善人サム

ぜんにんさむ|Good Sam|----

善人サム

レビューの数

5

平均評点

70.1(15人)

観たひと

24

観たいひと

0

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 アメリカ
製作年 1948
公開年月日 1949/9
上映時間 0分
製作会社 RKOラジオ映画
配給
レイティング
カラー
アスペクト比
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

「我が道を往く」「聖メリイの鐘」と同じく、レオ・マッケリーが製作監督した映画で「打撃王」「オペラ・ハット」のゲイリー・クーパーと「嵐の青春」「栄光の都」のアン・シェリダンが主演する。ストーリイは、マッケリーがジョン・クローラーと共作し、脚本は、ケン・イングランドが執筆した。音楽は前記のマッケリー2作品と同じく、ロバート・エメット・ドーランが作曲し、撮影は「ジェーン・エア」「聖メリイの鐘」のジョージ・バーンズが、監督した1948年作品。助演は「二重生活」のレイ・コリンズ「晩餐8時」のエドモンド・ロウ「小麦は緑」のジョーン・ローリング、その他、クリントン・サンドバーグ、ディック・ロス、ルイス・ビーヴァース等である。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

サム・クレイトンはボーデン百貨店の支配人であるが、善人サムと綽名されている途方もない慈善家である。彼はブッチとルルと2人の子を持ち、美しい妻のルウと楽しい家庭を持っていたのであるが、半年前からルウの腹違いの弟、クロードが食客となっている。彼が傷い軍人であるのに同情して、サムが寝室を提供したので、ルウはルルの室で、サムはブッチの室で、夜は別々に寝なければならぬ。失業者で怠け者のクロードは、食事を一緒にしたためしがない。通いの女中のクローエは、暇をもらいたいといっている。ルウは弟を追い出してくれと頼むのであるが、サムにはとても切り出せない。近眼の隣人バトラーが、ピクニックに出掛ける間際に、自動車が故障したのに同情し、サムが車を貸し手やると、バトラーは行った先で車を衝突させ、訴訟さたになる。バトラーの故障車の修繕代を、サムは支払わさせられる。店の売子の、シャーリー・メイが失恋した上にアパートの追い立てを食ったのも、サムは引き取ってやる。そういうわけで、百貨店の支配人でありながら、今だに借家住まいである。自分の家を欲しがっているルウの気持ちを察しながらも、隣人だったアダムスが、ガソリンスタンドを買う金を貸せというと、家を買うための預金をサムは残らず貸してしまう。ルウの理想的な家が格安で買える時になって、サムは当惑し、ルウは怒って泣き出す仕末である。折も折、クロードとシャーリー・メイが恋仲となる。裏庭で2人が密会しているとも知らず、ルウはシャーリー・メイの悪口をいい、早く追い出さないからこういう事になったと愚痴をいう。それを聞いたシャーリーは荷造りをして飛び出す。入れ違いに入ってきたのは、金を借りていた隣人のアダムスで、ガソリンスタンドが大金で売れたからといって、千ドルの利息をつけて借金を返しに来た。残りの金で別のスタンドを買うと言うので、クロードが雇われることとなる。ルウのあこがれの家も買えるわけである。サムは例年の通り、全市の浮浪者のために、クリスマス夜食をごちそうする企画を立て、その寄付金を銀行に預けにゆく途中、ゆき倒れを装った女を助けたばかりに、頭を撲られて金を奪われてしまう。切端つまったサムは、銀行へ行き貸し出しを申し込むと君に貸すのは危ないといって断わられる。一方ルウは新しい家に越すのだといって喜んで、古い家の家具全部を救世軍に寄付する。頭を怪我して早く帰って見ると、ちょうど救世軍が家具を受け取りに来ている所である。有頂天になって喜んでいるルウに、打ちあけかねたサムは、当てもなく町へ出て、トムの酒場でしたたか飲んで乱酔する。転宅したルウは、新しい家でごちそうをして待っている。そこへ銀行家が訪ねて来て、考え直した、サムのような人に貸さなければ金の値打がない、と事情をルウに打ちあける。百貨店のボーデン社長は、サムを支配人から副社長にしたと言って来る。吉報は山程あるのに、肝心のサムは行方不明、ルウが心配していると救世軍の楽隊の音が聞こえて来る。酔っぱらって、浮浪者と服を取り替えたサムが、救世軍女士官と肩を組み合って救世軍歌を歌いながらやって来る。ルウはうれしくてうれしくて、いつまでもいつまでも笑いが止まらなかった。

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2023/08/29

2023/08/29

72点

選択しない 


人間の善意を信じたくなる映画

レオ・マッケリー監督の理想主義的世界の映画で人間の善意を信じたくなる作品。フランク・キャプラの映画の様。はっきり言ってここまでくると奥さんが気の毒になってしまう展開で観ていてハラハラする。それでも最後はハッピーエンドになると信じて見続けるわけだが、酒場で飲んだくれるクーバーと彼の善意を自己満足と揶揄する酔っ払いとのやり取り等観ていて切ない。だが、その期待を裏切らないラストにホッとして温かい気持ちになれる。まぁ、ご都合主義のウルトラC的展開なのだが、寓話として捉えれば良いと思う。後半、編集がうまくないのか、繋がりが悪い箇所があるのが残念。

2022/01/28

2022/01/28

77点

VOD/Amazonプライム・ビデオ 
字幕


ジェームズスチュアート的

映画だが、
私的にはゲイリークーパーの方が
哀愁が出ている感じがする
キャスティングが重要だが
今、日本でリメイク的なものを作れば売れるのでは
アンシェリダンも良い女

2021/07/05

2021/07/06

90点

購入 
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前半は完璧100点

ネタバレ

2021年7月5日に鑑賞。DVDにて。1時間54分27秒。スタンダード・黒白。RAINBOW PRODUCTIONS=RKO RADIO PICTURES。

脚色:Ken Englund、原作:Leo McCarey、John Klorer。

ゲイリー・クーパーいいなあ。彼は「七日間の休暇」(1930)でもコメディ演技に長けている。単なる二枚目ではない。「クーパーの花婿物語」(1944)では更にコメディ演技が冴え渡っている。必見です。

アン・シェリダンは「汚れた顔の天使」(1938)は観ているが、本作のアン・シェリダンが素晴らしい。

他の出演者も、少女ルル(Lora Leemichel)、少年ブッチ(Harry Hayden)、家政婦クロエ(Louise Beavers)もいいねえ。

私が少し引っかかるのは、問題(金銭)の解決方法があれで良いのだろうか?ガソリンスタンド経営の夫婦に赤ちゃんが産まれるからと、サムは家の購入に貯めていた5000ドルを貸した。「すぐ返して貰えるよ」と妻ルーに言うが。普通に考えたら借金返済に数年かかるだろう。それが、たまたまガソリンを入れに来た客が1万5000ドルで家ごと購入してくれ、アダムズ夫妻はサムに利息も入れて6000ドル返済した。アダムズは新たに買ったガソリンスタンドでルーの弟クロードも雇う。この解決方法は安易ではないかな?

次に、隣家のド近眼のバトラーに貸したサムの車でバトラーが事故を起こした。相手が車の所有者のサムに損害を賠償するように訴える。という話はどうなったのでしょう?消えてしまった。

ラスト、サム・クレイトン(ゲイリー・クーパー)は、今年のクリスマス・ディナー(貧しい人々に夕食を提供する)のための七面鳥(を満載したトラックがおもしろい「あと3台来る」と運転手が言う)の代金に、また「家の購入資金」を充てたと言う。

さらに、百貨店の店員たちがクリスマス・ディナーのために寄付金を集めてサムに渡したお金(開巻に登場した道を尋ねた老女も寄付。実は金持ち。孫娘の結婚のお祝いに家具一式をサムの百貨店で買った)を強盗に奪われる。銀行は担保がないとサムへの融資を断った。八方ふさがりのサムはバーで飲んだくれて「俺は落伍者だ」と酔って救世軍に付き添われて新居に帰宅する。妻ルー「あなたは副社長に昇進した。銀行も融資してくれるわ」このラストは安易ではないでしょうか?それに、融資して貰っても寄付金や七面鳥代金の借金がサムにのしかかるのは変わりがないよ。

ラストは「素晴らしき哉、人生!」(1946)と似ているが、決着のつけ方は「素晴らしき哉、人生!」の方が納得できる。

サムがバスを停める向こうの映画館で上映中は「逃亡者 The Fugitive」(1947・監督:ジョン・フォード、出演:ヘンリー・フォンダ)である。

でも、この映画大好きです。

2018/03/22

2018/03/22

70点

レンタル/北海道 
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「情けは人の為ならず」

 私などは長い間ゲイリー・クーパーと言えば「真昼の決闘」の保安官を代表とするような西部劇のヒーローのイメージが強かったのだが、最近になって若い頃の作品にはとぼけた味わいの人物をコミカルに演じているものが多いことを知った。この「善人サム」はゲイリー・クーパーのその系統の代表作といえる作品だと思う。困った人を助けずにはいられない人並外れたお人好しのサム。こんな夫を持った奥さんは災難で、とうとう我慢の限界に来てしまい・・・。私にはサムのような無限の善意は理解できず、どうしても奥さんのほうに肩入れしてしまう。人間が小さいということなのだろうか。「情けは人の為ならず」という諺を思い出した。

2016/12/13

2016/12/13

80点

レンタル/埼玉県/TSUTAYA/WonderGoo TSUTAYA 越谷店/DVD 
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レオ・マッケリーとゲイリー・クーパーの真髄を見た。

 見終わってから、複数の評を見たが、誉めてる人がいない。
いわく、クーパーが馬鹿にしか見えない・・・。

 これは、ゲイリー・クーパーを想定して書かれた脚本ではないか。このサムという人物はクーパーそのものだ。それを馬鹿と言っては、まるでクーパーを否定されるようで悲しい。
 よっぽど戦後間もない頃は、安っぽい人情物が多くて、この映画もその1本に見られてしまったのか。
    ◎注意 《この先ネタバレあります》
  序盤、普通の映画と違って、あまり大きなことは起こらない。クーパーとアン・シェリダン(美しい)の、やり取り・細かい表情を見てるだけで飽きが来ない。見事な映画の運びである。

 終盤は、奇蹟のような事が二つ起きてクーパーの善意が報われる。ここらが、まぁあの頃のアメリカ映画だなぁと思わせるが、それも含めてが、この作品の美点であると思う。
 ビング・クロスビーの連作でキャリアの頂点を築いたマッケリーだが、「善人サム」を発表した後、急速に力を失う。
 
   やはり、この「善人サム」、1948年にしてその善意は時代遅れと見られたのか。
     私は大好きな映画なのだが・・・。