悪魔の虚像 ドッペルゲンガー

あくまのきょぞうどっぺるげんがー|The Man Who Haunted Himself|The Man Who Haunted Himself

悪魔の虚像 ドッペルゲンガー

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レビューの数

5

平均評点

70.9(11人)

観たひと

16

観たいひと

3

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ホラー / スリラー
製作国 イギリス
製作年 1970
公開年月日 未公開
上映時間 81分
製作会社
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
レイティング
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

ロジャー・ムーア主演のホラー。交通事故で瀕死の重傷を負ったペラムは、以来“もうひとりの自分”を感じ始め…。【スタッフ&キャスト】監督・脚本:ベイジル・ディアデン 製作・脚本:マイケル・レルフ 音楽:マイケル・J・ルイス 出演:ロジャー・ムーア/ヒルデガード・ニール/アラステア・マッケンジー

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

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2009年

2023/06/04

80点

その他/レンタルDVD 
字幕


ロジャー・ムーアの名演

ドッペルゲンガーを扱ったロジャー・ムーア主演のサスペンス・ホラー。

小品ではあるが、大変よくできていて面白い。

ドッペルゲンガーを扱った作品としてはルイ・マルの「世にも怪奇な物語」第二話が有名だが、本作はそれに負けてない。下手したら、それより上かも。

我が愛する007俳優ロジャー・ムーアが、自身で最も気に入っている作品と語っているが、それも納得。

映画としても面白いが、それ以上にロジャー・ムーアの演技が大変良い。

ムーアは大根役者のレッテルを張られ続けていたと思うが、彼はある意味で華がある二枚目だし、出演作はアクション映画が多いので、そう見られていたふしがあると思う。

本作はムーアが心理的な表現もできる俳優だということを証明している。

銀夢来夢さん、レオポルドさんが本作でのムーアの演技を評価してくださっていて、ファンとしてはとても嬉しい。

2021/02/20

2021/02/20

70点

購入 
字幕


ロジャー・ムーアの演技が冴える

2021年2月20日に鑑賞。DVDにて。1時間28分48秒。ビスタサイズ・テクニカラー。EMI=ABP(Associated British Productions)。

ロジャー・ムーアの演技が冴える。ロジャー・ムーアは実は演技派なんですね。良く分かりました。

1950年代にTV「ヒッチコック劇場」でトム・イーウェル主演で映像化されたアンソニー・アームストロング原作「The Case of Mr. Pelham 」のリメイクである。もちろんヒッチコック・タッチの影響を受けている。ジャック・フィニイ原作「盗まれた町」やマリオ・バーバ「呪いの館」(1971)の影響もあると、解説でジョー・ダンテとスチュアート・ゴードンが述べている。

1970年ロンドン。ミニスカートが全盛である。ペルハムの会社『フリーマン・ペルハム&ドーソン海洋工学機器 Marine Engineers Incorporating Electronic Developments & Navigational Aids 』

このラストからは、真のペルハムが偽物とされて、もう一人のペルハムに追われて死ぬことから、原題「The Man Who Haunted Himself」よりは「The Man Who Was Haunted by Himself」の方が相応しい。

一番興味深い場面。ドクター・ストレンジラブのような黒いサングラスをかけた精神科医者ハリス(フレディ・ジョーンズ)と面会したペルハム。椅子に座るペルハムと脇に立つ医者。床からカメラが見上げてカメラが回転し天井が回る。回転椅子が回りペルハムの体も回る。医者は同じ位置に立っている。部屋がグルグル回る。このシーンが白眉である。医者「『ソジーの錯覚』だ。フランスの医者カプグラが精神病と認定した。替え玉の妄想だ。あなたは自分自身が替え玉であるという自覚がない」

ラストの説明はこれで良いのか?もう一人のペルハムが真のペルハムに語る「私は君なんだ。君は手術台で死んだ。少しの間君は本当に死んでいて、それが私を呼び起こした。不幸にも君は命を吹き返した。だから今我々は2人いる。これは続かない。1人が行かねばならぬ」真のペルハム「何てこった!お前は誰なんだ!」もう一人のペルハム「ペルハムだ」病院のベッドでペルハムの心臓が停止する。その後に計器の心拍計の線が2つ出る。医師が計器を手で叩くと線が1つになる。

家を出た真のペルハムの黒い車をもう一人のペルハムの青い(シルバーの)車が追う。雨中のこの車の追跡シーンは良い。真のペルハムのバックミラーに妻が映る。2人の息子が映る。プールの写真家の女ジュリー(オルガ・ジョルジュ・ピコ)が映る。例のストライプのネクタイが映る。もう一人のペルハムの笑い声。真のペルハムがミラーを割る→ミラーに映るマルチ映像。真のペルハムの車が川へ転落する。橋の上のもう一人のペルハムが心臓を押さえるが・・・死なない。完全に乗り替わった。

これは、また中年の危機の話でもある。ベッドの妻イヴ「電気を消し始めるのは、中年の始まりだと・・・。私が寝かせてあげるわ」真のペルハム「妻と余りセックスしなくなるだろ」妻「あなたにセックスを求めてはいないわ」ペルハム「もう1人子供が欲しいのか?」妻「そうは言ってないわ。私たちは慣れ合いになってるわ」セックスを求める妻に応じることが出来ない真のペルハム。一方、もう一人のペルハムはパジャマの胸をはだけて妻のベッドへ。微笑む妻。ここのムーアは後年の007である(笑)

医者ハリス「あなたのセックス拒否に顕著に現れている。あなたの性格の別の部分を解放してほしい。(ダークスーツ、帽子、ステッキなどの)慣習の虜ではいけません」→真のペルハムはピンクのカッターシャツに明るいスーツとネクタイで出社する。これが真のペルハムを不利にする。真のペルハムと自宅で対峙したもう一人のペルハム「あんな女っぽいネクタイ、俺がするか?」と同僚アレックスに言う。妻と息子が現れる「あの人パパにそっくり。誰?」アレックス「ペルハムの真似をしていた男だ」真のペルハム「陰謀だ!俺を狂わせようとしている」こうなると、明るいスーツ・ネクタイが裏目に出て、もう妻・息子・同僚に信じて貰えないね。

「Take care.(気を付けて)」、LPレコードとプレイヤー、ペルハムのマッチ棒を折る癖。スヌーカー。宝石の首飾り=宝石商「レディ・ハミルトンの持ち物でした」、写真家ジュリー・アンダーソンの部屋に浮世絵の図柄のドア絵。1666年のロンドン大火の記念円塔。ロンドン・プラネタリウム。もう一人のペルハム「EGO社の社長に。年俸5万ポンドと自社株3万株を貰う」


2010年

2016/08/22

80点

レンタル 


もう1人に自分

陰のようにつきまとい、じわじわと自分の存在を乗っ取ろうとする“もう1人に自分”。ロジャー・ムーアが全く正反対の2つの人格を演じ分けるサスペンス・ホラー。90数分がアッと言う間の恐怖&面白さです

ロンドン。企業の若き重役ペルハム(ロジャー・ムーア)は山高帽子をかぶり雨傘を持った英国の伝統的なスタイルで会社を出て、車で帰途につく。後部座席に帽子と雨傘を置き、シートベルトを締め、軽快な音楽に乗ってハイウェイを走らせるペルハム。
…と、突然ペルハムの表情が変わり、シートベルトを外して、猛烈なスピードで車の間を縫うように走り抜ける!(この豹変ぶり!これホントにロジャー・ムーア)

車が大破する大事故を起こしたペルハムは、集中治療室に運ばれて緊急手術を受ける途中に心臓が停止。心臓マッサージをすると何とか心拍が戻ったが、心拍監視装置を見ていた医師は驚きの声を上げる!「なんだこりゃ!心拍が2つになった!」

奇跡的に一命を取り留めたペルハムは、体調も回復し会社にも出社するようになるが、身に覚えのない約束を破ったと言われたり、行った覚えのない所で会ったと言われたり…、身の回りで奇妙な出来事が続くようになる。

保守的で真面目な自分とは違う、大胆で狡猾でギャンブルや○ックスも得意なもう1人の自分…。10日前にこう言った、3日前に会った、昨日ここに来た、15分前にそこにいた、とジリジリと近付いてくる不気味な影!!

これ以上書くとネタばれになるので我慢しますが、このジリジリと近付いてくる恐怖の描写が素晴らしく、ロジャー・ムーアの演技も抜群です!

「映画はまるでテレビドラマのような何気ない現実的な描写で始まるが、物語が進むと、奇妙なカメラアングルを使うようになる。照明も自然光で始まり、徐々にシュールになっていく」(DVDの特典のジョー・ダンテ監督とスチュアート・ゴードン監督のインタビューより)その他にも、奇妙な回転の組み合わさったカットや複雑な合成も見どころです

この「悪魔の虚像」は、ロジャー・ムーアの出演作品の中で、ムーア自身、一番のお気に入りの作品なのだそうです。

面白いですよ
ぜひご覧ください

2012/12/07

2013/12/22

78点

選択しない 


CG時代からみると、地味に映像で積み重ねたホラーです。

一部でカルト化してるのも頷ける出来。

ロジャー・ムーアは、ボンドよりよろしい。
ヒルデガード・ニールの上品な色気。
他にオルガ・ジョルジュ・ピコ。

当作品ではベイジル・ディアデンと記されてるが、バジル・ディアデンと同一人物。
「カーツーム」「わらの女」も監督しているベテラン。

息子は「コールドルーム」の監督、ジェームズ・ディアデンだったと思う。

2005/06/26

2012/05/26

66点

レンタル/VHS 


イギリスの職人監督ベイジル・ディアデンの遺作スリラー。
タイトル通りドッペルゲンガーをテーマにしており、ジェームズ・ボンドでブレイクする直前のロジャー・ムーアが精神的に破綻していく主人公を力演しています。

驚愕の結末は必見です。