「仕事(というか接待ゴルフ)のため休日も一緒に遊びに行けない父と娘」という設定がやや古臭くテンプレ気味だが、庭の小さなビニールプールから不思議な海の世界に迷い込む…というファンタジーを絡めることで感動的に物語を演出している。アニメーションの利が活きた一作と言えるだろう。
作画・動画の魅力は2011年度4作品中でトップ。主線の色を淡くするなど印象の柔らかさが物語にぴったりだ。
のびのびとデフォルメされたキャラクターの愛らしさ、大きく豊かな動作は見ていて楽しく、緩急様々な水の表現も目を引く。
父娘が向かい合うまでの物語としてはシンプルにまとめられていたのだが、そこに絡む「父の成長」と「不思議な世界」の2つの物語にはまだのびしろがあったように思う。
もちろん、短編としてすべてを描ききることはむずかしかったのだろうと察する。それでも父と祖父、ミカとミミカ様、そしてジュジュと現実世界、それぞれの関係性をもっと深く匂わせることができたのなら、より魅力が向上しただろう。