メインストーリーを追ってしまうと、身も蓋もない話ですが、この物語を彩るのは、これに付随するいろいろなエピソードでした。
彼女の行動を見ていると、事件を収束させず、次から次へと新たな問題の種を撒いていく様は、明らかに世の中を舐めていると思わずにはいられません。しかし、田舎から都会へ出てきて、いい生活をしたいという女性が、自分を武器に切り開いていくのは、まさに発展途上の社会では、ありがちな光景。一部に金持ちが出てきて、また先進国の外国人が流入してくる。スロベニアがEUの議長国になった時代というのは、そういう時代だったということなのでしょう。繰り返し出てくる、要人を護衛する警察車のけたたましい行列は、まさにその象徴でした。
アッサリとした描き方ですが、社会の状況、田舎に戻っていく彼女、故郷にある、狭くて濃い人間関係の濃密さと、優しさ。それらのスロベニアがユーゴスラビアから脱して、ヨーロッパの先進国に入っていく中でのいろいろな社会の現象や苦悩が静かに描かれていると思いました。
主役のニーナ・イヴァニシさんはいいですね!この映画ではツンデレ系で、かなり場当たり的に生きている女子大生の感じを良く出していると思いました。注目しておきたいと思います。