官をトランクに閉じ込めたり、タンクローリーを爆破させたり、犯罪はエスカレート…。

あまりに有名になったラストシーンから、90年代の女性版アメリカン・ニューシネマと称されるようになった
(Wiki)。悲劇なのだけれど、男中心社会から自由になる大ジャンプでもある。
フェミニズムの観点からは欠かせない名作となるのは自明のこと。

2025/01/23

2025/01/24

-点

テレビ/無料放送/BS松竹東急 
字幕


生涯現役宣言ヒャッカイオウ

レイプで始まり、終わりの後味も悪い、とにかく男を悪者にしたい話だなと思っていましたが女性の脚本家さんでした。
音楽の使い方もだが、シリアスな話なのか何なのかまとまりに欠けた、なんならバイオレンスしてしまった方が気分も晴れたものの。
傑作フェミ映画らしいですが、テレビスポンサーに精力剤の会社がついてて、そこが一番笑えた。

個人的な話ですが、男のせいで女達は抑圧されてきたと50年間聞かされて抑圧されてきた僕にすればぜんぜんヌルい話です。

2025/01/20

2025/01/20

88点

選択しない 


覚醒した女は罰せられる

#metoo運動から遡ること30年前の1991年の制作。けれど、そのテーマは決して古くない。古びていない。古びていないというこは、この映画で提出された問題がいまだに解決されていないということだ。主人公のひとりテルマは高校を卒業したらすぐにモラハラ男と結婚をしたバカな田舎の専業主婦。友人のルイーズは田舎のダイナーのウエイトレス。二人には少し年齢差があるので学校時代の友人ではないらしい(物語の途中でルイーズがテキサスにおそらく長くいたことがわかる)。友情のはじまりへの言及はないが、ふたりに共通するのは人生に不器用な平凡な女性であるということか。
テルマの家、キッチンの雑多な様子や、旅行の荷造りを見れば家事も不得意でかつ理知的な女性でないことがわかる。一方、ルイーズの整った家の様子や、旅行鞄の中身を美しくピッキングするさまは(というより整いすぎの感がある)高学歴ではないけれど世間知のある女性であることがわかる。テルマは女の子は馬鹿でも可愛いければ結婚するから良いという、彼女の共同体の考え方に疑問を持ったこともなかったのだろう。その共同体から少し外れてみえるルイーズには(スーザン・サランドンの実年齢から考えると30代後半の設定だろう)どうも癒えない傷のある過去があるようである。
彼女たちの周りの男性のほとんどが、彼女たちから搾取することしか考えていない。それは性的であれ、労働力としてであれ。働かせ盗む。終始、男性の論理からの嫌がらせを受け、それに気づくことさへ良しとされない。物語の終盤、大型タンクローリーを吹き飛ばすシーンには多くの女性が快哉を叫んだことだろう。もちろん、あれはいけない、運転手から卑猥な言葉、仕草を投げかけられた「くらい」のことで、あれはいけない。いけないけれど、自分が生まれて来てから受けた性的な嫌がらせ、女の子でしょ、と撓められてきた記憶、それをすべて吹き飛ばしてくれたのだ。「あたしたちに謝りなさい」と。
唯一の理解者に見えるのが刑事ハルである。「ケガはしてないかい」と。昔のレイプ事件を話すときには、声を潜め配慮を示し、同僚には発砲を止める。それは理解者の姿ではあろうが、どこか弱い女性には優しくあらねばという心理の働きもあるのではないだろうか。であるから、二人は彼の静止をも振り切るのである。
何十台ものパトカーに囲まれたテルマが叫ぶ、「私たちのために!」と。いままでずっと無視されてきた人間の言葉だ。
結末は後味がわるいだろうか。悪いかもしれない。けれど、覚醒し男と同じように自分の欲望に気付いた女はいつも罰せられるのである。アンナ・カレーニナもボバリー夫人も、紫の上も、古くは楽園を追放されるイブもそうであった。
赤茶けたアメリカのどこまでも雄々しい大地を死へ向かう二人が示唆的である。

2024/06/15

2024/06/15

80点

選択しない 
字幕


素晴らしいけどこういう結末やめて

昨日「バービー」を見たばかりなこともあり、二人の女性を囲む下品でマッチョな男の世界が申し訳なく、大変居心地が悪い。

ラスト近くで「本当の自分になれたのよ」というセリフが出てくるが、
 生活や旦那を捨て、
 強盗をはたらき、
 ひとを殺して、
そうまでしないと本当の自分になれないってどうよ。

いや、実際とても爽快で、彼女らのこれまでの不遇を考えると、これぐらい羽目を外してもいい気がする。

しかし、人生ってそういう差引勘定で折り合いを付けるものなんでしたっけ。
個人が辻褄を合わせに行かないといけないんでしたっけ。
自己責任って奴ですか。ありがとうございました。

本作は、その「本当の自分」を見つけた直後に自死で終劇となる。こういうのやめてほしい。「お前なんか世の中に居場所は無い」とか言いたいわけか。わかってるよ気分悪いな。

「明日に向かって撃て」と似た終わり方ではありますが、本作はinvoluntaryな犯罪なだけに、更に後味が悪いです。

2024/05/19

2024/05/19

90点

映画館/東京都/新文芸坐 
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特にデカいトラックのクラクションが印象的

2ヶ月前に映画館鑑賞した作品。今回も4K版。ソフトでは何度も観ている大好きな映画ながら、次はいつ映画館で観られるのかなという懸念もあり、2本立て上映の割安感にも釣られてまた映画館に足を運んでしまった。

上映開始からしばらくは流石に新鮮味に欠けるな、と感じていたが、馬鹿デカいトラックのクラクション、赤土色の乾いた大地、流れる音楽などいずれもが男性的なんだなぁ、と改めて気づいた。
二人を追いかけて追い詰める警察も全員男性。時代背景などを考えながら観ているとイメージしている保守的なアメリカ南部そのもの。

ふたりが素晴らしいバカンスを素敵なまま終えるには、男性っぽく終わりを迎えるしか無かったんだろうな、、。

2024/04/26

2024/04/27

-点

映画館/愛知県/大須シネマ 
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4kレストア版。フェミ映画の傑作として、今見てもまったく古びていない。
夫の束縛、性暴力、不公平な司法。そうしたものに中指を立てる2人の姿が、とてもかっこいい。
2時間のドラマの中に、重要な転換点がいくつかあり、そのメリハリが素晴らしい。運転をするのが、当初のルイーズからテルマに変わったり、おとなしいテルマが大胆に変身したり、最後まで目が離せない。序盤のシーン、銀の弾丸ウェイトレスのセリフが、この物語を雄弁に語っている。男のキャラクターも、ブラピ、ハーヴェイカイテル、マイケルマドセンなど、みんな個性的で面白い。
今回の上映で、新たにパンフレットも作られている。児玉美月さんとゆっきゆんさんのコラムが素敵すぎる!