チャップリンの殺人狂時代

ちゃっぷりんのさつじんきょうじだい|Monsieur Verdoux|Monsieur Verdoux

チャップリンの殺人狂時代

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レビューの数

65

平均評点

75.8(293人)

観たひと

493

観たいひと

35

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 アメリカ
製作年 1947
公開年月日 1952/9/2
上映時間 124分
製作会社 ユナイテッド・アーチスツ映画
配給 松竹洋画部
レイティング
カラー
アスペクト比
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

「モダン・タイムス」のチャールズ・チャップリンが、「チャップリンの独裁者」以来7年ぶりで製作した1947年度作品。製作・脚本・監督・主演を1人で行なう他、作曲も担当している。原案はオーソン・ウェルズ「第三の男」のサジェストである。撮影はローランド・トセロー。主演はチャップリンの他、「ワイキキの結婚」のマーサ・レイ、チャップリン発見の新人マリリン・ナッシュで、マディー・コレル、イゾベル・エルソム、チャールズ・エヴァンスらが助演する。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

30年間忠実な銀行員であったアンリ・ヴェルドゥ(チャールズ・チャップリン)は不況のため馘首されたが、以後彼が足なえの妻(マディー・コレル)と息子のために選んだビジネスは、金持ちの中年女を誘惑してその夫となり、彼女を殺害して保険金を奪うことであった。彼はヴァルネイと称して中年の未亡人グロネイ(イゾベル・エルソム)を口説く傍ら、土木技師フロレエに扮して妻の1人リディア(マーガレット・ホフマン)を訪れ、一夜のうちにこれを殺して5万フランを強奪する有様である。しかし彼も本妻や息子に対しては善良な、道徳的な夫であり父だった。彼は友人のボテロ(ロバート・ルイス)から証拠の残らぬ毒薬の製法を聞き出し、街で拾った女(マリリン・ナッシュ)で実験しかかったが、不具の夫のため盗みをした過去を持っていることを聞くと、殺す気が起こらなくなってしまった。彼は更に船長ボヌースに化け、妻の1人アナベラ(マーサ・レイ)を毒殺しようと苦心したが失敗、最後の手段とグロネー夫人を口説いて成功しかかったものの、結婚式場にアナベラが現われたので万事画餅に帰した。警察当局は女たちの家族の密告でヴェルドゥに捜査の手を延ばし、探偵の1人は彼の毒薬のため最後をとげたが、遂に彼も寿命がつき、今や軍需王の囲い者として成功した、かつて街で拾った女と会食中、逮捕された。既に彼は30年代初期ヨーロッパを襲った恐慌のため、破産していたのである。彼は法廷で、自分のした行為は小さなビジネスに過ぎず、人類はそれより残虐な戦争戦争を賛美し、大ビジネスとして実行しているではないかと叫び、ギロチンへ引かれて行った。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1974年10月下旬号

今号の問題作:チャップリンの殺人狂時代

1974年10月上旬号

グラビア:「チャップリンの殺人狂時代」

〈対談〉 「チャップリンの殺人狂時代」という映画:小林信彦×長部日出雄

分析採録:チャップリンの殺人狂時代

1952年10月上旬秋の特別号

批評:チャップリンの殺人狂時代

1952年8月下旬号

外國映画紹介:チャップリンの殺人狂時代

シナリオ:チャップリンの殺人狂時代

1952年8月上旬号

特集 チャールズ・チャップリン研究:「チャップリンの殺人狂時代」(作品研究)

特集 チャールズ・チャップリン研究:「チャップリンの殺人狂時代」への反響

2024/03/28

2024/03/28

90点

テレビ/無料放送/NHK 
字幕


ようやく観る機会を得た。

チャップリンの冷静な知性が表現する戦争への怒り。
傑作。

2023/09/21

90点

選択しない 


ブラックコメディに滲むヒューマニズム

チャップリンの異色のブラックコメディ。
 扮するヴェルドウ氏は元々真面目な銀行員だったが失業し、妻子の生活費のために、次々と裕福な女性と偽名で結婚、殺して資産をせしめる。その殺人を直接でなく間接的表現で描いていて見事。ところがマーサ・レイにだけはことごとく失敗し、逆に酷い目にあうくだりが可笑しい。
 又、毒薬の効果を確かめようと若い女を家に招くが、苦労して生きている事を知って実験を止め、幾ばくかの施しをして返してあげる場面に滲むヒューマニズムはチャップリンらしい。しかしその後、その女が戦争で大儲けする軍需産業の社長と結婚して裕福に暮らしているというドラマだけでも人生の皮肉が描かれていて凄い。
 いささか観念的すぎるが、反戦と自由主義競争の弊害など訴えており、胸に刺さる。チャップリン映画らしくないから人気はないだろうが、傑作だと思う。

2023/05/24

2023/05/24

80点

テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
字幕


コメディ抜きの作品・・

喜劇王チャップリン、でもこの作品にはほとんどお笑いの要素はなかった。そういう意味では、意外なチャップリンの演技を観た気がする。重婚を繰り返す殺人鬼でありながらも、人の優しい側面を時々見せていた。そして、最後のメッセ-ジ、戦争・大量殺戮兵器、戦争で多くの人を殺しても英雄になる・・・、そんなことが許されて良いのか。本当の平和を訴え続けたチャップリンらしい作品だと思う。

2023/03/30

2023/04/02

70点

映画館/宮城県/フォーラム仙台 
字幕


一時的にも人心を掌握するおもしろしろさ

 1947年のアメリカ映画。公開当時のタイトルは「チャップリンの殺人狂時代」。フォーエバー・チャップリン~チャールズ・チャップリン映画祭~inフォーラム仙台でデジタルリマスター版を鑑賞。1930年フランスでは恐慌により30年勤めあげた銀行をクビになった出納係のヴェルドゥが愛する妻子を養うため、名前を変えて裕福な女性と結婚しては殺害しその保険金を株に投資していた。しかし盛大な結婚式を用意されてしまい別の相手と鉢合わせしてしまい逃げ出すが、世界的な大恐慌のため破産してしまう。かつて助けた女性が軍需産業の社長に拾われ裕福な暮らしをしていて偶然再会しお礼にと言われてレストランへ行くと、かつて殺害した女性の家族に遭遇。警察に通報され逮捕され裁判を経て死刑となるのだった。
 一人殺せば悪人で100万人殺せば英雄とか、世界は大量殺人のための破壊兵器を作っているのでその点で自分はアマチュアですとかそういった台詞が有名ですが、「独裁者」ではまだコメディ要素の残っていたものがすっかりシリアルドラマになり、反戦へのメッセージ性の強い作品になっていました。しかしそれ以上に、ハンサムでもないヴェルドゥ氏がどうやって女性を振り向かせ、取り入り、結婚したいと思わせるのか、その工程がとても興味深かった。銀行の出納係だから人間観察の眼が肥えたのかもしれないけど、相手の状況に合わせて押したり引いたり畳みかけたりといろいろな手管を駆使するさまは、とっても素晴らしかった。殺さずに貢がせ続けるという手もあったのかもしれないけど、ヴェルドゥ氏の経験から女性の盲目的愛がいつまでも続くわけではないことを知っていたんでしょうね。観客から笑いをとるコメディアンと共通する部分もあるのでしょうね。人心を一時的に掌握することってそれだけでもうやめられなくなってしまうのかもしれません。まあいくら語ってもその罪が消えるものではないのでしょうが、殺人を(戦争に限らず死刑判決も含め)罪悪感なく行っている社会の異常さにはたして陪審員のうち何人が気付いたんだろう。

2022/11/18

2022/11/19

58点

映画館/東京都/角川シネマ有楽町 


劇場でのチャップリン映画体験は極めて貴重だったが、内容的にはイマイチのめり込めなかった。

初めてチャップリンの映画を劇場で観た。先日の新文芸座でのバスター・キートン体験と似た様な感動があるかなと思っていたが、正直イマイチだった。脚本が詰まらない。但し、これは時代的な制約かも知れないが。昔は相当インパクトあったはず。思っていたよりコメディ部分が弱かった。後半の社長夫人との会話からラストまではかなり良かった。あの有名なセリフはこの映画だったのかと思った。

脚本・構成
2.5
演技・演出
3
テーマ・メッセージ性
4.5
絵力
3
エモさ
2

2022/11/13

2022/11/13

80点

映画館/東京都/角川シネマ有楽町 


名人芸とは褒め言葉ではない

落語にも殺人や暴力の色が強い噺はある。

けど、笑わせることを忘れたら噺家失格である。まくらで笑いをとってそれで終わる噺家もいるが、やはり噺の中に笑いを織り交ぜるのが、上等の噺家。

チャップリンは上等の噺家に通ずるものがあると思った次第

名人とか言われる噺家には、全く笑いをとらずに人情噺や歴史ものを1時間もかけて話しきるのがいる。
そういう噺家を「うまいねぇ〜」なんて言う客がいるから。。

うーん、好き好きですけどね。