愛川欽也が監督・脚本・主演と3役こなした作品で、数多く作られた清水次郎長ものは、次郎長=善、黒駒勝蔵=悪 と云う公式で造られ、それに疑問を覚えて独自の調査の結果、黒駒勝蔵は少々オッチョコチョイだが人情家で地元甲州では人気が高いそうで、次郎長は世渡り上手の鼻持ちならない奴とのスタンスでの構成であると、トークショウで愛川欽也は語っていた。
ただ、作品の完成度は低いと言わざるを得ない。出演者が劇団員で占められた為に、セリフ回しが映画向きではないのと、スクリーンサイズを生かしきれてないカメラワークはTVで観る事を前提としてるとしか思えない。従って、セットや大・小道具にしてもお粗末なのは予算のせいだけではないと思う。
映画に対する思い入れは充分に感じられ、その意気込みは80歳を越えた現在も失われずいて尊敬に値すると思うが、名前だけで客が呼べる訳でもないのも残念ながら事実である。