クインテット

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クインテット

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レビューの数

5

平均評点

57.4(16人)

観たひと

32

観たいひと

2

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル SF
製作国 アメリカ
製作年 1977
公開年月日 未公開
上映時間 119分
製作会社
配給 キングレコード
レイティング 一般映画
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

ロバート・アルトマン監督がポール・ニューマンほか豪華キャストを起用した異色のSFドラマ。雪と氷に閉ざされた未来世界に流れ着いた男が、奇妙なゲームに参加することに。やがて彼は、それが生命を懸けた永遠に続く死のゲームであることを知り…。【スタッフ&キャスト】監督・脚本・原案・製作:ロバート・アルトマン 撮影:チャールズ・ロッシャー・Jr. 音楽:ジェラルド・バスビー 出演:ポール・ニューマン/ヴィットリオ・ガスマン/ビビ・アンデショーン/フェルナンド・レイ/ブリジット・フォッセー

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

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2023/10/09

2023/10/09

65点

レンタル/東京都/TSUTAYA 
字幕


雪と氷の近未来を舞台にした哲学的ハードボイルドSF

雪と氷に覆われた近未来の地球。
雪に埋もれた列車の向こうの雪原を歩くふたりの人影。
エセックス(ポール・ニューマン)とヴィヴィア(ブリジト・フォッセー)。
ふたりが目指しているのは、「ザ・シティ」と呼ばれる人類の生き残りが暮らしている建物。
五角形の25階建て、5つのセクションに分かれている。
かつては数百万の人々が暮らしていたといわれるが、出生することがなくなった人類は減少の一途。
この「ザ・シティ」もその例外でなく、暮らしているのは中高年ばかり。
エセックスもかつてここで暮らしていたが、アザラシを追って南に行き、そのアザラシも絶滅したので、兄を訪ねて戻ってきたという次第だ・・・

というところから始まる物語で、70年代後半に流行したディストピアSFの一種。

兄のもとにたどり着いたエセックスとヴィヴィア。
兄とともに暮らしている人々はヴィヴィアが妊娠していることを知り、胎児が希望の星だと願う・・・

と、常套SFならば、この胎児が「人類再生の希望」という展開になるところだが、共同で脚本書いているロバート・アルトマン監督流の皮肉か、ヴィヴィアは、エセックスが外出している隙に、兄家族とともに爆死してしまう。
爆発現場にいた怪しい人影を追ったエセックス。
彼が発見したのは、喉を斬られたくだんの怪人物。
その懐に兄を含めて6人の人物の名があり、彼は殺された怪人物・レッドストーンの名を使って、事件の真相に近づこうとする・・・と展開する。

ここへきて、映画はハードボイルドミステリへと転回するわけだが、ハードボイルド映画となかなか気づきづらいのが難点。

というのも、「ザ・シティ」が登場する序盤で、建物の富裕層(といっても、それほど裕福に見えない)が興じているゲームがあり(ゲームの名が「クインテット」)、その内容が早々に説明されているから。
その上、不味いことに、そのゲームの内容がわかりづらい。

映画で示されるゲームの内容は次のとおり。
五角形のボードに6人のプレイヤー。
ボードは3重で、外側2つはいくつかに区切られている。
プレイヤーのうち5人がプレイし、5人は、それぞれ3つの駒を持ち、2つのダイスを振ってボード上での駒の最初の場所を決め、その後は、ダイスの目によって駒を動かし、3重の区切りの中で居合わせた同士が再びダイスを振って勝敗を競うというもの。
勝った駒は、負けた駒を「殺した」と呼ぶ。
6人目のプレイヤーは、5人のうち最後に残った1人の勝者と直接対決し、その勝者が真の勝者となる。

まぁ、こんなところ。

で、エセックスが手に入れたリストはこのゲームのプレイヤーのリストで、ボードゲームが現実の殺人ゲームとなっているところがハードボイルドミステリとしての面白さなんだけれど、脚本に難ありで、ボードゲームの内容を観客に早めにわからせたのはいいが、内容がわかりづらい。
内容がわからないので、面白くない。
もしくは、わかってしまって、映画としての謎が底割れ、ということになってしまった。

さらに不味いのは、主人公エセックスが、このボードゲームの内容を知っているのか知らないのかが、観客にわからないこと。
本人は「下手なプレイヤー」と言っているが、ボードゲームを模していることに気付くのが遅いというか。
ま、そんなことがあるとは思わないのかもしれないが。

で考えたのだが、「そんなことがあるとは思わない」というのが、この映画の核心で、雪と氷に覆われ、新生児が生まれない世界。
つまり、死ぬのを待つだけの世界で、凍死する貧乏人は死んだら犬に食われるのがオチ。
凍死はしないが生きる希望を失った富裕層は、死ぬまでの時間はただ無為に時間を潰しているだけ。
それもそうそう死ぬということがないことを知りながら。

そういう中で、ボードゲームを模した現実世界での殺人ゲームは「死と隣り合わせの生」を感じることができる唯一の喜び。
主人公にそう最後に告げるゲームの管理者の言葉は、ヒリヒリするぐらいの哲学性を秘めている。

が、全般的に上手くいっていないのは、どういうことかしらん。

「死と隣り合わせの生」を描いたSFハードボイルドといえば『ブレードランナー』を思い出す。
作られたのは、本作の方が少し早いか。
SFでないサスペンス映画だと、デイヴィッド・フィンチャー監督の『ゲーム』も思い出される。
雪と氷に覆われた世界の列車といえば『スノーピアサー』。
あと、よくわかったようなわからないようなSFといえば『未来惑星ザルドス』か。

なお、本作全編を通じて画面の周囲が白くぼやけているのだが、これは想像するに、冒頭のロケであまりの寒さにカメラのレンズが曇ったのだろう。
あまりに寒いとカメラが動かず、温めながら撮影したので曇った。
ロケシーンだけ、画面の周辺がぼやけているのも不自然なので、セット撮影でも人工的にぼやかした、といったところだと思われる。
ただし、セット撮影でも、役者がセリフをいう際に、白い息が写っているので、相当寒かったと思われるが。

2019/11/11

2019/11/16

35点

レンタル/東京都/DVD 
字幕


これは日本公開は無理でしたね

ロバート・アルトマン×ポール・ニューマンで期待されたが一向に公開されなかった作品を遂に鑑賞。うむ、これは日本では公開無理やね。難解?いやつまらない。何故このようなゲームに興じるのか、他にやるべきことはないのか?何も伝わってこないし、何よりつまらない。脚本の段階で誰も止めなかったのか?ビットリオ・ガスマン、フェルナンド・レイ、ブリジット・フォセーなど、知った顔が脇を締める。まあ長年の願いが叶って観れたので良しとするか。

2017/04/06

2017/04/19

60点

レンタル 
字幕


もそもそ、ごそごそ、すっきりしない

レンタルDVDで観た。

氷河期になり、滅びゆく人類、そのせいか無気力な魂の抜けたような者が多い。そんななかあるゲームに興じることで活力を得る。ところがこのゲームに負けると死が待っている。

『このゲームの賞品は殺人の興奮だよ、
アドレナリンが全身を駆け巡る熱い感情だ』

とこのゲームのディーラーは言う。

ロバート・アルトマン監督の狙いもそれなんだろうけど、いつもアルトマン節。娯楽的な演出はせずに、なんとなく展開していくドラマ、まるでメリハリのない演出そのものが無気力なのではないか・・と突っ込み入れたくなる。

これをディーラーのせりふにある全身を駆け巡るアドレナリンのような興奮を持って描いて欲しかった。

1980年代

2016/11/20

65点

テレビ 


5という数字

クインテットの意味は - 五重奏のこと。
映画とは直接には関係ないのですが5という数字について、小学生の頃、漫画本の特集で仕入れた知識なんで、めちゃくちゃ信用無いと思いますが、現在の地球は大四氷河期の終わった後、これから寒くなって新氷河期が訪れるというのが未来予測でした。温暖化の予想はこの頃は少数派だったんじゃないかな。
映画のタイトルはここから来てるんだと思う。30年くらい前にテレビ放映で見たのですがその時のタイトルは「クインテット・極寒の未来都市 死のゲーム」。
監督のロバート・アルトマンは他に脚本 原案 製作に名を連ねているからやる気は満々だったんじゃないかな。

2010年代

2015/12/15

61点

テレビ/有料放送/WOWOW 
字幕


滅びゆくもの

近未来SFのようだが異次元物かもしれない。
濃淡で表現される世界。
立ち消えになった、枯れた世界。
現状につながるメガロポリス砂漠のイメージ。
人類の滅亡への過程を示唆する作品。