ダンス・ウィズ・ウルブズ

だんすうぃずうるぶず|Dances with Wolves|Dances with Wolves

ダンス・ウィズ・ウルブズ

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レビューの数

63

平均評点

77.8(461人)

観たひと

768

観たいひと

38

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 西部劇 / ドラマ
製作国 アメリカ
製作年 1990
公開年月日 1991/5/18
上映時間 181分
製作会社 TIGプロダクション作品
配給 東宝東和
レイティング 一般映画
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 ドルビーSR

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演ケヴィン・コスナー Lieutenant_Dunbar_Dances_with_Wolves
メアリー・マクドネル Stands_with_Fist
グラハム・グリーン Kicking_Bird
ロドニー・A・グラント Wind_in_His_Hair
Floyd Red Crow Westerman Ten_Bears
ロバート・パストレリ Timmons

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

南北戦争時代のフロンティアを舞台に、スー族の女性と愛し合いインディアンと共に生きた元北軍中尉の、数奇な運命と大自然との交感を壮大なスケールで描くエコロジー西部劇。エグゼクティヴ・プロデューサーはジェイク・エバーツ、製作はジム・ウィルソンとケヴィン・コスナー、脚本は原作者のマイケル・ブレーク、撮影はディーン・セムラー、音楽はジョン・バリーが担当。「フィールド・オブ・ドリームス」のケヴィン・コスナーの初監督作品。出演はケヴィン・コスナー、メアリー・マクドネルほか。後に「4時間アナザー・ヴァージョン」が発表されている。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

1863年秋、南北戦争の激戦地テネシー州セント・デービッド。足に重傷を負い、片足を切断されると思い込んだ北軍中尉ジョン・ダンバー(ケヴィン・コスナー)は、北軍と南軍両陣営の眺み合いが続く中、決死の覚悟で単身馬を駆って敵陣に飛び込んだ。南軍が虚を突かれた隙に、北軍は一勢に彼の後に続いて攻め込み、勝利を収めた。戦闘が終わって一躍英雄となったダンバーは、殊勲者として勤務地を選ぶ権利を与えられ、フロンティアと呼ばれていた当時の最西部、サウスダコタのセッジウィック砦に赴任した。見渡す限りの荒野のただ中の砦とは名ばかりの廃屋で、ダンバーは愛馬シスコ、そしてトゥー・ソックスと名付けた野性の狼とともに、1人きりの、しかし不思議に満ち足りた生活を送り始めた。1カ月がたち、ダンバーはシスコを盗みに来たインディアンを慌てて追いはらう。この、ダンバーが辺境に来て以来初めて出会った人間こそ、インディアンのスー族の聖人蹴る鳥(グラハム・グリーン)で、長老とともに150人の部族を仕切っていた。集落に帰った蹴る鳥は、風変わりな白人の話をし、将来のために彼と接触すべきだと長老たちに力説した。一方ダンバーも、インディアンとコンタクトを取りたいと望み、自ら乗り込もうと決意していた。翌日、軍服を来て星条旗を掲げて出掛けたダンバーは、途中で1人の目の青いインディアン女性が倒れているのを助け、集落まで送り届けた。この事件がきっかけとなり、数日後蹴る鳥と勇者風になびく髪(ロドニー・A・グラント)が砦に返礼にやってきた。ダンバーは精一杯にもてなし、やがて、彼らは頻繁に行き来するようになる。意志の疎通のもどかしさを解消するために立てられた通訳は、以前ダンバーが助けた女拳を握って立つ女(メアリー・マクドネル)で、彼女は幼い頃に拾われてスー族に育てられた白人女性だった。ある夜、バッファローの大軍が砦の傍らを走り抜けてゆくのを目撃したダンバーは、シスコを駆って蹴る鳥たちにいちはやく知らせた。翌日、ダンバーも参加してバッファロー狩りが行われる。それは、毛皮目当ての白人の狩猟とは違い、神聖で心躍る儀式であり、ダンバーは、これまで味わったことのなかった調和と安らぎを覚える。いつしか拳を握って立つ女を愛し始めていた彼は、祝福されて彼女と結婚、集落に自分のテントを持つようになる。狼と踊る男というインディアン名前をもらい、ダンバーは完全にスー族の一員になったかに思えた。冬が近づき、スー族とともに冬ごもりの土地へ移動する決意をしたダンバーは、合衆国の軍隊に足どりを知られないために、かつて克明に綴っていた日記を取りに久しぶりに砦に戻った。しかしそこにはすでに騎兵隊の部隊が大挙しており、ダンバーはインディアンとして捕われてしまう。反逆罪に問われ、処刑を目前にした時、スー族の勇者たちがダンバーを護送する馬軍を急襲、彼は救われた。しかし、インディアンを彼らの土地から駆逐する合衆国の軍勢はすぐそこまで迫っていた。狼と踊る男は、拳を握って立つ女とともに一族を離れ、雪山にわけ入っていった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1993年11月上旬号

グラビア《New Release(新作映画紹介)》:完全版 ダンス・ウィズ・ウルブズ(4時間アナザーバージョン)

1993年10月下旬号

グラビア:ダンス・ウィズ・ウルブズ:4時間アナザーバージョン

1993年10月上旬秋の特別号

グラビア《Talky talk》:ダンス・ウィズ・ウルブズ:4時間アナザーバージョン

1993年4月上旬春の特別号

KINEJUN CRITIQUE:ダンス・ウィズ・ウルブズ 完全版

1991年8月下旬号

外国映画紹介:ダンス・ウィズ・ウルブズ

1991年7月上旬号

外国映画批評:ダンス・ウィズ・ウルブズ

1991年5月下旬号

グラビア《Coming Attractions》(新作紹介):ダンス・ウィズ・ウルブズ

特集 ダンス・ウィズ・ウルブズ:

1991年

2025/10/10

95点

映画館/東京都/新宿ピカデリー 
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90年代のアメリカ映画を代表する大傑作

ネタバレ

当時、人気絶頂だったケヴィン・コスナーが監督・主演を務め、作品としても興行的にも大変な成功を収めた、素晴らしい傑作。

当時キネマ旬報を定期購読していた私は、日本公開前の海外レポート記事で、本作がアカデミー賞の本命になり得る大傑作という評判になっていると知り、大変驚いたものである。

というのも、当時「アンタッチャブル」「フィールド・オブ・ドリームス」で大人気スターとなっていたケヴィン・コスナーが、3時間もの長尺の作品で、しかもセリフの大半が英語字幕のついた原住民の言葉を使用している作品を監督するなど、とてもイメージが出来なかったからである。

だが実際に観た本作は、そこまでの評価を受けるのも納得の、素晴らしい傑作であった。

本作は白人の視点から白人を批判するという展開を見せているが、これが人間のストレートな感情をしっかり描いて観客に訴えかけるドラマになっている。

この原作者自身が脚色した、マイケル・ブレークの脚本が大変素晴らしい。

そしてその脚本を映像化するケヴィン・コスナーの演出は、ロングショットとクロースショットの使い方が非常に的確である。

彼の見事な演出は、3時間もあるこの長尺の作品に観客を集中させ、この白人と原住民たちのドラマをじっくり見せてくれる。

本作は白人が原住民を攻撃し、迫害してその土地を支配していったという点を描いていて、言ってみればアメリカの成り立ちそのものさえ否定している側面がある。

それを大スターのケヴィン・コスナーがここまで堂々と描ききったのも素晴らしいが、それをアメリカの観客が受け入れて大ヒットしたという点でも、本作は大変見事な成果を示したと言える。

本作は1990年度の第63回アカデミー賞で、シリーズ三部作の3本ともが作品賞候補という大記録を果たした「ゴッドファーザーPARTⅢ」と作品賞を争った訳だが、当初から本作が本命と言われていた。

そこまで本命視されたのも、そして見事に受賞を果たしたのも納得の出来である。

ディーン・セムラーのスケールの大きな映像も、ジョン・バリーの優雅な音楽も本当に美しくて、本作を重厚かつ感動的な作品に昇華させることに大変貢献している。

本作は当時大スターであったケヴィン・コスナーが、興行的な失敗の可能性もあった大変チャレンジングな企画に正面から取り組み、初監督ながら大変素晴らしい演出力を発揮した、見事な傑作である。

コスナーのアカデミー賞作品賞・監督賞の受賞は当然の結果である。

本作は、90年代のアカデミー作品賞受賞作の10本の中でもベストの一本にあげられるだけでなく、90年代のアメリカ映画を代表するとさえも言っていい、大変見事なケヴィン・コスナーの素晴らしい大傑作であると思う。

2024/02/18

2024/02/19

86点

購入/DVD 
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59年振り

30年弱振りにオリジナル版再見。映画の醍醐味が全て詰まっている。バッファロー群の迫力には度肝を抜かれたものだが、今観てもやはり圧倒的。ディーン・セムラーによるサウスダコタの雄大な自然を捉えた撮影、観る者全ての心に残るであろうジョン・バリーのスコアが素晴らしい。
ケビン・コスナー初監督作ながら、堂々たる風格を感じさせる仕上がり。コスナーの好もしいところは、今や絶滅危惧ジャンルである西部劇などへの、憧憬が溢れ出た映画作りを続けているところ。本作もその映画に対する真摯な愛と敬意が作品の根底に流れているので、心地の好い余韻を残す。

2023/11/21

89点

購入/ブルーレイ 
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狼と踊る男

ネタバレ

今年公開されたスコセッシ監督の『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』は白人がネイティブアメリカンに対して行った暴挙、言ってみれば白人にとっての歴史の恥部を包み隠さず描いた作品だった。
あの映画には良心的な白人は一人もいなかったように思う。 
もちろん当時の白人の中にも良心的な者はいただろうし、一括りにネイティブアメリカンとはこうだと規定することも出来ない。
ネイティブアメリカンの中にも調和を重んじる者もいれば、好戦的な者もいる。
これはまだネイティブアメリカンが狭い居住区に追いやられる前の時代の物語。
人間と自然が調和していた最後の時代の物語かもしれない。
南北戦争で足を負傷したダンバーは、自殺をするつもりで単騎で敵陣に突っ込む。
しかし敵の弾は一発も当たらず、彼の行為によって鼓舞された北軍は見事勝利を収める。
一躍英雄となったダンバーは開拓の最前線へと送られることになるが、彼がたどり着いた砦はネイティブアメリカンの襲撃を受けたのか、廃墟と化していた。
彼はいつかは援軍が来るだろうと、その砦に留まることを選ぶ。
独りで砦を整備する彼に寄り添うのは愛馬シスコ、そしていつの間にか彼の前に姿を現すようになった一匹のオオカミ。
ダンバーはそのオオカミに「白い靴下」という名前を与える。
やがて彼の前にネイティブアメリカンのスー族の男たちが現れる。
はじめは牽制状態だった両者だが、身振り手振りでコミュニケーションを取るうちに少しずつ打ち解けていく。
ある日、自らスー族のもとに出向いたダンバーは、怪我をした女性を助ける。
その女性はスー族と共に生活をしているが、どう見ても白人である。
後に「拳を握って立つ女」という名の彼女は、好戦的なネイティブアメリカンによって家族を殺され、スー族の「蹴る鳥」という聖人に助けられたことが分かる。
英語を理解する彼女の登場によって、ダンバーとスー族の関係はより深まっていく。 
自然と共に生きる彼らの姿にダンバーは感化されていくが、彼にはいつか白人がこの地に大挙して押し寄せ、彼らの生活を脅かす存在になることも気づいていた。
スー族の生き方に同調していくダンバーの目線で物語は進んでいくが、やはりこの映画の中では白人は悪の存在として描かれている。
印象的なのはスー族がバッファローの狩猟をする場面だ。 
道中で彼らは毛を毟り取られ、肉塊と化したバッファローが至るところに転がっている姿を目撃する。 
白人は毛皮を取るためだけにバッファローを殺し、その死骸は放置していた。
そこには自然に対する敬意はまったく見られない。
悲しいがこうした人間の横暴の上に、今の社会が成り立っているのも確かなのだと思い知らされた。 
スー族が好戦的なポーニー族と戦う場面も印象に残った。
戦闘能力ではおそらくポーニー族が上なのだろう。
大切な家族を守るために立ち上がるスー族に、ダンバーは銃を分け与える。 
結果的にスー族は勝利を収めるが、彼らが銃でポーニー族を圧倒する姿に何とも言えない哀しさを感じた。
やはり彼らは白人の力によって本来の生き方を奪われる運命にあるのだと感じさせられた。 
ダンバーは拳を握って立つ女と恋に落ち、蹴る鳥の許しを得て結婚をする。
しかし彼は大切な日記を取りに砦に戻った時に、白人の部隊に取り押さえられてしまう。
スー族の格好をした彼はあっという間に裏切り者扱いされ、囚われの身となる。
愛馬のシスコも白い靴下も銃弾によって倒れる。 
ダンバーはネイティブアメリカンを討伐しようとする彼らへの協力を拒む。 
処分を受けるために連行されるダンバーだが、彼の窮地を聞きつけたスー族によって救い出される。
白人部隊は殲滅されるが、中にはダンバーに少しは理解を示そうとした将校の姿もあった。
共に暮らすことを求めるスー族に対して、ダンバーは彼らを助けるために別の道を歩む選択をする。
裏切り者のダンバーを裁くための追手はすぐそこまで迫っていた。
ダンバーは拳を握って立つ女と共に自由に生きられる道を目指して雪山を歩いていく。
歴史的名作と言われるだけに、ひとつひとつの場面がとても印象的で、特にダンバーと白い靴下との交流場面は心が暖まる。
それだけに観終わった後に、哀しみが残る作品でもある。 
星条旗が何度も登場するが、物語が進むに連れて印象がどんどん変わっていくのにも感心させられた。


2021/11/06

2021/11/06

82点

VOD/U-NEXT 
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分断の時代を予見したかのような

未見の有名作だが素直に良い話だと思った。アメリカは勿論、世界各地で分断が起きている今だからこそ改めて心に響く内容だろう。公開から30年が経ち流石に画期的とまでは言わないが、侵略を開拓と言い換える白人に対する先住民の怒りと哀しみは伝わる。この辺りのバランス感覚は2021年でも色褪せない。

181分の長尺を活かしたゆったりした展開となる。良い意味で余裕があり、ケヴィン・コスナーがスー族と心を通い合わせていく過程も無理がない。節々の起承転結も的確で飽きることはない。やがて訪れる悲劇的な最期を直接的に描かなかった結末も余韻を残した。

物理的にも多様性に於いてもアメリカは広い国だと感じた。シアター桔梗の簡易スクリーンではなく劇場で観たい作品だった。

2021/07/10

2021/07/10

50点

選択しない 
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脳筋

演出の何を取っても秀でた点は無く、御都合主義で、人間の描き方は猿以下。
アメリカ映画の悪い所を煮詰めた作品だが、エンタメ性に優れているのは確か。

2021/07/03

2021/07/03

70点

VOD/U-NEXT/レンタル/テレビ 
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知ることで変わる世界

ネタバレ

これ見ないまま今に至ってました。今みると、美しいおとぎ話かなと、ぱっと見で感じてしまう…それくらいアメリカの分断ムードは定着してる。この映画が公開された1990年はバブルがはじける前、心にも懐にも余裕があって、今まで長年犠牲にしてきたものへ、申し訳なさを感じる余裕もあった。

とにかくアメリカ合衆国は広い。先住民居留地はアリゾナのナバホ・ネイションしか知らなかったけど、大陸の真ん中のサウス・ダコタにも、今もぽつぽつと居留地があるんだな。(この映画の舞台となった時代は、ヨーロッパの人たちが占領してない土地は全部”居留地”というか彼らの土地だったわけだ)

悪い意味ではなくて、ほんとに「ポカホンタス」とか「モアナ」とかを実写でやってる感じだなぁ。ただ、どっちにも完全には所属できない二人は、二人という新しい世界を生き抜くしかないし、この後のスー族の苦境から目を離してはいけないと、映画は締めくくる。

ふと思った。分断が進んだのは、こういう作品が今は見られていないからじゃなくて、たくさんの人がこの映画も見たし、いろんな階級の人たちのことも知ってしまったから、賛同する人と「それどころじゃないんだよ、私たちのほうがよっぽど大変なんだよ!」っていう人に分かれたんだ。豊かな生活をしてる人たちと、長年苦境のままの自分たちを比べてしまうっていう不幸。知ることには副作用もあるけど、目を見開いて、探求心を持ち続けないと、人を操作しようとする人たちに利用されてしまう。

それにしても、私は歳を重ねるにつれて。こういう荒涼とした風景に向かう気持ちがどんどん強くなるな。