チャップリンの独裁者

ちゃっぷりんのどくさいしゃ|The Great Dictator|The Great Dictator

チャップリンの独裁者

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レビューの数

90

平均評点

81.6(487人)

観たひと

808

観たいひと

81

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル コメディ / ドラマ
製作国 アメリカ
製作年 1940
公開年月日 1960/10/22
上映時間 126分
製作会社 ユナイテッド・アーチスツ映画
配給 東和
レイティング 一般映画
カラー モノクロ/スタンダード
アスペクト比 スタンダード(1:1.37)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

チャールズ・チャップリンの3大名作の1つといわれる「偉大なる独裁者」(原題)がついに日本で公開される。1940年、ヒットラーのナチスがドイツで、ムッソリーニのファシストがイタリアで、それぞれ独裁をなしとげ、その黒い手を世界にのばし始めた頃、そのファシスト独裁者を痛烈に批判し、全世界の人々に自由のために闘うことを呼びかけようと作られたのが、この作品であった。またチャップリンが始めて完全なトーキーを使った作品であり、山高帽・ドタ靴・ステッキ・アヒル歩きのチャップリン・スタイルの最後の作品である。例によって、製作・脚本・台詞・監督・主演はチャップリン自身。撮影はカール・ストラッスとローランド・トセロー。音楽監督はメレディス・ウィルソン。出演はチャップリンがトメニアの独裁者ヒンケルとユダヤ人の床屋との2役に扮するが、バクテリアの独裁者ナパロニにジャック・オーキー、ユダヤ人の美少女ハンナにポーレット・ゴダードが扮しし、そのほか、レジナルド・ガーディナー、ヘンリー・ダニエル、ビリー・ギルバートらの出演。チャップリンの永年の共演者チェスター・コンクリも姿を見せる。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

1918年――第1次世界大戦の末期、トメニア軍陣地では1兵卒であるユダヤ人の床屋(チャーリー・チャップリン)が奮戦していた。しかし、敗色は濃く、前線では敗退がつづき、上層部ではひそかに平和交渉が始められていた。何も知らぬ将兵は勝利を信じて戦った。トメニア軍の空軍将校シュルツ(レジナルド・ガーディナー)は敵に包囲され、危ないところを床屋に救われた。傷ついたシュルツを助けて2人はトメニアに命からがら逃げかえったが、その時すでに戦争には負けていた。床屋は戦傷のためすべての記憶を失い病院に収容された。数年の年月が流れ、トメニアに政変が起こった。その結果ヒンケル(チャーリー・チャップリン)という独裁者が現われ、国民の熱狂的な歓迎を受けた。彼はアーリアン民族の世界制覇を夢み、他民族ことにユダヤ人の迫害を行った。ユダヤ人街のジャッケル(モーリス・モスコヴィッチ)の家族やハンナ(ポーレット・ゴダート)らは、不安な毎日を送っていた。床屋は政変のあったのも知らず、このユダヤ人街の自分の店に戻って来ていた。突撃隊の隊員はユダヤ人街に来ては乱暴した。ハンナはくやしがった。臆病者の床屋も彼女と協力して彼等に抵抗した。ある時、突撃隊に逮捕されかかった床屋を、通りかかった今は突撃隊指揮官になったシュルツが救った。おかげでユダヤ人街にも平和な日々が戻った。ヒンケルは自分の独裁政治をかくすため、国民の関心を外に向けようとオスタリッチ進駐を考え、軍資金をユダヤ人財閥に借款を申し入れたが拒絶された。ユダヤ人迫害が再開された。シュルツはヒンケルの政策の非を進言し、そのせいで失脚した。彼はジャッケルの家に隠れていたが、突撃隊に発見され床屋とともに逮捕された。床屋を慕うハンナは身の危険をさけるためジャッケル氏らとオスタリッチに逃げた。独裁者ナパロニ(ジャック・オーキー)指揮のバクテリア軍もオスタリッチに侵入した。ヒンケルはバクテリア軍を撤退させようと、ナパロニを招き、お互いにオスタリッチの主権を尊重する誓約書に署名させ、撤退に成功した。そのスキに自軍進駐の準備をした。床屋とシュルツは軍服を盗んで収容所を脱出した。国境で進駐準備の軍隊がヒンケルと間違え、進軍を開始した。その頃、ヒンケルは鴨狩中を床屋と間違えられ、警備兵に逮捕された。数万のヒンケル軍はオスタリッチに到着、床屋は演説をしなければならなくなった。壇上に立った床屋は狼狽したが、気持ちを落着けて話しはじめた。“独裁者の奴隷になるな!民主主義を守れ!”彼の声はしだいに熱をおび自由と平和を守ろうと叫んだ。それはオスタリッチのハンナたちにも語りかけているようだった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2020年7月下旬号

読者の映画評:「グレート・ウォー」吉田伴内/「チャップリンの独裁者」原田隆司/「よこがお」関根和俊

2011年1月上旬号

午前十時の映画祭:「ライムライト」「チャップリンの独裁者」「フォロー・ミー」

1973年9月上旬号

グラビア:「チャップリンの独裁者」

特別対談 「チャップリンの独裁者」研究1:「チャップリンの独裁者」について語ろう! 淀川長治×斎藤耕一

分析研究:チャップリンの独裁者

特別対談 「チャップリンの独裁者」研究2:民衆的な政治人間としてのチャップリン

1960年12月下旬号

「チャップリンの独裁者」ヒットの要因:各界アンケート

1960年11月下旬号

外国映画批評:チャップリンの独裁者

1960年10月上旬秋の特別号

外国映画紹介:チャップリンの独裁者

シナリオ:チャップリンの独裁者

1960年9月下旬号

新作グラビア:チャップリンの独裁者

2021/04/12

2021/04/12

-点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
字幕


ラストの演説

ここまでダイレクトにヒットラーを批判した作品はそうはないだろう
あまりにも有名すぎるラストの演説
チャップリンよ、あれから世界は変わったかい?

2021/04/11

2021/04/11

83点

選択しない 


理想主義も必要だ

独裁者が地球儀で遊びに興ずるシーンは、史上の独裁者たちの心理を巧みに表現している。また冒頭すぐの独裁者のハナモゲラ語が為政者の声が弱者には届かない証左のようだ。最終シーンのチャップリンの演説は映画にとって人類と民主主義にとって宝となるものであろう。理想主義も甚だしいというひともいるだろう。けれど声高に理想を叫ぶひとが私達には必要だ。私達はチャップリンを持てて幸せだ。

2021/03/27

2021/03/28

70点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
字幕


自由と独裁が重なる時

コメディは時事を諷刺する.ギャグのシーンは疎らではあるものの,当世の問題を戯画化して,笑いによって刺すことに成功している.
しかし,新聞を印刷する輪転機と一面記事が多重露光され重ね合わされる典型的なショットがこの作品にも現れている.こうした新聞に掲載される風刺漫画は,その対象を名指しして,直言することを避けないが,この作品では,ヒトラー,ムッソリーニといった独裁者を扱い,ゲーリングなどの側近に寄せた描き方をしながらも,ヒンケル,ナパロニ,ガービッチといった名前に置き換えられ諷刺されている.なぜ直接に名前をあげ揶揄せずに,多重性をもち,含みのある表現によったのであろうか.それもコメディのひとつの機知であり,チャップリンが観客をくすぐるための笑いの方法であるとも考えられるが,偶然か必然か,このことによってこの作品の魔術性を高めることに結果していると感じる.
既に字幕はなく,役者のセリフはトーキーに肉声化されている.ショット数は,字幕が除かれたこともあり,550ショットほどから構成されており,アクション映画ほどの目まぐるしさはなく,やや冗長な印象も受ける.クロースアップとモンタージュを組み合わせるような編集もいくらか確認できるものの,そうした場面は少なく,フレームは,チャップリンが全身から繰り出す運動をおさえるべく,フルショットにより,周囲の人物なども取り込みながら,場面場面で少しづつキャメラを動かすこともしている.パンやズームもところどころ見られるが,機器を使った大掛かりな移動撮影は見受けられない.
冒頭の戦場の場面はロケーション撮影で,明るくて気持ちがよい.その爽快は,巨大な長距離砲や高射砲のギャグを受けて,飛行機の場面の上下反転の愉快さにつながっていく.理容師パートでは,トメニアと呼ばれる国家のユダヤ人ゲットーが主な舞台となり,地下から屋根上まで,上下の動きを使い,また中庭空間や街路空間も使いながら,突撃隊とユダヤ人コミュニティとのすったもんだが描かれている.一方のヒンケルは官邸にほぼ籠っている.彼の執務室の設えは,ダブルクロスの徽章を配しながらも,中心性のある壁面装飾や,例の風船のような地球儀などによって幾何学的ともいえる硬質さが表現されている.クロスカッティングによって並行的に描かれたヒンケルと理髪師は,終盤でいつの間にか入れ替わっており,有名な演説のシーンにもつれ込んでいく.この演説はチャップリンの力強さがあるが,やや不思議な印象を受ける.彼は,チャップリンなのか,理髪師なのか,ヒンケルなのか,ヒトラーなのか,それとも誰なのかと困惑させられる.ここに現れているのは単純にユダヤ人の床屋ではない者である.イチゴにマスタードをかけてしまいヒーヒー苦しんでいたあの男,ドイツ語を茶化し,右手を挙げて妖艶な奇怪さを醸していたあの男の魂の叫びのようにも感じられる演説ではある.
ラジオを通じて,ポーレット・ゴダードが演じるハンナの元へ彼の言葉は届けられる.オーストリッチへ難民となって逃れた彼女たちは,拡声器やマイク,放送設備,受信機を通して彼の存在をとらえる.ヨーロッパ大陸でナチスによる支配を強化するヒトラーは,チャップリンというメディアを通し,映画と化して,ヒンケルや理髪師に分解されて,観客の前に現れた.そこに現れた何者かは,映画的な聖霊といってもよいだろう.
彼は,肖像を描かれ,彫像として刻まれて,形を残そうとする.彼は,飛行機で墜落して記憶を失い,誤ってフライパンで殴られることでよろけながら突撃隊のお相手をして,また,ハンガリー舞曲にあわせて剃刀を奮う.そこには,彼の像あるいはモデルとしての揺れやブレがあり,その振幅があるからこそ,わたしたち観客の前に,魔術的な姿となって再現されている.彼に絡みつくマントには,奇術師として覆い隠すことの符合がある.そこには自由と独裁の多重性すら見えているのである.

2000年代

2021/03/23

100点

テレビ 


若い人にぜひ見てほしい

驚くのはヒトラーがまだ現役、しかも快進撃真っ只中の時期に制作された作品ということ。普通戦争が終わってからとかその対象者がなくなってからだと思うが。。。チャップリンの対抗意識、正義感の強さを感じさせられる。こんな偉大な芸術家を締め出したアメリカは本当に浅はかな国だ。

2021/03/13

2021/03/13

80点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
字幕


今、これだけ真正面からのメッセージを発信出来る作家はいるだろうか

1940年に作られたので、まさにヒトラーの力に世界が震撼していた時期だと思います。その時代に、ラストで「自由と寛容、人種の壁を越えた融和」のメッセージを訴えたのですから、脱帽どころではありません、ほんと敬服致します。あれっ、今も「自由と寛容、人種の壁を越えた融和」を声高に訴えなきゃいけない気が。。。えっ、全然変わっていないの、我々は、、、
チャップリン演じる理髪師は、記憶を長期間を失くしたまま、久しぶりに自分の街に帰ります。その時には、既にナチスによる迫害が始まっていたのですが、理髪師は知りようがなく、ナチス隊員の理不尽な扱いに反抗します。もし記憶を失くさずに、ずっと街に住んでいてナチスの台頭を日々感じていたならば、反抗はしなかったでしょう。普通の反応が、恐怖によって出来なくなってしまう、人間心理とはそういうものなのでしょう。怖ければ引き籠る、希望があれば前へ進める、これが世界へ向けたメッセージだったのでしょう。
当作品が、チャップリンの本格トーキーの初作品とのことです。映像も綺麗で、ストーリーも多重構成になっています。ヒトラーの物まねは面白いですね、あれは本物のドイツ語なのでしょうか?演説は激しいけど、頭の良い側近の言いなりでもあり、女性に目が無く、、、そして、あの地球儀風船を柔らかく上へと弾ませるシーンは悦に入った気持ちを上手く表現しています。ムッソリーニとの掛け合いも中々のもんでした。
コメディだからこそ、成し得たことだと思います。偉大です、コメディは。

2021/03/10

2021/03/10

75点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
字幕


飛んでるSF映画(?)「アイアン・スカイ」でも物語の転機となる鮮烈な映画。チャップリンの強さを思い知らされる映画。言葉を発することでこれまでの軽快なテンポは幾分損なわれるが、そんなことを補っても余りある最後のメッセージ。この映画をはじめ弱い者の立場に立つ映画作りでこの後アメリカ追放の憂き目にあう。それだけこの人の発する言葉はストレートでなおかつ確信を得ていたという証。