リンゼイ・アンダーソン監督による役名が同じだけだがマイケル・マクダウェル主演によるミック・トラヴィス3部作の2作目。1作目はマイケルのデビュー作「If もしも....」で3作目は日本未公開の「Britannia Hospital」。
町山さんの解説によると前作「時計じかけのオレンジ」のイメージが強烈過ぎて自分は世間から酷い男と見られているんじゃないかと思ったマイケルが「If もしも....」のリンゼイ・アンダーソンに、陽気なコーヒーセールスマン(マイケルの役者になる前の職業だそうだ)が役者として成功すると言った内容の企画を持ち込んだそうだ。それだけじゃ面白くないということで間に主人公が散々酷い目に合うといったものを入れるようにしたとか。脚本が完成する前に撮影が始まったとのことで全然関係ないのに何人もの役者が1人で二役も三役もこなしているのが可笑しい。ということで間のショートストーリーはあまり関連性が無くいわゆる串団子脚本になっている。
今作は「時計じかけのオレンジ」の裏返しのような陽気で楽天的な青年が主人公なのだが、その内容はイギリス社会で散々酷い目にあうといったテーマで「時計じかけのオレンジ」とほとんど同じなのが面白い。町山さんも言っていたが主演が同じでテーマも同じ、それでも両作を決定的に分けているのはそのビジュアルである。やっぱキューブリックは凄いなと改めて思った。
付け加えると若きヘレン・ミレンのセクシー女優ぶりには驚かされた。