スケアクロウという題名と、ジーン・ハックマンと、アル・パチーノということで、アクション系かと思っていました。全然違いました(笑)。二人の友情のロードムービーです。アル・パチーノのライオンは人を笑わせてその場を和ませ、仲良くなっていくという性格。一方、ジーン・ハックマンのマックスは、人を信用しない堅物で切れやすく、手が出やすい性格。思い込んだら百年目で固執する性格でもあります。主にマックスの性格が巻き起こす騒動が物語を牽引し、両者が融合していきます。
冒頭は二人の出会い。ただ砂漠の真ん中で出会っただけという、非常に単純な出会いを、じっくりと演出していきます。その過酷な環境で、ついにマックスが折れて二人の旅が始まります。そして、マックスの性格から常に不穏な雰囲気を醸し出しながら、紆余曲折あって、ライオンの待ちに待った妻との再会に向かうクライマックスです。しかし…。という形で打ちのめされたライオンを、今度はマックスが献身的な救いの心へと動かされていく展開でした。しみじみと友情の生成を味わうロードムービーでした。
ロードムービーもいろいろタイプがあると思いますが、このスケアクロウもロードムービーというジャンルの王道的展開をしていると思いました。身勝手な男が彷徨う先に、女性や家族の生活があるという構図。この作品はラストでは会話はするが再開しないところや、子供が絡むところなど、パリテキサスと似た展開に思いました。長い旅路の中で、登場人物の移り変わる心をふんだんに表現していく、素晴らしい作品でした。