グレン・フォード、ジーン・ティアニー主演の実話に基づいたウェスタン。「夜は楽しく」「女房は生きていた」などのラブコメの良作を撮ったマイケル・ゴードン監督だけあって、女性心理の機微を丁寧に描いた作品に仕上がっている。
無実の罪で死刑を宣告され、自分を陥れた男への復讐に燃えるキャンフィールド(グレン・フォード)は、5人の囚人と共に脱獄を図る。雪が舞う冬の山中で彼らが辿り着いたのは、老婆(エセル・バリモア)を軸に女だけが住む部落だった。女たちのひとり、結婚を間近に控えたマーシャ(ジーン・ティアニー)は、次第に誠実なキャンフィールドに惹かれていくが・・。
初盤の緊張感に満ちた、女たちと脱獄囚たちの遣り取り。両者が次第に交流を深めていくことにより、小さなドラマが生まれ、主人公たちの謎が明らかになっていく中盤。意外な展開を見せる後半と、テンポよく話が進んでいく。主演だけでなく脇の人物像もよくできており、まったく飽きない。以下、特に目に付いた脇の役者さん。
(1)エセル・バリモア:この人が出てくるだけで、画面が引き締まる。最強のゴッドマザー。いちばんカッコよかった。
(2)ザカリー・スコット:キャンフィールドが4万ドルを隠し持ってると信じて行動を共にする、ヒラメ顔の欲深い脱獄囚。グレン・フォードを食ってしまうほど素晴らしい鬼畜演技。
(3)アン・ドヴォルザーク:マーシャの婚約者の姉。美しいが性格のキツさが災いして嫁き遅れ気味の小姑。マーシャへの度重なるイジメ、男や金に執着する俗人演技が冴えわたってる。
マイナー作だが、よくできた面白い作品だ。コスミック出版のDVDボックスで鑑賞。画質、音声良好。